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リリの好奇心


「やっと落ち着けるぜ!」


俺はベッドに寝転がった。

隣では俺を習ってリリもベッドにダイブしている。

ちなみにこの部屋は俺とリリで借りている為、今は二人だけとなっていた。


つーかまた僧侶服やっちまったぜ。

予備があるから助かったけど、フィリム国に戻った時、またメイド達に色々言われそうだな。



「そーいえばルルの師匠ってどんな人だったんスか?」


ベッドに寝転がったままこちらを見てくるリリ。

寝転がる為かいつものバードテイルをほどいている……が元々短いのであまりそこまでは変わらない。

好奇心に満ちた目で俺を見ている。


「ん? 俺の師匠に興味があるのか?」

「ッス! ルルが惚れている人がどんな人か気になるッス」

「バッ! そ、そんな、ほ、惚れているとか、そそ、そーいうんじゃねーし!!」


いきなりリリが変なこと言うからめちゃくちゃどもったじゃねーか!!


「えぇ~……あれだけあからさまなのにッスか?」

「い、いや! ああああ、あれは命を助けられたというか……お世話になってというか……ああぅ」


うぅ~~あ、改めて聞かれるとそうだな、え、えと、これはやっぱり好きなのか? 好きって感情なのか!?


「はぁ……ルルってまだまだお子様ッスね」

「は、はぁ~? だ、誰がお子様だよ!?」

「自分の気持ちもわかんない様じゃあお子様ッスよ?」

「う……い、いや、分かっちゃいるっつうか……なんか言いにくいというか……ごにょごにょ」

「ルルっていつもはアレなのに乙女というか奥手というか……」

「うぅーーいいだろ!? と、とにかく師匠の話が聞きたいんだろ? 何が聞きたいんだよ?」

「そうッスねー。 性格はどんな人だったッスか?」


俺の態度に呆れていたリリだったが、再び興味が沸き上がってきたのか目を爛々とさせ訊いて来た。


「ん~~? あんまり笑わないし冷静だしつまんねー奴だったぜ?」

「えぇ? つまんなかったッスか?」

「そうなんだよ! おっさん……じゃねぇや、師匠ってほんっっっとつまんないんだぜ?」

「どんな風にッスか?」

「ん~~? 例えば着替えの中に蛙入れてても、寝袋の中に蛇入れても、飯をめっちゃ辛くしても、ぜんっっっぜん! 反応しやしねえ!!  悪戯の女王と呼ばれた俺の……ん? なんだ?」


気付くとリリがすっごい冷めた目で見ていた。


「ルルって本当にお子様ッス」

「な、なんでだよ!!」

「それじゃ好きな人にちょっかい掛ける男の子みたいッスよ」

「だ、だから好きとかは……ちょちょっとは、ほ、ほんの少しは……す、好き……かもだけど?」


うぅなんか恥ずかしくてモジモジしちまう


「ああ……ルルの恋愛話でも聞こうと思ったッスけど、諦めるッス。 それで師匠さんは師匠としての腕前はどうだったんスか?」

「師匠として? 魔法とかってことか?」

「そうッス。 司祭長だったんスよね?」

「あ~~……司祭長は俺もこの前聞いたばかりだからあれだけど。 ただまぁ、魔法の腕前は凄い方だと思うぜ」

「やっぱりそうなんスね」

「ああ。 俺があれだけ修行して『ガード』とか修得したのに、師匠はそれの最上位である『シールド』とか使えたしな」

「『シールド』ってどんなのなんスか?」

「ん~~? そうだな、全ての攻撃を遮断するバリアだな。 1回だけだが物理も魔法も防げるすげぇ魔法だ」

「おおお! なんかすごいッスね! ルルは使えないんすか?」

「うぐ……い、痛いとこ突くじゃねーか。 『ガード』ならお手のもんだけどな。 次の『キープ』なら……何とかなるかなぁ?」

「『キープ』はどんな魔法なんスか?」

「『ガード』は武具の強化なんだが、『キープ』は本人の強化なんだよ。 ちょっとした状態異常系も防げるんだが……まぁ過信は駄目だな」

「ふ~ん。 ……試しに私に掛けて見てもらえるッスか?」

「ん? 『キープ』をか? まぁいいけど」


俺はベッドの上に胡坐をかいて座ると、杖に魔力を集めていく。

リリも体を起こすとベッドの上で女の子座りする。


「いくぜ?」

「おーけーッス」

「『キープ』」


杖から青い光が溢れリリを包み込む……が、ポシュンというかシュポンという音を立てて一瞬で光が霧散してしまった。


「ぐあ!」

「…………もしかして、しっぱ……」

「待て待て待て! もう1回だ! もう1回やらせろ!」

「えぇ~……仕方ないッスね。 掛けていいッスよ」

「よっしゃ! 行くぜ!」


俺は再度魔力を貯めると、


「たまったぜ! 行くぞ?」

「どうぞッス」

「『キープ』」


再び青い光が溢れ……リリを包み込む!

今度は霧散せずリリの体を覆ったままになっている。


「やったぜ! どうだ!」

「おお~うまくいったッスね。 ……これってなんか不思議ッスね。 ほんのり暖かいっていうか」

「そーなんだよ、俺も冬の寒い時は良く師匠に掛けてもらってたんだよなぁ。 使い方は違うけど、ちょっとした防寒的な?」

「へぇ~~便利ッスね」

「よし! 今度は『キープ』も使えるように練習していかないとな」

「頑張って下さいッス! 冬までには!」

「だからこれは防寒用じゃねーぞ? まぁ、してやるけどさ」

「やった~~ッス!」


心底嬉しそうにリリがベッドの上で飛び跳ねた。

それを見ながら、


俺も魔法もうちょい練習しないとなぁ……と考えるのだった。


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