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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第18話 ホントにあった !? 呪いの英依コレクション―文化祭騒乱編―

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第18話―8 まどか、墓穴を掘る

「そろそろ店番交代の時間ッスよね?次って誰だっけ?」(まどか)は残っていたドーナツをモグモグやりながら、誰にともなく問いかけた。


「次はコリンちゃんだったかな」弥幸(みゆき)がすぐに答える。それから心の底から申し訳なさそうな表情で、凛子(りんこ)にこう弁解した。「あー僕の番に付き合ってもらったのに悪いんだけど、これからちょっと頼まれごとがあってさあ。コリンちゃんゴメンね?終わったらすぐ戻ってくるから」


「いえいえ、そんな、ぜんぜん平気ですよ〜」凛子は手を顔の前でブンブン振って、笑顔を見せた。本当は行ってほしくないくせに、健気なものだ。


 そうかそうか、コリンはいまから独りでここに残るかもなのか⋯⋯クックックッならば少しばかりビビらせておくか。よせばいいのに円の心のなかのイジワルな部分が騒ぎ出した。今度こそションベンチビらせてくれる。


「あっ、そうそう、コリンちゃんあそこ見た?英依(はなえ)先輩のコレクション。なんかヤバそうなのたくさんあるよ?」円が唐突に話しを振る。さすが会話経験値が少ないだけに、実にヘタクソである。


「え⋯⋯うん、見たけど⋯⋯」それでも凛子は持ち主の英依が目の前にいる手前、無下にすることもできない。円のことだからまたなにか変なことを言ってきそうだと警戒しながら、応対する。


「ほら、合宿のときの鏡もあるしさあ。なんかすごいよね、このコレクション。オカルトマニア垂涎の品だよ」と、これは英依へのヨイショも含む。円はそう言うと、立っていってそれらを眺めた。「ねっ、英依先輩、これなんかカッパでしたっけ?」


「そうよぉ、取れたてホヤホヤの "カッパの小指" 」英依は満足そうに頷いた。


「ほ〜カッパなんておるんやなあ」と予定外にゴリラが釣れた。円の隣に寄ってくる。「どれや?あ、これか!なんやこの干物、出汁でも取れそうな感じやの」


「フム⋯⋯お出汁ね⋯⋯それは考えてなかったわね」英依はなにやら本気で検討している。


 チッ、脳筋ゴリラのせいで、話がズレちまった。円は村上を苦々しく見上げた。カッパで釣ってコリンを招き寄せてから、人形でビビらせるつもりだったのに。まあいい、強攻策だ。


「あっ、そうだ!結局この人形ってなんなんですか?ほら、コリンちゃんもこれ気にならない?なんか怖いよね」


「あーンー、まあよくある話よ。生きてる人形っていうか。よく聞くでしょう?髪が伸びるとか、勝手に移動してるとか、そういうの」英依はうわの空で雑に説明した。


 やっぱ動くんじゃねえか !? 生き人形はヤベえだろ。淳二の鉄板超怖い話じゃん。円は背筋が寒くなった。ならば朝に感じたあの視線も、あながち気のせいではなさそうだ。凛子を怖がらせるつもりが、自分で掘った穴に自分がハマった形である。


「へ〜すご〜い」凛子は人形にはまったく目を向けずに言った。怖がってはいるのだ。だからすぐさま話を変える。「そういえば〜、みゆき先輩の用事ってなんなんですか〜?」


「ああ、それね⋯⋯」弥幸は珍しく言い淀んだ。「実はさ、服飾研究会の友だちに頼まれちゃって⋯⋯なんていうか、午後からのショーのモデルみたいなのをね⋯⋯」


「ああ、なんかそういうの言うとったな。結局引き受けさせられたんか?」


「うん、恥ずかしいからイヤなんだけどね、春の新歓のとき手伝ってもらったのもあるし、断れなくって⋯⋯」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」凛子がワンテンポ遅れて絶叫する。一瞬理解が追いつかなかったようだ。「モデ、モデ、モデルって!なんで、そんな大事なこと教えてくれなかったんですかっ!」


「いやだってさあ、恥ずかしいじゃん⋯⋯」弥幸は可憐に頬を赤らめる。


「そんなっ!そんなの見に行かないわけにはいかないじゃないですかぁ!え?ヤバ、どうしようどうしよう」凛子は頭を抱えたあとガバっと顔を上げて省吾(しょうご)を見た。「省吾く〜ん」と猫撫で声。


 しかし省吾は気の毒そうに首を振る。


「すいません。次の時間のうちに村上先輩と武道場で打ち合わせがあるんです」


「そうそう、俺もここでやっとかんとな、ウチの部の予定もあっての。ズラせんわ」


 続けて凛子は英依の方を見た。しかし英依はやはりうわの空。凛子の視線には気づかない。なにかブツブツ言い、それから立ちあがると、コレクションまで歩いていって、"カッパの小指" を手に取った。


「私、ちょっとやることができたからここで失礼させてもらうわね」それだけ告げて部屋から出ていった。


 憐れ凛子、もはや頼れる者はひとりしかいない。絶対に、絶対に頭など下げたくないアイツだけ。しかし背に腹は代えられなかった。モデルとしてステージに上がる弥幸を見逃すなんて、そんなこと天地がひっくり返ろうともあり得ないのだ。


 凛子は円のもとに駆け寄って、その手を両手でつかむ。それから有無を言わせぬ迫力を込めて懇願した。


「お願いお願いお願い、マジお願い!次ちょっとだけ店番代わって!ねえ、埋め合わせはなんでもするから〜!ね〜お願い〜!」



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