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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第17話 弥幸先輩のぶらり湯けむりひとり旅―温泉地の怪奇現象編―

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第17話―2 解説 其の一

 ということでひとり、怪奇現象が頻発するという地へ旅に出たオカ研会長・三浦弥幸(みうらみゆき)。なかなか興味深い証言も聞けたことだし、このまま彼の視点で話を進めればよさそうなものだが、残念ながらそうはできない事情がある。


 ご存知の通りこの男、心霊をこよなく愛しているにも関わらず、その手の現象を一切感知できないという特徴を持っている。そのためこんな面白そうな土地へやってきても弥幸視点ではなにも起こらないのだ。それでは超絶イケメンがただ温泉に入って帰ってくるだけの話になってしまう。


 この作者に十分な筆力が備わっていたならば、それはそれで旅の情緒が味わい深い、少し変わった一品になるやもしれぬが、当然そんなことを期待されても困る。ムリだ、オラそっただこと出来ねえよ。文章修行などしたことねえ、ただの美少女だもの。


 なのでここは苦肉の策、弥幸視点パートのあとにはいつもの視点での補足パートを付け加えることとなった。まあオバケ以外にも弥幸はいろいろ見えていない男であるので、そういった部分も説明していこう。


 まず、弥幸が叔母の依頼を受けるよう我らが主人公・神谷(かみや)(まどか)に説得されたという場面。そのやりとりについては概ねいつものオカ研であったが、人によっては引っかかる部分があったかもしれない。


 それは円がこの調査に付き合えない理由、短期バイトを入れてしまったと嘆いたことだ。文化祭の準備が忙しいというのに、なぜに彼女はバイトなど入れたのか?もちろん単発バイトについてはこれまでもやっていたという描写があったが、なにもこのタイミングでやらんでも⋯⋯


 実はこれ、円はあえて短期バイトを入れたのである。その思考はこうだ。どうせ準備作業をやらされるのであれば、時給が発生する作業をやったほうがマシだ、と。つまり準備から逃げる口実のためにバイトをすることにしたのだ。オカ研への愛情など微塵も感じられない、実に彼女らしいエピソードである。


 それで空手バカ・有明省吾(ありあけしょうご)には弥幸の分まで働かせるつもりなのだからヒドい話である。省吾は円の分も含めて3人分働くこととなろう。


 和道凛子(わどうりんこ)、コリンちゃんは大丈夫だろうか?弥幸なしでもちゃんと働くのか?根はマジメな彼女だからサボりはしないだろうが、モチベーションの面では不安が残る。もしかすると省吾は4人分を肩代わりすることとなるのではなかろうか?


 そんな危機的状態にあるオカ研であったが、後輩の言葉を信じて弥幸は旅に出た。まずは新幹線に乗って北へ。幸いにもお天気は上々で、心配した雪の問題もなさそうだ。途中在来線に乗り換え、さらに路線バスで山道を行く。道路脇には積もった雪が見られたが、降雪はなく、運行に支障はなかった。


 そのバスであるが、弥幸は前方の二人掛けの椅子に着席した。出発したときは意外と乗客が多く、立って吊り革につかまっている者も多くいた。しかしなぜかその席だけがポッカリと空席であった。長旅で疲れていた弥幸は不思議に思いながらも、その幸運に感謝した。荷物はちゃんと膝の上に抱え、相席できるよう配慮も忘れなかった。


 しかし弥幸の隣に座ろうとする者は誰もいない――彼の視点では。


 乗客の内のいくらかは、弥幸の隣にぼんやりと透けるような女性を見ただろう。というか、もともと彼女が座っていた席を弥幸が奪った形である。だからそこは混雑していても空いていた。見えない者もなんとなくその場所から嫌な気配を感じて座らずにいたのだ。突然やってきたイケメンに定位置を奪われた彼女が、何事がブツブツ呟く声を近くで聞いた者がいたかもしれない。


 弥幸が偶然乗り合わせたこのバスは、この地域のローカルな心霊ネタになっている車体であった。この路線を利用する学生などの間で、たびたび話題になるという。心霊マニアの弥幸は、本当にたまたまだがアタリを引き当てていたのである。もしかしたら道中スマホで撮影した動画のなかにその影や音声などが記録されているかもしれないが、この時点ではわからない。


 目的地でバスを降りた弥幸は情報収集のために土産物屋へ入った。そこの女性店員は彼をひと目見て目を見張る。もしや弥幸の背後にそのバスの女の姿を見たのか?連れてきてしまったか?


 いやいやそうではなかった。バスの女はイケメンから席を奪い返し、そのままバスに乗っていった。では土産物屋のオカミさんはなにを見たというのだろう?


 それはもちろん彼女がこれまでの生涯で一度も見たことがない、超絶イケメンを、である。オカミさんは自分の見ているものが信じられなかった。これははたして本当に人であるのか?天使かなにかが降臨したのではあるまいか?したがって彼女が弥幸にかけた言葉はお世辞でもなんでもなく、嘘いつわりない本心であった。


 そんな素晴らしい男前が、道を聞いたあともなにやら話を聞きたがっている。それで気分が高揚して有頂天になった彼女はあることないことベラベラ話し始めるのだが、それは次回、弥幸が聞くこととなろう。



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