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第五十三話 残っている
夜のあとに残るものの話です。
見慣れた天井。
体が痛い。
自宅のソファ。
いつの間にか、眠っていたらしい。
目を開ける。
薄暗い室内。
時間が分からない。
頬に、違和感。
指で触れる。
濡れている。
小さく息を吐く。
夢でも見ていたのか。
内容は、思い出せない。
ただ、残っている。
懐かしいような。
少しだけ、苦しい。
手を握る。
まだ、感覚が残っている気がした。
視線を落とす。
声が出ない。
そのまま、しばらく動けなかった。
――体が痛いせいだ。
そう思うことにした。




