2日目(7)
僕は二人が試着室に居る間、気分を変える為服を眺めながら待っていると、声と一緒にお腹の辺りに後ろから手を回される。
「だーれだ」
「なっ!?」
雫の声と共に急に抱き着いてきた腕に、僕は驚いて声を荒げる。
「何してるの!?」
僕が驚いている間に遅れて現れた島田さんは、雫の手を引っ張って僕から引きはがしてくれる。
「ぶ~~、だって」
「だってじゃないの。いいから離れなさいって!」
僕が一息ついて後ろに振り替えると、そこでは、島田さんによる雫の説教大会が開かれていた。
その光景に若干の違和感を覚えたが、それよりも先に、先程の格好とは違い淡い色のワンピースを着た可憐な姿で叱られている美少女に、僕は思わず言葉を失ってしまう。
僕の様子に気が付いたのか、島田さんは不服そうな顔をしながらも、小さく笑いながら雫を一歩前に押し出す。
すると雫も僕が見とれている事に気が付いた様で、ここぞとばかりにクルっと回ってにこりと笑顔を咲かせる。
「その……どう、かな?」
雫の事をぼっと見ていると、僕が何も言わなかったせいか、恥ずかしそうに感想を求めてきて、僕は急いで言葉を返す。
「あ! うん。その……すごく、似合ってると思う」
「そっか。へへ、ありがとう」
僕が詰まりながらも、あやふやな言葉で感想を言うと、雫が恥ずかしそうに下を向くから、僕もつられて恥ずかしくなってしまう。
「はいはい。それでその服、買うの?」
僕達の妙な空気を壊す様に、島田さんは手を叩きながら機嫌が悪そうな声を出す。
「ああ、うん、そうだな。雫もそれでいいか?」
「うん。良いかな?」
雫はためらいながらも嬉しそうな声を出して、厚意を受け取ってくれ様とする。
「なら、買いに行こうか」
「うん!」
雫の返事を聞いて、僕達が当然の様にレジに向かって歩き始めると、島田さんは小首を傾げて怪訝そうな声を小さく吐く。
「え?」
そのあと何も言わない島田さんは、どんどんと先に進んでいく僕達に小走りで駆け寄ってきて、彼女は何でもない様な顔をして、言葉の続き決して告げなかった。




