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出発と不安


そしてパーティが決まった次の日にはアルファルドを発つことになった。

王都の西門に集まり、最後の準備などをしている。



(いよいよ……師匠と分かれた場所に戻る)


勿論師匠が死んだなんて思っちゃいない!

……そうは思うも俺の心は不安の渦にかき乱される。


直接この目で見ねぇと……俺は……。




「ルル、顔こわいッスよ?」


俺の前にピョコンと横から顔を出すリリ。


「あ、ああ。 ちと緊張しちまってな」

「ルルでも緊張するッスね」

「当たり前だ。 お前俺を何だと……」


俺がリリに言いかけた所で、ララとロロの姿が見えた。

どうやら見送りに来てくれたようだ。



「ルルの服装……ドレスじゃなくなってる~」

「あんなフリフリな服で旅ができるわけねーだろ!!」


残念そうなララ。

そして俺の格好は僧侶服姿だ。

前のは酷いことになっていたので新しい僧侶服を準備してくれていた。

一応予備で数着持たされている。


「戻るたびに破れてたり汚れたりしているんですから! 予備も持って行ってください!」

と、メイドのミリアに無理矢理持たされたのだ。


俺も破りたくて破っている訳じゃないんだけどなぁ……



ロロが俺の元に歩み寄り、


「ルル。 ダンテ司祭長の事、何かわかったら連絡して下さいね」

「ああ、あの連絡用の水晶板でいいんだろ?」

「ええ、それで構いません。 冒険者ギルドには段取り済みです」

「ああ、分かった」


俺の返事の後、複雑そうな顔をしながらロロは俺の手をそっと取る。


「ルル、こんな事を言うのは悪いと思っているのですが……もしどんな結果になったとしても気を落とさないで下さい。 何かあれば真夜中でもいいので水晶板で呼んで下さい。 すぐに出ますから」

「ロロ……ありがとうな。 ああ、何かあれば頼りにするからよ」


俺が笑顔で応えると、俺が無理してると思ったのかロロはますます顔を暗くしてしまった。


ロロは真面目な分、深く考えすぎだぜ。


俺はロロの手を握りしめ返すと、


「俺は大丈夫。 前と違って一人じゃねーしな! それにララとロロも俺の事をこうして想ってくれてるし!」


そう言って再度明るく笑って見せると、ようやく少し笑顔を見せてくれた。

その横にいるララは寂し気な表情だ。


「ルル~気を付けてね」

「ああ、あんなに仲間がいりゃ大丈夫さ。 ララも元気でな」

「うん~」



「ルル、準備できたそうだ。 お前の方は?」


ララと話をしていると、ライオンから声が掛けられる。

ライオンは全身を覆う赤いマントを羽織っている……やはり中はあの格好か?

他のパーティの奴らに説明しておかないと誤解を生みそうだな。


「大丈夫。 挨拶も済ませたしな」


ライオンと共に集まっている仲間達の元へ歩き出す。

そうしてララとロロに見送られながら、俺達はアルファルドを後にしたのだった。





アルファルドの周りは広大な草原が続く。

それを超えると今度は荒野が続く土地となる。。

師匠と分かれたのはこの先の森との境目当たり……俺は逃げ出して一晩中この荒野と草原を走り続けた。





師匠……



師匠と分かれた現場を確認したい。

しかしそれと同時に恐怖も押し寄せる。


もし師匠の物言わぬ姿があったら……

惨たらしい姿となっていたら……

不愛想ながらも……優しく見守っていてくれた目に光が宿ってなかったら……



「……ルル。 大丈夫か?」


ライオンが心配そうに声を掛けて来た。


「ん? 何がだ?」

「……酷い顔だぞ。 暫くこれでも掛けておけ」


俺の頭の上からタオルが掛けられる。


「ん……サンキュー……な」


ライオンは返事をせずに俺の頭に手を置くと、


「ボーっとして転ばない様に気を付けろよ」

「ああ」


そう言って俺達は歩き続ける。





そんなルル達をウィルは後ろから見つめていた。


ルル……可愛い姿に似合って可愛い名前だ。


「あら~? 前の二人ってなんかいい雰囲気じゃない?」


意地悪そうに声を掛けてくるノエル。


「……パーティメンバーなら仲がいいこともあるだろう」

「む、盲目男のくせに冷静なのね? すぐ突っかかって来ると思ったのに」

「この旅を通して俺の事を分かってもらうさ」


助けてくれた俺の事をあんまり覚えていなかったルル。

そんなルルにガンガン行くと敬遠されそうだ。

それならこの旅で俺の実力を見せて……ルルとずっと一緒に入れる様になればいい。


会う事が出来たんだ……焦ることはない。

彼女ルルの運命は俺に傾いている。




少女ルルを見つめているウィルを、複雑そうな目で見ているノエル。


パーティとして日は浅かったが、ウィルの戦闘における頼りがいは心強く、ぶっきらぼうだけど素直な所や落ち着いた物腰など今までにはない男性のタイプであった。

そんなウィルとのやり取りは楽しく、ついついちょっかいを掛けたくなる。

つまるところノエルにとって少し気になる存在となっていた。


それゆえ、ウィルが前を歩く少女を想い、見つめているのにヤキモキしてしまってしょうがない。

応援したい気持ちと、モヤモヤする気持ちで心が落ち着かなかった。


(む~~なんなのよ! 見ててじれったいというか、イライラするというか……)


すぐ前を行くウィルの背中を眉をひそめて歩いて行く。





そしてそんなノエルを後ろから見ているアリスとマリア。


「……見てる分には面白いんですけどねぇ~」

「うん。 特にノエルが自分の気持ちに気付いていないとこ」

「そうですよね~……まぁノエルさんは男の人に恋するというより殴り倒してきた方ですから」


前のパーティメンバーだった男二人もノエルが文字通り叩きだしたようなものだった。

アリスとマリアにちょっかいを掛けて来ていたから、二人としても救われたのだが……。


だからこそ男であるウィルの加入は渋った……しかしサリナの推薦と想い人一筋との説明もあり、仮に入れて様子を見みてみることにしたのだ。

結論として問題は無かったが……まさかここまで想い人一筋、そしてまさかのノエルが惹かれるとは予想外だった。


「私達はノエルの仲間。 ひとまずノエルを応援することにしましょうか~?」

「賛成」



そうしてルルの知らないところで変な構図が出来上がってきていたのだった。


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