覚醒
「これはまずい」
「相川か・・・」
悟はもうなぜ相川がそこにいる事に驚いたりはしない。
空気と一体化している相川はどこにでも現れるし何でも知っている。
「まだ生きてるわ。何とかなるかもしれない」
コンの様子を見て相川は冷静に言った。
「本当か?じゃあ・・・」
そこで悟は言葉を止めた。
悟の背後で動きがあったからだ。そして、悟の背中には雫がいる。
つまり・・・
「雫・・・?」
「・・・・・」
返事がない。ただ、震えている。
「お、落ち着け雫・・・大丈夫だ」
「あ・・・・あ・・・」
「雫!」
「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐわっ」
雫が叫んだ。その瞬間、目には見えない圧力のようなものを感じ、それに押され悟と相川、そしてコンは飛ばされ雫から離されてしまった。
「し、雫!」
「これはヤバいなんてもんじゃないわ」
「な、まさか『覚醒』」
雫は泣いていた。自分のせいでコンちゃんが・・・死んだ・・・
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ・・・
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
雫の感情がマイナスに振りきった。その時、雫の周りを黒いオーラのようなものが包んでいく。
「雫・・・ぐわっ」
雫に近付こうとした悟は再び圧力に押され飛ばされた。
そして次第に雫の姿も変わってきた。黒くて艶のあった髪が白くなり、角も生えてきた。さらに背中には黒い羽が生えてきた。
「これが悪魔・・・」
「かなりまずい・・・」
さすがの相川も動揺している。
雫が悟たちに手を向けてきた。すると掌から火の玉が出現し、それを放ってきた。
「なっ!?」
「危ない」
悟の盾になるような形で相川が前に出た。
手を火の玉に向け受け止めた。そしてその瞬間火の玉が消えた。
「消えた!?」
「一か八かだけど、上空に瞬間移動させた」
相川がそう言った瞬間。
ドォ~ン!!
「な・・・」
すさまじい爆音とともに空が真っ赤に輝いた。とてつもない爆風が悟たちを襲った。
「これが悪魔の・・・雫の覚醒した力」
悟は呆気にとられた。
まさに『最悪』だった。冗談とかではなく本気で世界を滅ぼすなんて容易いと知れた。
「なんだなんだ?」
「何今の?」
「花火?」
近所の一般人が今の爆発音を聞いて出てきてしまった。
「まずいぞ。雫が見られてしまう」
「大丈夫よ」
「シノさん・・・ってあれ」
シノがやってきた途端周りが静かになった。
「時間を止めてるのよ」
「そうだ。シノさんにはその力があったんだ」
「だからと言って雑談している暇はないぞ」
日向が現れてそう言った。
「今の状況を終わらせる方法は二つある。一つは殺すこと。もう一つは覚醒を解くこと」
「もちろん後者に決まってる」
悟は即答した。
「じゃあ、作戦を伝える」




