第8話 幸せの1ページ
その頃遥斗達はというと
「この世界は平和になったんですかね?」
僕は水口さんに向かって言う。
「多分大丈夫、パプルが言っているのなら問題ないはず。
直に町も直るはずだから……私達も帰るわね」
「あの、水口さん……ありがとうございます。
勿論、橋原さんも」
「気にしないで、私達はパプルの部下だから。
やるべきことをやったまでだし」
「俺も同じ意見だ、それ以外特に言う事ねぇしな」
「あの……また会えますか?」
「うーん、私達も別の世界に入ってこういう風にしてるから、中々会えないかも。
でも、全く会えないってわけじゃないから」
「それなら良かった、もう会えないって思うとちょっと寂しくて」
「貴方には支えなくちゃいけない子が居るでしょ?」
その言葉と共に僕の耳に澄んだ水のような声が。
「遥斗〜」
こちらに歩いてくる者が、水原亜香里だった。
「亜香里!!」
僕は亜香里に駆け寄る。
「終わったんだね……何もかも」
「ああ、また幸せな静かな毎日がやってくる」
「良かった」
「橋原………さん…ありがとよ」
洋介は手を握り拳のようにして手を伸ばした。
「ふっ……ああ、お前の活躍見てたぜ……流石だな……」
橋原も洋介と同じようにして、2人の拳がぶつかる。
「プレお姉ちゃん、ありがとうございます」
「沙織ちゃんも頑張ったね、よしよし〜」
水口さんは笑顔で沙織の髪をくしゃくしゃする。
……。
そして他愛のない会話を終え
「それじゃあ……私と橋原は帰るわね。
元気でね……また会う日まで」
「はい」
「転移」
そうして2人は消えた。
………。
1年後
「あ~あ~」
亜香里は赤ちゃんをあやしていた。
「ママですよ〜」
亜香里は嬉しそうな顔で言う。
「亜香里、少し出かけるね」
「何処に?」
「洋介と沙織と少し会うから近くのカフェに」
「私も行ってもいい?」
「まぁいいけど」
「やった〜準備するね」
そうして僕と亜香里は準備を済ませ、近くのカフェに向かうと入り口近くに洋介と沙織が居た。
「洋介、沙織〜」
僕は手を振る。
「おう!」
「あ!亜香里の赤ちゃんだ〜」
洋介はこちらに手を振り、沙織はこちらに駆けてきた。
「おめでと亜香里、可愛い赤ちゃんだね」
「うん」
「名前は?」
「美夢よ、夢のような美しい子に育ってほしいから」
「いい名前だね」
「ほら、立ち話も何だし入らねぇか?店の前だと迷惑になるかもだしな」
洋介が2人に言いカフェの店内へ。
僕達は席に着き、自分はココア、洋介はブラック、沙織は紅茶、亜香里はお茶を頼んだ。
少し一息つき
「平和だね〜」
沙織がつぶやく。
「そうだね、これも僕達と水口さん達の力があって成った事だから」
「確かに、みんな元気にしているかな?」
「元気なんじゃない?」
「剣さんや愛ちゃんにもまた会いたいね」
「確かに、全然会ってないもんね」
「それとあの子にも」
「萌々の事?」
「うん、話が合うからまた会いたいんだけど……連絡先交換するの忘れてて……」
「……きっと会えるよ……何かしらの運命がまた重ねれば」
「沙織ちゃん」
!?
突然声をかけられ振り向くと
「え!?萌々ちゃん!?」
そこに居たのはカフェオレを飲んで嗜んでいる萌々ちゃんが。
「また会えたね、沙織ちゃん。
って……泣きそうにならないで」
沙織は少し泣きそうな顔をした。
「だ、だって……また会えて嬉しいから」
「ほら、これが私の連絡先だよ」
萌々は連絡先が書かれた紙を渡した。
「ありがと」
「ふ~んそれよりも2人の赤ちゃん、可愛いわね。
私も相手が居ればいいんだけどね」
「萌々さんは顔が良いから直ぐに出来ると思うよ」
「ふふっ、直ぐに相手を見つけて自慢してやるんだから」
萌々さんは自信満々で答えた。
そうして楽しい時間は過ぎていき
「ふぅ〜……たくさん話せてよかった。
ありがとね」
萌々さんは言う。
「私もみんなと会えて嬉しかったよ」
「それじゃあ俺と沙織は朝早くから仕事あるし帰るわ」
「うん、ありがとね」
「私も帰るね、私も仕事あるし」
「ありがと萌々さん」
「うん、じゃあね」
そうして3人は帰っていった。
……。
「亜香里、みんなと久しぶり会えて良かったか?」
「うん、とても楽しい時間だったよ。
また会いたいね」
「いま、別れたばっかだろ。
ふふっ、亜香里はお茶目だね」
「むぅ〜」
亜香里は頬を膨らませる。
……
そうしていつもの日々、いつもの毎日、いつもの平和な時間が戻って来た。
それは当たり前のように思えて、実はとても凄いこと……。
その頃、
カタカタカタ。
「……パプル、これでいい?」
亜津紗がパプルに向かって言う。
「えっと………うん、これでいいよ。
後は私が調整しておくから、休憩に入っていいよ」
「う、うん」
亜津紗は自分で作ったオリジナルのパンを頬張る。
……。
カタカタカタ。
カタカタカタ。
部屋に響く、キーボードを叩く音。
「あ、あのさ……」
「うん?何?」
パプルがこっちを向く。
「あ、あんたもこれ食べる?」
亜津紗はもう一つのパンを渡す。
「ありがと亜津紗、これが終わったら食べるから置いといて」
「う、うん」
……。
パプルはまたパソコンの方に向き、キーボードを叩く。
カタカタカタ。
カタカタカタ。
(……私の運命がこうなるなんて……思っても居なかった……私はこの運命を……求めていたのだろうか……分からない……分からないけど……きっと……この運命が正しいのだろう……)
「飲み物買ってくるよ、何がいい?」
「え、あ~……お茶でいいよ」
「お茶だね、分かった」
………。
「ねぇ、亜津紗……」
!?
急に声をかけられる亜津紗、少しピクリとして振り返る。
「いつもありがと、私……貴方と仕事出来てとても楽しいよ。
毎日がハッピーだよ」
「こ、こちらこそ……楽しい日々をありがとうございます。
また……貴方の下で働けるなんて思いませんでしたから」
「ふふ」
「ふふふ」
「それじゃあ買ってきますね」
「うん、お願いね」
そうして亜津紗は飲み物を買いに出かけた。
………。
(亜津紗……私、貴方の事を考えると胸が熱くなるの……とても……こうして一緒に仕事が出来る……これが真の幸せなのだろう……。
明日も……そしてこれからも………)
パプルは立ち上がり、窓から外を見つめた。
外は綺麗な夜空が広がっており、月が輝いていた。
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