表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/71

第二十一話 夕食

キャッチボールの後の夕食回です。


双子の父の職業が少し明らかになります。

そして思いがけず、仮面ライガー鑑賞会が始まることに。


少し賑やかな夜の時間をお楽しみください。

食卓には湯気の立つ料理が並んでいた。


双子は席に着くなり騒ぎ始める。


「さくちゃんすっげえ!」


「……またやりたい!」


咲也は顔をしかめた。


「飯の時くらい静かにしろ」


夏希が笑う。


「いいじゃない。楽しかったんでしょ」


「それより」


ふと湊を見る。


「今日も泊まってけば?」


咲也が眉をひそめる。


「俺は大丈夫として、蒼井くんは明日仕事だろ」


「湊くん、明日仕事?」


「ええ」


「何時入り?」


湊は少し考える。


「十七時出勤です」


夏希はあっさり言った。


「じゃあ大丈夫ね。泊まってきなさい」


「ええ!そんな、悪いです」


夏希は肩をすくめた。


「夫が今ロケでいないのよ」


「あなたたちがいる方が、この子たちも喜ぶわ」


「ロケ?」


湊が首を傾げる。


「役者さんなんですか」


「大変ですね」


夏希が言う。


「そう。役者は役者だけど」


その瞬間。


双子がぴょんと立ち上がった。


「お父さん中の人!」


「仮面ライガー中の人!」


「今のライガーもお父さんだよ!」


「……毎週やってるやつ!」


ぴょこぴょこ跳ねる双子。


「座りなさい!」


夏希に怒られて、二人は慌てて座る。


湊はきょとんとしていた。


「え?中の人?」


その瞬間。


双子と夏希の目がキランと光る。


咲也は半ば諦めた顔で湊を見た。


完全に巻き込まれるパターンだ。


夏希が手を叩いた。


「よし!」


「じゃあご飯終わったら仮面ライガーオールナイトよ!」


「やたああ!」


「やめろ」


しかし当然、誰も止まらない。


食事は慌ただしく終わった。


双子は皿を片付けるのもそこそこに、テレビの前へ走っていく。


そして、鑑賞会が始まった。



なし崩しに始まった鑑賞会。


「ほらここ!」


オープニングを止めて、双子が画面を指差す。


テロップに名前が出ていた。


桐生清吾


「おとーさん!」


「へえ、そうなんだ」


湊が感心する。


夏希が腕を組む。


「スーツアクターなのよ」


自慢げに胸を張る。


「顔は出ないけどね」


「変身後のアクションは全部うちの旦那」


湊は画面を見つめた。


しばらくして言う。


「確かに」


「流れるような動きが見事ですね」


「型にハマって綺麗だ」


「あらやだ、わかる?」


夏希がバシバシと湊の背中を叩く。


「さすが湊くん!」


「おいおい、夏希。やりすぎだろ」


咲也が呆れる。


「いいのよ」


夏希が笑う。


「私たち仲良くなったんだもんねー。湊」


湊は苦笑する。


「ええ、そうですね」


咲也が言う。


「蒼井くん」


「こいつはすぐ調子に乗るから」


「嫌なことは嫌って言った方がいい」


「何よ」


夏希が睨む。


「失礼な兄ね」


「失礼はお前だろ。蒼井くんに謝れ」


「なんでよ」


兄妹のやり取りに、湊がくすりと笑った。


キョトンとする二人。


「いや」


湊は少し照れたように言う。


「いいなと思って」


「兄弟喧嘩」


「うちも、しておけばよかったな」


湊はそう言って、少しだけ笑った。


夏希は一瞬だけ目を丸くした。


それから言う。


「何言ってんのよ」


「私たち、もう兄弟みたいなものじゃない」


「遠慮なく喧嘩でもなんでもしましょう」


そして腕を組む。


「ま、私もスーツアクターなんで」


「負けないけど」


構えた。


さっき見たライガーのポーズだ。


湊が言う。


「なるほど」


一瞬、動きを確かめるようにして。


「こうですか?」


初めてとは思えないほど、ぴたりと決まった。


「あら綺麗ね」


夏希が目を丸くする。


「経験者?」


「経験?」


湊は少し考える。


「合気道なら多少は」


「すごーい!」


海斗が叫ぶ。


「湊くん強いの!」


「いや、そんなことは」


夏希が言う。


「じゃあこんな動きは?」


湊が真似する。


一瞬だけ、動きをなぞるようにして。


「こうですか?」


「あら!」


「怪人の動きまでピッタリ!」


「すごいわ!」


「じゃあこれは?」


「こうですか?」


気がつけば。


ポーズ大会になっていた。


湊は次々と、


歴代ライガーの決めポーズを習得していく。


そしてそれは——


見かねた咲也の声で、ようやく止まった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


双子の父は仮面ライガーのスーツアクターという設定でした。

顔は出ませんが、変身後のアクションは全部お父さんです。


そして湊は、なぜかポーズの再現が妙に上手いという新事実。


次は少し静かな夜の話になります。

「夜更け」です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ