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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第9話 またぐなよ!異界との境界線―町のオバケ踏切編―

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第9話―1 まどか、電車でGO!

 ガタンゴトン、ガタンゴトンと電車に揺られて神谷(かみや)(まどか)は大学に向かっていた。


 普段は原付バイクで通学しているが、今日はあいにくの雨模様。それでも朝イチの授業なら、ラッシュに巻き込まれるのはゴメンなので、カッパを着てブイーンと強行突破する。しかしこの日は休講もあり、遅い時間のご出勤である。のんびり目覚め、のんびり歩いて駅へ行き、いまこうやって昼前の乗客もまばらな車内でのんびり揺られているわけだ。


 とりあえず部室に行って朝昼兼用の食事を取る。それがいまの円の目的であった。先日、大学の超常現象研究会、通称オカ研に入部したことで、大手を振って部室を使えるようになった。不思議なもので、ひとりでは尻込みすることも多かったあの部屋が、所属すると決めたとたんに気安い場所へと変貌した。誰に気兼ねすることなく利用することができる。いやまああの人を除けば、ではあるが。


 それでもいまだに昼休みは例の3号館で過ごすことのほうが多い。やはりそこはボッチ歴の長い円なので、あまり人と接する機会が続くとくたびれてしまう。お昼くらいはひとり、空手バカの站椿(たんとう)でも眺めながら落ち着いてメシを食いたいのだった。


 この日部室なのには重要な理由があった。こればっかりは仕方がない。3号館では不可能なことである。お湯がね、必要なのだ。昨日スーパーで見つけた新商品のカップ麺を食べるためには。2種類あるうちのひとつは昨夜すでに試した。正直微妙な味わいだったが、これも新規開拓にはつきもののリスクである。それにまだ望みはあるッ!これから食べるコイツには、無限の可能性が残されているのだッ!


 とかなんとか意気込んでいるのは地の文だけで、このとき円はウトウトと眠りに誘われていた。電車の一定のリズムが実に心地よい。もういっそずっと揺られていたいくらいだ。少し離れたところにいる若い女性ふたりのボソボソ聞こえる話し声もなんだかちょうどいい塩梅である。だんだん円の首が前方に傾いでいく。


 ――急停車します、ご注意ください


 円の眠りはこの機械音声のアナウンスに妨げられた。円はハッと目を覚まし、キキキーというブレーキ音と、それに伴うGを感じた。とっさに足を踏ん張って耐えたので、無様な姿をさらすことはなかったが、なにが起こったのかとキョロキョロ周囲を見回した。


「なに?飛び込み?」女性の声が聞こえる。


 うげ、マジか⋯⋯円はネットで見たことのある光景を思い浮かべた。円は中学時代、その手のグロ画像にハマッた時期があったのだ。幸いボッチだったので、「Welcome to Underground」とささやく相手はいなかったのだが。それでもそっとしておきたい黒歴史ではあった。


 人身事故なら長くなるぞと嫌な覚悟を固めた。午後の講義まではまだまだ余裕があるが、昼メシは大丈夫だろうか?計画の練り直しが必要かもしれない。そのようなことに頭を悩ませていたところ、電車はしばらく停車したのち、再び動き出した。なんだろう、問題なかったのかな?と車窓から眺めるが、特に何事もなく進行していく。


「なんだったんだろうね?」また女性の話し声が聞こえる。


「ああ、たぶんアレだよ、前もあったじゃん」ともうひとりの女性。「N木のオバケ踏切⋯⋯」



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