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厄介な拾い物


教会から出て商店街に向かう途中、兵士達に囲まれているウィルを見つけた。

どう見ても厄介事に巻き込まれてるっぽい。


(まったく……仕方ねぇな)


「お~ウィルじゃねーか? こんなところで何してやがんだ?」

「ルル……」


周りの兵達が新たに加わった俺達を見て戸惑い気味になっている。

俺達三人が加わり合計七人。 兵士達に抵抗しようとすれば出来る人数だ。

それに俺の呑気な話しかけ方に拍子抜けしているのもあるかもしれない。



「何だお前達は?」


兵士の一人が偉そうに吠える。


「あ~俺はこいつらの代表者だ。 何か問題があったのか?」

「こいつらはここで騒ぎを起こしていた者達だ。 悪いが身柄を拘束させてもらう」

「そうだったのか……すまない!!」


バッと俺は兵士に向かって頭を下げた!

こんな言葉遣いの俺がそんなことをするとは思っても見なかったのか、


「あ、い、いや……」


口ごもる兵士に畳みかける。


「こいつらには俺がしっかり言い聞かせておくから! さっさと連れ帰ってばっちり躾とくぜ! おら! さっさと宿に戻るぞ!!」


そう言ってウィル達を押すようにしてその場から立ち去る。


ふっふっふっ……このままここから離脱するぜ!



……しかし、そうは問屋が卸さないらしい。


「あーー! お前!!」


急に男の声がして振り向くと……げ! あのデブってギルドにいたやつ!

デニムとか言ったか……デブな男が俺を見て睨みつけている。


「お前達の所為で!!」


デブは押さえつけていた兵士を跳ね飛ばすと俺に向かって突進してきた!!


(チッ! コイツの所為で計算が狂ったぜ!)


俺はそれを躱そうと……と、デブが転んで地面にスライディングした!


「は?」

「え?」


俺達や兵士達が唖然とする中、そこにいたのは……、


「何だってこんなとこに居やがるんだよ! ボス!」


俺の言葉にノエル達やライオン達がスキンヘッド男に視線を向ける。

突進するデニムに足を引っかけて転ばせた男。

冒険者ギルドにいたギャングの親玉ボスがそこに立っていた。


俺が名前を呼んだにも関わらず、ボスはデニムに向き直ると、


「お前……追い出された上に、こんなところで問題まで起こしやがって」

「そ、それは……いや! 俺はもう追い出されハズだ! あんたには関係ねーだろ!!」

「あるなぁ……お前が兵士に捕まって色々吐かれても困るんでね」


ボスは兵士に向き直ると、


「この男が問題を起こしたんだろ?」

「あ、ああ、そうだ」


兵士達はボスの登場に怯み気味だ。

ギャングの頭、流石の兵士達もまともにはやり合いたくないであろう。


「すまんな。 うちの問題はうちで片ぁつけさせてもらう」


そう言うなりボスの手が素早く動いた!



「げぇ! げへぇ!!」


デニムが奇声を上げたかと思うと、その首から血が噴き出した!

首の頸動脈辺りがぱっくり裂けている!


「うわぁ!」


兵士達の数名が悲鳴を上げて後ろにさがる。

それを押しのけて俺はデニムに駆け寄った!!


「神の名のもとに祝福を。 彼の者に癒しと平穏を……『ヒール』」


デニムの裂けた首が徐々に塞がってゆく……溢れ出た血が俺の服を赤く染めていくがそれに構わず、立て続けに『ヒール』を唱えた。

早急に塞がなければこいつは死ぬ……それゆえの連続詠唱だ。


「おい! お前何してくれてんだ? 俺のやる事の邪魔をすんのか?」

「うるせぇ! 誰であろうと俺の前でこんな殺しはさせねぇよ!」


(傷は……塞がったか。 脈は……大丈夫……だな?)


デニムは気を失ったらしく白目をむいている。

まぁ呼吸もあるし、命に別状はないだろう。


そんな俺を見下ろすようにボスが目の前に立った。


「お前……俺に借りがあるくせにいい度胸だな?」

「あぁ? それとこれとは別問題だろ?」

「いいや、俺の邪魔をするなら……」

「だったら貸し2にしといてくれ。 ちなみに俺を殺せば貸し自体がなくなるぜ?」

「……くそっ! お前ホントいい度胸してやがるぜ」


ボスは踵を反すと、


「お前が回復魔法を使える奴じゃなければとっくに殺してんのに……」

「心配するな、きっちり借りは返してやるよ」

「ああ、そう願いたいね。 それと……」


ボスは立ち尽くす兵士に、


「そこのデブは死にかけるほどの罰を与えたんだ? もう良いよな?」

「あ、ああ……」


その気迫に押されて兵士はコクコク頷く。


「だ、そうだ。 お前が拾ったんだからお前が責任もって飼うんだな」

「いや、要らないが……」

「そいつが要らないって言うんだったら……次は間違いなく殺すぜ?」

「……」


全く……面倒な事を……


「わーったよ! くそっ! 面倒見りゃいいんだろ!?」

「ああ、兵士に引っ張らせんなよ? こっちに被害が出かねんからな?」


それだけ言うとボスは颯爽と去っていく。

……っていうか何か用事があって通りがかったんじゃねーのか? 来た方に戻って行ったけど。



ボスの威圧で兵士達は去っていき、後に残されたのは……。


「これ……どーすんのよ?」


気絶したデブを見下ろしながら告げるノエルに、


「はぁ~~」


溜息しか出ない俺だった。


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