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街の調査へ


「ま~~~~ったく!! 無茶ばかりするんスから!」

「ああ~もう! 悪かったって!」


宿の食堂。

朝食を摂っている最中もリリが口うるさく言ってくる。



昨日宿に戻った俺の服を見て、リリが何があったか散々しつこく訊いて来たんで教えてやったんだが……その結果が昨日からず~~っとこうやって言われ続けている結果だ。

言わなきゃよかった……ここまで言われ続けるとは。


「大体日頃からルルは無理をしすぎッスよ! 僧侶とは本来後ろに下がって全体をフォローすべき立ち位置なんスよ?」

「あ~~……分かっちゃいるんだが、気づいたら手や足が出てて」

「だからそれがおかしいんス!」


はぁ……ずっと話しかけられているせいで目の前のトーストが食えねぇ。

このままじゃ冷めちまうよ。


それに問題は目の前のリリだけじゃなく……




じーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すっごい背後から突き刺すような視線を感じるんだが?

バッと振り返った先では、


「あ、これ美味しぃね! パンも挽きたての様な感じだし」

「ですね~美味しいです」

「このスープも」


ノエル達三人が楽し気に食事をしている。

……おっかしいなぁ……めちゃった視線を感じたんだが。

俺は再び前を向く……あ、俺のトーストが齧られてる!?


「リリ! お前俺のトーストを!!」

「へ? な、何の事ッスか? 私知らないッスよ!」

「嘘つけ! 口の横にパンクズがついてるじゃねーか!!」

「へ? 嘘!? しまったッス!」

「嘘だよ!! ってかやっぱりお前じゃねーか!!」




ギャーギャー騒ぎ出すルルをじーーーーと睨みつけるノエル。


「うぅ! このお楽しみヤロー……そんな子じゃないと思ってたのに」

「ノエル、口に出てる……」

「まぁルルには~あの胸があるからね~」

「うぅ~~ウィルのバカ」


落ち込んだ様に呟くノエルのすぐ後ろから、


「俺がなんだ?」


丁度朝食を取ってきたところらしくウィルの手にはお盆があり朝食が乗っていた。


「へ? う、ウィル!!」

「ああ、俺だ。 おはよう」

「おはよ」

「おはよ~」


顔を赤くして慌てふためくノエルと、何事も無い様に挨拶するアリス達。

ウィルも特に気にしていないのか、挨拶すると朝食を手に席に着いた。


「ねぇ、ウィル~? 昨日~貴方達ギルドに報告に行ったのよね~?」

「ん? ああ」

「他に寄り道とかしなかった?」

「他って?」

「そりゃあ……二人で__痛っ!」


詳しく訊こうとしたアリスの足をノエルが蹴飛ばした。


(何してんのよ!?)みたいな目で軽く睨む。

(一応詳細確認してみましょうよ?)

(やだ! 怖いもん)

(何言ってるの? ウィルもルルもそんな性格じゃないし、聞いてみないと)

(ヤダーーーー)


ノエルとアリスの間でアイコンタクトの応酬が行われていると……。


「あ、そうだ。 後で昨日の件についてみんなで話し合うから、ルル達の部屋に全員集合との事だ」

「え……」

「え?」

「!?」


その一言で全員が固まった。

ノエルは顔を引き攣らせつつ、


(昨日の件……も、もしかして)


「俺とルルは付き合う事になったから」

「ああ、そう言う事だぜ。 よろしくな!」


とか!


「昨日ルルと結ばれたんだ」

「ウィルのやつも……男らしく逞しくてな」

「いやルルの綺麗で柔らかな肌ほどでもない」


とか!?


「ルルの体は……特に胸は想像以上に凄かった」

「ウィルだって……あんなに何回も求められるとは思わなかったぜ」


とかぁ!!??





「いやぁぁーー!! この不潔!! 変態!! そんなにあんなチンチクリンとでかい胸がいいのか! こんちくしょーーー!!」


いきなりノエルが席を立って大声で叫ぶと、疾風のように部屋に駆け戻って行った。




…………


その場にいた全員が無言のまま目を丸くしてそれを見送ると、


「な、何だったんだ? 一体」


俺が呟きアリスとマリアがやれやれという風に首を振っていた。






「集まってもらってすまないな。 話というのはこの街の、そして冒険者ギルドの事だ」


食後、俺は部屋に集めたメンバーを見回した。

閉じこもったノエル以外は全員来ている。

ノエルの奴……大丈夫か? アリス達は大丈夫って言ってたけど。


「実はこの街の冒険者ギルドは……」


俺は冒険者ギルドであったことや、掴んだ情報をみんなに話して聞かせた。

もちろんこの街の情報や冒険者ギルドの事は全て真実とは限らないが、冒険者ギルドの状況を見るにギルドが壊滅しているのは本当だろう。


話が終わるとマリアが手を挙げる。


「この国の他の冒険者ギルドはどうなってるの?」

「水晶板でサリナに聞いたんだが……グスタンブルグの冒険者ギルドはどこも壊滅的らしい」

「えぇ?」

「ゾンビとの戦いでかなりの冒険者が倒され、残った冒険者も街防衛の兵士として回収されたみたいだな」


昨晩戻ってきてから確認したが、サリナの方でもやはりグスタンブルグの冒険者ギルドとほとんど連絡が取れなかったらしい。


「依頼主の情報……この街の貴族とかの話だが信憑性は高いな」


壁に寄りかかっていたユーナが、


「昨日街をさらっと見て回ったが住民のほとんどは怯えていて情報が掴めねぇ。 元冒険者とかいうやつを何とか捕まえて話を聞いたが……この街、入るには入れるが出る事は出来ねぇみたいだな」

「出れないって?」

「そのままの意味だ。 この街から出ようとしたら徴兵されるようだ。 何も知らない冒険者達は次々徴兵されてこの街の戦力に組み込まれている」

「そ、それは困るッスよ~。 私達は首都に行くことになってるスから」


リリが慌てるが……俺は別に気になる事があった。


「この街は疫病がない様だが、神官か僧侶がいるのか?」

「その様だな。 でないと籠城みたいなマネは出来まい」

「そいつの居場所が知りたい」


(もしかしたら……師匠かもしれない! 師匠もこの街で囚われていたら……)


「ふむ、すぐにこの街から出るのも今の話だと危険だろう。 情報を当たるもの良いかもしれん」

「そうだな。 んじゃ手分けして探すか。 依頼主の頼みだし……一応賃金に反映してくれよ?」

「ああ。 ありがとう」


ライオンとユーナの言葉を皮切りにその場での話は終了となり、街へ情報収集に出る事となったのだった。


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