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荒れ果てた街道


フラフラと彷徨っていたゾンビ達だが、俺達が近付いていくとその音に気付いて走り出した!


走ってくるのは丁度四体……一人一体ってところだな。


「ゴンズとリリは左右のを頼む、俺達は真ん中の二体を倒す」


その言葉に二人が素早く散会する。


「デニム、一体は……そっちの女性のは俺がやるから、おっさんのゾンビは任せたぜ」

「あ、ああ」


少し顔が引き攣っている。

俺が背中をバン!と叩いてやると、


「いてぇ!」

「しっかりしろよ? 大丈夫、怪我しても俺が治してやるから」

「姐さん……、よ、よし! 任せてくだせぇ!」


その会話が終わった時にはゾンビが直ぐ前まで来ていた。

掴みかかろうとしてきたゾンビを躱して、その無防備な後頭部に杖を振り下ろす!

手に硬いものが砕ける感覚が伝わった!


女性ゾンビはそのままヘッドスライディングをする様に地面に倒れる。



これでコイツは救済完了……他は?


デニムはナイフを手におっさんゾンビと戦っている。

闇雲に斬り切りつけている様だったので、


「デニム、首の骨を断て! もしくはナイフの柄で後頭部を強打しろ!」

「わ、わかりやした!」


ゴンズとリリは……特に問題なくそれぞれ仕留めているな

残るはデニムだが……お? やっぱりアイツ体型の割には素早いな


素早く襲い来るゾンビをヒラリと躱し、首をナイフで切りつける!

しかしゾンビは倒れない……浅かったようだ。


しかし直ぐに手首を返し連続して切りつけると、ゾンビがぐらりとよろめきそのまま地面に倒れ伏した!


「デニムやったな。 怪我はしてないか?」

「姐さん……」


デニムは何とも言えないような顔をしていた。

俺はその肩を叩いてやる。


「ありがとうな。 お前のお陰でこのゾンビは救われたんだ。 これでようやく安らかに眠れるだろう」

「そう……ですかね」

「ああ、そうだ。 俺達の気分は最悪だがな……人をやっちまった感じだしな」

「じゃあやっぱり姐さんも?」

「ああ。 でもそれでもしなくちゃなんねーんだ」


そう、世界を救うのは呪いを解くだけではなく、呪いからの解放もしてやらないと……


「んじゃ、戻るか。 ライオン達が待ってるしな」

「そうッスね」

「そうだな」

「はい、姐さん」


俺はゾンビ達に手を合わせ祈りを捧げると、みんなの元へ戻るのだった。



その後も荒れ地を進み続けると、大きな森に出くわした。

道としては森の中に続いている。

森は鬱蒼としており、うすぐらく視界も悪そうだ。


「視界が悪そうだし気をつけて進むぞ」


俺はそう声をかけて気を引き締めると森の中の街道を進み始めた。



時間帯は昼前にも関わらず、辺りはかなり薄暗い。

見上げると背の高い木々の間から、僅かに陽の光が差し込むぐらいだ。

遠くで鳥か何かが鳴き声を上げ不気味さを増している。

街道も草が伸び放題で覆う様に生え広がっていた。


「何だか気味の悪い森だぜ」

「以前はこんなふうじゃなかったんです」


ウィルの背におぶられたアルトが声を上げる。


「お? 気分はどうだ? 少しはマシになったか?」

「はい、もう大丈夫です。 ウィルさんもありがとうございました。 ここからは僕も歩きますから」

「そうか」


アルトはウィルの背から降りると、改めて辺りを見回した。


「この森の街道沿いもきちんと整備されていたんです。 ですが疫病で人々が倒れ、ゾンビまで出るようになってから、各街を繋ぐ街道は安全ではない危険な道へと変わっていったのです」

「それでこんな荒れ放題なのか」

「はい」


変わり果てた道を見て寂しそうなアルトに、


「あ〜さっきはすまなかったな」

「何がでしょう?」

「ゾンビとか遺体とか……子供のお前に見せるもんじゃなかったぜ」

「あ、いいえ、こんな時勢ですし……それにゾンビとかを見たから気分を悪くしたのでは無いんです」

「つーと?」

「……僕は国の端の方を治める領主の子供でした。 小さな土地でほんの少しの村があるだけの。 そこまで裕福ではありませんが、みんな仲の良い地方で……」


思い出すような……懐かしい目をして話すアルト。

しかし、目を少し伏せると、


「そして僕達の土地にも疫病が発生し、みんなゾンビになっていきました……そこで僕と両親、そして一部の生き残りは要塞都市として名高いダーテンハルトに逃げる事にしました。 それにバッハ侯爵は僕達バイエ家と繋がりがありましたので」

「バイエ家?」

「あ、僕の家柄です。 僕はフルネームでアルト=バイエと言いますので」

「なるほどな」

「そして、向かう途中ゾンビの群れに襲われ……僕は馬に乗せられ逃されました。 ですがお父様もお母様もゾンビによって……僕の目の前で」

「分かった、もういい。 それで思い出しちまったんだな。 大変な思いをしてきたんだな、お前」


俺はアルトをそっと抱き締めてやる。

だがアルトはそっと俺を押しやると、


「大丈夫です。 辛くても僕以上に辛い方は沢山おりますし、ダーテンハルトの事もありますから」


こいつ気弱な子供かと思ったが……しっかりしてやがるぜ

だが無理し過ぎなのは心配だな


そう思った時、


「何か近づいてる。 それも複数だ」


ライオンが囁くように、しかし鋭い声で警告する。


「どこからだ?」


尋ねた俺にも草を揺らすガサガサとした音が聞こえてきた。


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