普通のやつはいなかったという事
「・・・・神山悟・・・君は一体・・・」
動揺の色が隠せない様子で風間は言った。
「俺は普通の高校生だ」
「さっきまで死んでたやつがよく言うよ・・・」
「・・・・え?死んでた?」
キョトンと不思議そうな顔をして悟は訊き返した。
そして、自分の体の様子を触って何度も確かめる。体自体には傷一つ残っていない。服だけが破けている状態だ。
「そう言えば俺・・・雫に体を・・・」
そう呟いて悟は雫をチラッと見た。雫は混乱して疑問・恐怖・心配などどんな顔をすればいいのか分からない様子で悟のことを見つめていた。
「・・・へっ、結局普通のやつなんていなかったってことかな」
笑みを浮かべて悟は言った。
「俺のことはどうだっていい、後で考えればな。だが、お前のことは今すぐけりをつけるぞ」
拳に力を込めて悟は風間を睨み言った。
「・・・・けりをつける?ふふふ、それならその結末は僕の勝利だよ。言っただろ?この世界は僕の思い通りなんだよ」
「ああ、だからこそ消したかったんだろ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあなんでまだ世界は消えてないんだ?」
「・・・な!?」
悟の言葉に風間は狼狽えた。
確かに悟の言った通りだ。何でも思い通りになるならすでに世界は無くなっているはずだ。しかしそうでないという事は。
「お前自身が世界を消すことを望んでない。それとも、世界はお前の望み通りにならないってことだな」
笑みを浮かべて悟は言った。その皮肉にも思える笑いは風間を挑発させた。
「・・・・言ってくれるじゃないか・・・」
見事風間は挑発に乗せられてしまった。風間らしくもなく冷静さを失っているようだ。
風間は拳に力を込めて悟に向かって走り始めた。
「俺も前まではこの世界はつまらないと思ってた・・・・だが、雫に会って変わった・・・俺が教えてやるよ・・・・この世界はスゲー面白いって!!」
次の瞬間、悟の拳は風間の頬にクリーンヒットしていた。風間は五メートルほど宙を舞い、地面に叩き付けられた。言うまでもなく気絶している。
「こんなバカみたいな戦いは・・・終了だ」
力を使い切って疲れ果てた悟は息を荒げながらそう言った。




