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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第16話 恋にお悩みコリンちゃんと暴走まどか―ラブコメバカまどか編―

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第16話―エピローグ

 明けて木曜日、凛子(りんこ)は朝イチから講義に出席していた。昨夜はそれほど遅くなったわけではないが、いろいろありすぎて疲れた。まだそれを少しだけ引きずっている。つい飛び出そうになるあくびを噛み殺し、涙が滲んだ。


 隣に座るレイナはそんな凛子の様子を見て想像をたくましくする。昨日凛子が飛び出していってからどうなったのか、まだ彼女はなにも聞かされていない。いまは眠そうだけど、朝から凛子は元気だった。夜更かしするようななにかがあったのかもしれない。レイナはニヤニヤ笑って隙を見て凛子に身体をぶつけた。


「も〜なに〜?」凛子もバレないようにレイナにぶつかり返す。


「寝るな!」


「寝てないよぉ〜」


 ギャルふたり、今日もとても仲がいい。



 1限目の講義が終わり、休憩時間。凛子はレイナとともに中庭を突っ切って次の講義のある教室へ向っていた。見ると空手着姿の省吾(しょうご)がひとりでそこにいる。芝生のところで準備運動をしていた。


 またなにかやってる⋯⋯気づかないふりをしようと思ったが、目をそらす前に向こうが気づいて会釈してきた。そうなると反応しないわけにもいかず、しぶしぶ声をかける。ホントはレイナといる時にコイツラと絡みたくないんだけどなあ。


「省吾くん、おはよ〜。なにやってんの〜?」


「おはようございます、りん⋯⋯コリンさん」省吾は丁寧に頭を下げた。


 もう出会ってからけっこう経つのに、省吾はいまだに凛子の本名の方で呼びそうになる。凛子はそれがものすごく気に入らない。最初は嫌がらせかなんかかと疑ったが、付き合っていくうちにそういう人間でないことは理解した。おそらくニックネームで誰かを呼ぶことに慣れていないのだろう。生真面目で不器用な省吾らしいといえば省吾らしい。

 

「次が休講になりまして、時間が空いたので稽古をしようかなと」省吾はそう説明する。


「稽古ってここで?」凛子は周囲に目を向けた。


 この中庭はパブリックスペースとして学生に利用されている。いまは冬なのですごく多いわけではないが、それでも日向のところではダベっている学生たちの姿がチラホラ見られた。そんななか、省吾の薄いピンク色をした空手着は実によく目立つ。どんな稽古をするのかは知らないが、まあまあ好奇の目に晒されることとなろう。


「いつも使っている教室が空いていなかったものですから」省吾はシレッと言った。


 自分たちは授業だからとそそくさと省吾と別れた。レイナは「やっぱり変わってるね」とクスクス笑っている。それは決して悪意を含んだものではないが、凛子は少しだけ恥ずかしくなって頬を染めた。



 2限目の講義は切りがいいからと10分程度早く終わった。凛子はレイナと話しながら来た道を戻っていた。中庭にさしかかると、さっきの場所にまだ省吾がいた。ひとり横移動で左右に行ったり来たりを繰り返している。たしかあれは合宿の時にも見た覚えがあった。空手の型とかいうやつだ。


 凛子は思わず立ち止まって、その特別見栄えのするでもない、地味な動きを見つめていた。省吾の額には汗が光っている。脇目も振らずに同じ動きをしているが、まさかあれをずっとやっていたのだろうか?


「なんか、スゴイね」隣に立って同じく見ていたレイナがボソッと呟いた。


「⋯⋯うん」


 なぜか目が離せない。惹きつけられる。凛子はそこにある種の励ましを見つけたような気がしていた。他人のことなど一切気にせずに、己の信じるものにただひたすら邁進する。そのようなことが許されるのだ、と。


 自分は一度、あのアホの言葉に惑わされて立ち止まってしまったけど、もう迷わないようにしよう。目の前の空手バカみたいに、まっすぐ愚直にぶつかっていけばきっと道は開けるはずだ。凛子はそう思った。


 2限目の終わりを告げるチャイムが鳴って、ハッと我に返る。いけないお昼休みだ。行かなきゃ!凛子はレイナのほうを向く。レイナは察したのか、顔をしかめて手で追い払うような仕草をしたあとフフっと笑った。


「じゃあ行くね!」凛子はレイナに手を振って、一目散に駆け出した。



 第16話 了



あとがき


 どうもAKTYです。第16話、ラブコメバカまどかでしたが、ラブコメってこんな感じでよかったんですっけ?いつもこんな風になるかなと思ってたような話にはならないんですが、今回はいつにも増してそうでした。プロットを作らない方針であるとはいえ、これはあまりにも予定外すぎる。


 第15話でコリンちゃんが自分の恋心に疑念を持つような描写が入った。それを受けての第16話、滑り出しはいい感じでしたね。再登場のギャル友レイナちゃんが相談役になって、凛子はいつもと違う行動を取る。この恋の行方やいかにって感じです。


 ところが第16話―2で早くも進路に歪みが生じます。円ですよ。コイツがおかしなことを言い出すわけです。ラブホでオバケを拾ってきたのだ!なんてそんなの考えてなかったですよ。本当はここで凛子不在のオカ研を書いて、なんとなく寂しい雰囲気を漂わせるつもりでした。円も無自覚ながら、いつもの調子が出ないなあ、みたいな。お前なにいつも以上にハッチャケちまってんだよ!


 あとは完全に円の独壇場。コリンちゃんパートはちゃんとラブコメムーブで進むんですが、円がド外道ヒトデナシモードに突入しまして、残念ながらそれを諌める者もなく。それにしてもアイツはホントにヒドいですね。親の顔が見てみたい。ああダメだ、親は普通だった。アイツ突然変異でああなったんだわ。ん?いや、親は作者であるワシか?


 コリンちゃんがなにかしらのピンチに陥って、それを弥幸が助けに入るって場面は入れるつもりでした。王道展開ですからね。でも流れがおかしくなっていたので、コリンちゃん自身がそのピンチを処理することになり、ああいう形に落ち着きました。急に空手を使ったコリンちゃんはまるで取り憑かれたかのよう。憑かれてないけど、いわば空手バカの生霊が降りたようなものでしょう。イタコリンの才能開花ってことなのかもしれません。


 そんな感じで思わぬ話の展開になったんですが、上のエピローグは予定通りなんですよね。愚直に稽古する空手バカを見て、凛子が勝手に励まされる。それで前向きな気持ちになって物語を閉じる。メデタシメデタシ。


 まあまあ良い具合にまとまりがつきましたかね。コリンちゃんのなかでは最後まで円に責任をおっかぶせたままですが、まあいいでしょう。それで人間関係に変化が起こるとは思えませんし。これからも彼女たちはギスギスやりあっていきますよ。そういう運命です。


 さて次ですけど、どうしましょうかね。いつもここで書いていますけど、なにも思いついてないです。近日中になにか出てくるといいんですけど。これでエピソード数的には200を超えたみたいなんですが、毎日更新はカクヨム追放騒動以外では一度も途切れてないですから。できればこのまま行きたいなあ。行けるかな?


 なにもなくても書き始めればなにか書くことも出てくるだろうって、そういう甘いスタンスでやっております。甘々TS転生美少女AKTYを今後とも宜しくお願い致します。


 美少女へのオヒネリもどしどしお待ちしておりますので、ワタクシのカバンにはまだ若干の余裕がございます。なにとぞなにとぞご贔屓に願います。


 それではまた次回、ここでお会いできますように。



 AKTY



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