表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/457

地下室での休息


「痛っつつ……全員大丈夫か?」

「ああ、全員入れたぞ。 しかしゴンズ殿があちこち噛まれて怪我をしている」

「なぁに、鍛えてるからな。 これぐらいは平気だ」


俺の問いかけにライオンが答え、ゴンズが平気だと言う風に付け足す。


(しかし怪我してんなら……)


俺は入ってきたばかりの扉、その下で座り込むゴンズに近寄ると回復魔法を掛ける。


「おぉ……すまない。 助かる」


怪我のなくなった腕や足を見て元気よく立ち上がる。


「それにしてもオルダンの奴、仲間を置いてさっさと逃げおうてからに……まったく!」


やれやれと言うように首を振ると地下室の奥に向かって歩きだす。

既に入り口付近には俺とライオン、そしてリリしかおらず、他のみんなは奥の方へ行っているようだ。


「私達も行くッス!」


そう言ってリリ、後を追う様にライオンと歩きだす。

俺も行こうとして……


(ん? なんか変だな……?)


俺は入ってきた扉周辺を見る。

扉は低い天井にあり、上に登れるように扉の下には踏み台が置かれている。


扉は簡易的な木の板で上に持ち上げて開けるタイプ、今は隙間なくぴったりと閉じられている。

掴むための出っ張りはあるが鍵などは無いようだ。

先程の犬達の唸り声などは一切聞こえない……。


どこか気にはなるが、どこか?といわれるといまいち分からない。


(何かしら気にはなるが……わかんねーのは仕方ねぇか)


俺は軽く首を降りつつみんなの後を追ったのだった。




奥は少し広い部屋となっていた。

地下な為か横に広く、天井は低めでライオンなら容易に触れるだろう。


壁や天井は木の板で覆われ、天井から吊り下げられたランプが部屋の中を照らす。


長方形の少し広めの部屋で、奥には更に扉があり続いているようだ。

広いといっても俺達は10人もいる、そのため部屋は結構狭く感じた。


部屋の中には木箱や水瓶等がいくつもある代わり、机や椅子と言ったものはなく、絨毯の代わりかおざなりのように古い毛布が床に敷き詰められていた。



そして部屋の中心には先程私達を助けてくれた少女の姿が見える。

見た感じは俺より小柄で、少女と言うより女の子と言ったほうが近そうだ。


俺が部屋に着くと、その子の周りに何人か集まっていた。


「先程はありがとう。 助かったわ」

「ここには一人? 他に大人は……」

「この場所は……」


お礼を伝えたり、色々聞いているようだ。

俺も女の子の近くに進み、


「さっきはあんがとな。 助かったぜ」

「あ、いえいえ。 大丈夫でしたか?」


可愛らしい白地に花柄の刺繍のついたワンピースを着ており、女の子自身もそれが似合う様な容姿をしていた。


可愛らしい顔立ちに赤毛っぽい三編みにしたお下げを両肩と背中に垂らしており、黒くクリッとした目が愛くるしく思える。


「俺の名前はルルって言うんだ。 よろしくな」

「はい、私はライナと言います。 よろしくお願いいたします」


俺の言葉に笑顔で返すライナ。


「大変でしたでしょうし、ここでゆっくり休んで下さい」

「休むのは良いが、ここからどうやって出ればいいんだ? さっきの犬コロの所か?」


俺の横にやって来たユーナが、偉そうにライナに問いかける。

コイツは……助けてもらっておきながら、なんでこんなに偉そうなんだ?


「大丈夫です。 あの扉から先程とは別の離れた場所に出れますから。 そこなら犬達も気づかないでしょう」


そう言って部屋の奥にある扉を指した。


「……分かった。 だったらしばらく休むとしよう」


それだけ言うと、ユーナはスタスタと部屋の隅へ歩いて行った。


「すまない、あいつちょっと偉そうなやつで……」

「いえ、大丈夫ですよ」


俺が謝ると、ライナはニッコリ微笑んだ。

その時、部屋の隅に行ったユーナが、


「おい、依頼主! 地図はどこだ? もう一度地図を見せろ!」


隅の方に行ったユーナが俺を呼びつけた。


(はぁ……ったく。 あいつは俺を何だと……)


心でぼやきながら地図を取り出し部屋の隅へ行くとユーナに渡してやる。

その時ユーナが俺に小声で、


「ライナは少し怪しい、気をつけておけ」


そう言いながら地図を受け取ると、何事も無かったかのようには地図を開き始めた。



(「ライナは怪しい」……か)


チラリとライナを見たが、今度はノエルやアリス達と話をしているようだ。

女性陣から「可愛い〜」といった声が聞こえてくる。


俺自身も先程の入口の事が気に掛かっていた。

一体何がおかしかったんだ? 普通の扉に踏み台に……変な違和感は無かったが……。




そうしながらも休息をとった俺達は、ライナの言っていた別な出口から外に出て、この村から北西にある次の街を目指す事にした。


「さてと……そろそろ行きますかね、リーダー」


オルダンが俺に出発を促す。

とはいえ俺も出発するつもりで準備を終えていた。


「もう行きますか? それでは私がご案内いたしますね」


ライナがそう言うと俺達の前に立ち、奥の扉に向かって歩き出した。

そのすぐ後ろをオルダンとゴンズが続き、俺とライオン、そしてリリが歩き出した。


ペコン


歩くと床に敷いてある古毛布が少し凹んだ。

どうやらそこだけ地面に窪みがあった様だ。



「あ!」


その時……俺の中での違和感の正体がカチンと音を立てる。

そうか……あれがおかしかったのか!!


足を止めた俺に、


「どうしたルル?」


隣のライオンが尋ね、その声に他の面々も足を止めた。

俺の方を振り返るオルダンとゴンズ、そしてその先にいるライナ。

ライナは足を止めているものの振り返ってはおらず背中を向けたままだ。

俺はそんなライナに向かって、


「ライナ……お前、ただの女の子じゃねーな? 何者だ?」


俺の言葉にライナがゆっくりと振り返る。

その表情は……先程と特に変わらない。


「えっと……ルルさんの言っている意味がよく分かりません」


困惑気味にそう言うと首を傾げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ