終わったんだ
悟たちは気付いたら元の世界にいた。風間が気絶したことにより異世界を保ってられなくなったのだろう。
「おい!大丈夫だったか!?」
日向と月が心配そうな顔をして走ってきた。
「・・・はい。何とか」
「よかった」
悟が答えると日向はとてもほっとしたようだった。
「しずくちゃん!!」
大きな声がこだました。
「・・・コン・・ちゃん?」
シノと立っているコンを見て、雫は目に涙を浮かべた。
「しずくちゃ~ん!!」
「コンちゃ~ん!!」
雫とコンは駆け寄り抱き合って、泣きあった。
「ついさっき終わったところよ」
「シノさん・・・ありがとうございます」
シノはとても疲れた様子だ。ただ、それは無理もないだろう。今、シノはこの世界の時間を止めているのだ。だからこそこんな騒ぎを起こしていても誰も出てこないのだ。それと同時進行でコンの治療もおこなっていたのだ。疲れるのは当然だ。
「ご苦労様。こっちも片付いたところだ」
「・・・あとはこの魔族の石化を直すだけ」
「そ、そうだな・・・」
月の言葉に日向は苦笑いを浮かべた。
「じゃっ!ぱっぱとやっちゃいますか!」
腕まくりをしてやる気満々で言ったのはシノだった。
「おいおい、無理すんなよ・・・お前はまだ時間を止め続けないといけないんだぞ」
「大丈夫よ。こういうのは人数多い方が良いでしょ?」
「じゃあ、俺も手伝いますよ」
「よし、じゃあみんなでやるか!」
そうして、作業は始まった。作業内容は石化した魔族を移動させるものだ。石化を解くのは月の仕事だが、いっぺんにできる範囲が限られている。なので、その範囲内に移動させるのだ。しかし、四方八方に大量の石化した魔族を移動させるのはかなりの重労働だ。
作業を終えた時には開始から四時間が立っていた。まぁシノの力で時は止まっているから実際は一分も経ってないんだが。
「よし、月頼んだぞ」
「・・・うん」
月は手を前に突き出し、力を入れた。すると光が集めた魔族に浴びせられた。
すると、医師がみるみる溶けていくように消えていった。
「お?なんだ?」
「一体どうしたんだ?」
「そうだ。俺たちは・・・」
石化が解かれた魔族は自分たちの仕事を思い出したのか、再び日向たちに向かい始めた。
「ちっ、これがあるから面倒なんだ。説明して納得してくれるのか」
日向が舌打ちを打って行った。
「やめろ君たち!」
再び攻撃を振るおうとしてた魔族の動きが止まった。
「風間・・・」
そう、やめろと大きな声を上げたのは風間だった。
「計画は失敗だ・・・すまなかったな・・・」
風間は・・・あの風間が頭を下げた。
それを見た魔族は戸惑いを隠せない様子だったが、しばらく考えたのち。
「分かりました・・・俺たちは風間さん、あなたに従います」
「すまない・・・ありがとう」
魔族たちは去って行った。
「なんと言うか・・・お前ってやっぱすごかったんだな」
悟が感心してして言った。
「いや・・・そんなことは無い・・・君が気付かせてくれたんだ。この世界は全て思い通りになるわけではない・・・・楽しいんだって」
笑みを浮かべて風間は言った。
「良かったよ・・・分かってくれて」
悟も風間に答えて笑顔になった。
そして、分かった。これで、終わったんだ・・・本当のラストだ。
雫も無事だった。コンも無事だった。世界も無事だった。
悟にとって、正真正銘のハッピーエンドだ。




