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第十三話 報告

バーでの静かな火花のあと、

今度は黒崎の側から物語が動き出します。


短い報告の電話ですが、

この一通で水面下の流れが少しだけ見えてきます。

ホテルの外に出ると、夜風が少し冷たかった。


黒崎はエントランスを振り返る。

ガラス越しに見えるロビーは静かだ。


二階。

Bar Havenの灯りが、まだ小さく残っている。


ポケットからスマートフォンを取り出す。

画面を一度だけ確認し、通話ボタンを押した。


コール音。


一回。


二回目で繋がる。


黒崎は口元をわずかに歪めた。


「……俺です」


少しの沈黙。


「ええ」


黒崎はホテルを見上げる。


「見つけましたよ」


短く言う。


「高宮さんです」


電話の向こうが何か言う。


黒崎は小さく笑った。


「ええ」


「俺の行きつけで会いましたよ」


夜風がシャツの裾を揺らす。


黒崎は肩をすくめた。


「……俺と同じ性分みたいですね」


くく、と喉の奥で笑う。


電話の向こうで、少し強い声が返る。


黒崎は軽く手を振った。


「大丈夫」


「遊んでませんって」


わずかに間を置く。


「怒らせて、帰られましたよ」


また短い沈黙。


黒崎は目を細めた。


「ええ」


「間違いないです」


ホテルの二階の灯りをもう一度見る。


「元気そうでした」


小さく息を吐く。


「あなたの言った通りだ」


電話の向こうで短い返事。


黒崎は「了解です」とだけ答えた。


通話を切る。


画面が暗くなる。


黒崎はスマートフォンをポケットに戻した。


もう一度ホテルを見上げる。


二階。

Bar Havenの灯りは、まだ消えていない。


「さて」


ぽつりと呟く。


「もう少し楽しませてもらうかな」


黒崎はニヤリと笑う。


そして、ホテルへと踵を返した。

高宮を見つけた黒崎。


そして、その報告を受け取る「誰か」。


まだ名前は出ていませんが、

この電話が、これからの物語を大きく動かしていきます。


そして黒崎は、もう一度Bar Havenへ。


次回は「残り火」。

閉店後の静かなバーで、もう一つの火花が残ります。


読んでいただきありがとうございました。

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