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手合わせ


俺はドアを開けて家の外に出た。

いつの間にか外は薄暗く、いよいよ夜の帳が降りようかとしている。


しかし目に映る森の奥は既に闇に沈み、遠くで何物かの鳴き声が上がるなど不気味さを増していた。



振り返ると薄暗い中でもお菓子の家はほんのりと暖かそうな光に照らされている。

家の側に柱が立っており、柱の上にある丸い玉から光が辺りを照らしていた。

恐らくこれも何らかの魔法によるものだろう。



「ん? ルルじゃねーか、どうした?」

「ボス……」


気づけば側にボスが立っており、その背後……家の側ではボスの部下達がテントを張っていた。

ボスは葉巻を口にくわえ煙をくゆらせながら森の奥へと視線を向ける。


「昼間は助かったぜ。 ったく俺の部下共ときたらだらしねぇ」

「まぁ人相手とはまた違うだろうしな。 一応キズは治ったと思うがなるべく無理はさせずにな?」

「お前さんは心配性だな」

「心配性って訳じゃねーが……まぁ僧侶って職業的なものかもな。 それより……」


葉巻をスパスパふかすボスに、


「ボス達は家じゃなくて大丈夫か?」

「あんなに狭い家じゃな……それに」


お菓子の家をチラリと見て、


「こんな怪しい家に入れるかってんだ」

「まぁ、気持ちは分かる」


俺も最初はかなり警戒してたしボスと同じ様な感じだったしな

ユーナによればあの婆さんは魔力もなさそうだし、恐らく言っていた事は本当の事だろうと……我ながら単純だぜ

すぐに信用して安心しちまうとか……まー性分って奴だな!



「それに、どちらにしろ外に誰かいたほうが良いだろうしな」

 

確かにそれはあるかもしれない。


「じゃあ悪いが外を任せてもいいか?」

「ああ」

「それと婆さんが今夜は泊まっていけと……夜でのこの森は危険そうだし、それにこの家にはゾンビや魔獣達が寄ってこないらしい」

「それ本当か?」

「本当だとは思うが……まぁ見張りは立てたほうが良いだろうな」


婆さん一人の時と俺達がいる時とでなにか相違が起こる可能性もないとは言えないし、まぁ、警戒するに越したことはないからな


外にいるとはいえボス達だけに見張りを頼むわけにもいかない。

後で見張りのローテーションについて話すことを伝え、俺は一旦家の中に戻ろうとした……ところで家の中からライオンとウィルが出てきた。

手には剣を持っている。


「お? どうしたんだ?」

「ウィルと手合わせだ」

「俺がライオンに手合わせを頼んだ」

「へぇ〜」


ライオンとウィルの手合わせか……面白そうじゃねーか!


「見ててもいいか?」

「俺は別に構わないが……」


ライオンの視線を受け、


「ああ、俺もだ。 ルルが見てくれるなら力になるからな」


ウィルは鋭い目をライオンに向ける。

気迫が一層強くなったのが感じられた。




ライオンとウィルが互いに剣を向けあう。

もちろんどちらも鞘に納めた状態でだ。


「ふっ!」


短く息を吐くと同時にウィルが前に走る!

猛獣が突如襲い掛かるが如くライオンに牙……ならぬ剣を叩きつける!


勢いの乗った剣をライオンは上手く受け流し、そのままカウンターから剣を振り抜いた!

受け流されたウィルだが体勢はしっかり残っており、ライオンの反撃を後ろに下がって躱すと、振り抜かれた剣の隙を狙って突きをお見舞いする!


今度はライオンが下がってそれを躱す!

先程反撃を躱す為下がった分、ウィルの剣は届かない!


そうして互いに再度間合いを取り合った。



俺はそれを見ながら興奮していた!


二人共すげぇぜ!

良いなぁ……僧侶じゃなければ俺も剣を扱いたいぜ!

やっぱり格好良いしロマンだよなぁ……


気が付けば手をしっかり握り締め掌が汗ばんでいる。


……俺も杖で参加しようかな? やっぱ手合わせで鍛えたほうが実戦的でいいだろうし、それに負けられねぇ奴も多いからな!



そんなことを考えている間に再び両者が剣をぶつけ合わせていた。


ライオンが剣を振り下ろし、それを受けようとウィルが構える!

が、ライオンが軌道を少しずらしてウィルの剣先の部分を叩きつけた!


強烈な一撃を剣先で受けたことでウィルの剣先部分が接地する、そしてライオンが手首を返し剣で斬り上げ……ウィルの喉元にピタリと剣先が添えられる。


「……降参だ。 やはりあんたは強いな」

「いや、俺も小手先の技で勝っているに過ぎない。 正攻法ならどうなるか……」

「それこそだ。 実戦で小手先の技だからと言う言い訳は通じない。 言い訳する間もなく死ぬだけだからな。 だからこういった経験は非常に助かる」


頭を掻くライオンに対し、ウィルの方は悔しそうではあるもののサバサバとした感じだ。

そして、


「ではもう一度良いか?」

「ああ、構わん。 いくらでも付き合おう」


再び両者が剣を構える。



それを見ながら俺は心の中でウィルの言葉に深く同意していた。


だよなぁ……戦いでは何が起こるか分かんねーし!

俺も風呂で襲われたりスカートの中に潜られたりと予想外の事ばかりだし……死んじまえば言い訳なんて意味ねーもんな!


やっぱり俺も手合わせ参加させてもらおーかなぁ?


二人の戦いを眺めながら俺はそう考えるのだった。


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