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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
番外編 英依先輩と遊ぼう―魔術実験編―

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番外編―2 英依先輩のお願い

 できるだけ先延ばしにしたいという思いから、ふたつあった選択肢のうち明後日をチョイスしたわけだが、その日はあっという間にやってきた。


 まどかは原付でブイーンと大学までやってきて、ものすごく重い足取りで部室へ向かった。扉の前に立った時、この中に英依はなえが待ち構えているのだと考えて、いつも以上にノックするのが躊躇われた。そんな時、救世主は現れた。


「あ、神谷さんこんにちは」


 声をかけられて振り向くと、そこには省吾しょうごの姿があった。円はホッとして、ついついだらしなく緩んだ笑顔を省吾に向けた。それからサササと動いて省吾の背後に回ると、さあ行けっ!とばかりに背中を押した。


 省吾は不思議そうに首をねじって背後の円を見たが、結局促されるままにドアを叩いた。すぐに「は~い」と返事がある。いつもの弥幸ではなく、女性の声。英依だ!


「失礼します」省吾はドアを開けながらそういうと、丁寧にお辞儀した。背後に隠れていた円は、その瞬間、反射的に身をかがめた。


「いらっしゃい、よく来てくれたわね、省吾と⋯⋯円も」英依は座ったまま首を伸ばして円の所在を確かめた。


 バレてしまっては仕方がないと、円は横から顔を出し「チーッス」とかすれた小声で挨拶する。そんな円に英依は優しく微笑んだ。


 部屋の中には英依ただひとり。いつもそこにいる印象の弥幸みゆきの姿も、そのおっかけ、キラキラ☆ギャル・和道凛子わどうりんこの姿もない。円はそのことを認識すると、途端に心細くなった。英依だけが部室にいる状況というのが、もうすでに円にとっては非日常なのだ。


 いまや定位置になった窓側の椅子に省吾と並んで腰かけた円は、緊張しながら英依の言葉を待った。しかし彼女はニコニコ笑ってふたりを眺めるだけで、なにも話そうとしない。痺れを切らした円はヒジで省吾の脇腹をつついた。(おい、有明、なんか言えよ!)


「今日はなにをするんでしょうか?」奇跡的に円の意図を読み取った省吾がそう尋ねる。


「ウフフフ」もったいぶった笑み。それから英依はようやく用件を切り出した。「実はね、今日はちょっと試してみたいことがあって⋯⋯」


 英依の試したいこと――それはなんと悪魔の召喚なのだという。まあ彼女によれば悪魔に限った話でもないそうだが、ちょっと面白い黒魔術の本を手に入れたので、試してみたいのだとか。なにが出てくるかは未知数だが、うまくいったら面白そうじゃない?と。


 悪魔召喚ってそれで呼び出せたとしてどうすんだよ、と円は口には出せないツッコミを入れた。仲魔か?仲魔にするのか?ちゃんと悪魔召喚プログラムは手に入れてあるんだろうな?ハンドヘルドコンピュータはどこだ?それにしても⋯⋯


「どうして私たちだけなんです?弥幸先輩は?コリンちゃんは呼ばないんですか?」円はおそるおそる尋ねてみた。


「弥幸はね、観測するのに役には立つんだけどね⋯⋯」それだけ言って、あとは言葉を濁した。


「じゃ、じゃあコリンちゃんは?」円は続けて問う。


「コリンはほら、危ないでしょ?こんなのに参加させられないわよ」


 危険と言うなら、それに呼ばれた私たちは?と円は少しムッとしたが、英依はそんな円に弁解するように微笑んだ。


「違うのよ⋯⋯あなたたちふたりなら大丈夫だって考えてのことなの」英依はそう言って円の目を見つめる。


 こんな恐ろしい人物にそうやって信頼を向けられてしまえば悪い気はしない。それに円かとしてもぜんぜん興味がないというわけでもないのだ。正直言ってかなりソソられている。もうこの時点でかなり乗り気になっていた。相変わらずのチョロまどかであった。


 円は省吾の方を見た。彼の表情からはその心境は読み取れない。だが、円が深く頷くと、向こうからも頷きが返ってきた。


「わかりました、やりましょう」円は決断を下す。もう腹は据わっていた。


「よかった〜」英依はそう言って立ち上がった。「それじゃあまずは腹ごしらえといきましょう。奢るわよ」


 おっ、ラッキーと円も立ち上がる。いつもなら英依に奢られるなんて事態にはもっと警戒心が働くところだろうが、さっきの信頼がまだ効いている。不安にも疑問にも思うことなく、英依に先を促されるまま廊下に出た。省吾もそれに続く。


 そんなふたりの背中を見送って、電気や空調を切り、外に出て鍵を閉めた英依は、口中でこう呟いた。


「あなたたちふたりが揃えばなにかが起こりそうなのよね⋯⋯」



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