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恩赦と勅命


フィリム王国 王都アルファルド。


そして俺は今、その国王であるフィリム・ルド・クルーゼ十三世の前に跪いていた。



何つーか……すっごい気まずいんだが?


本当はこんなところに来たくはなかったが……俺を捕まえるよう王からララ達に勅令が出ていると聞かされたら、大人しく王の前に出るしかないだろ?

ララ達に……これ以上迷惑かけるのもな……。



フィリム国王が重々しく口を開く。

まぁ……嫌われてんだろうなとは思う。


啖呵きって王都から逃げ出したし……


と思っていたが、思ったよりそうではなかったようだ。



「ルル。 この度のお前の行動は褒められたものではない。 しかし、オーリファスの街を救い、そしてフリエントの街奪還に力を貸したこと。 それと冒険者ギルドからも多大な恩赦の声が来ておる」


(おお! みんな……サンキューだぜ!)


「それに我が配下のララ騎士団長とロロ副団長もお前に熱心の様だ」


国王の玉座……その下側に控えているララがにへらと笑い、ロロにつつかれている。



「本来は厳しく処するところだが……それを勅令を持って赦す事としよう」

「勅令?」


俺は俯いたまま王の言葉を繰り返す。

それが聞こえた様で、


「そうだ。 お前にはこのまま王都を離れ我が国の北に隣接するムスタンブルグ王国に行ってもらう」

「は?」


いきなり出て来た国の名前。

師匠に一度聞かされたきりだったが……確かにフィリム国の北にそんな名前の国があった気がする。


「ムスタンブルグは古くから我が国と親交のある国。 互いに協力関係にある国だ」


そうして話始めた王様の話が長いからかいつまんで言うと、


ムスタンブルグもフィリム国同様呪いにより国が危機に陥っているようだ。

神官や僧侶もフィリム国の様にほとんどが魔族に消されてしまっており、以前よりフィリム国に支援の要請が来ていたとの事。


しかしフィリム国でも神官や僧侶の保護を優先しており、それに神官などの人数が不明で支援出来なかったようだ。

そうしてようやくある程度目途が立ったらしい。


俺を入れて十人しかいないが、フィリム国で呪いが発現するとすれば王都を残すのみらしく、王都と後一部の都市に配置すれば問題ないとの事。


そこで旅を願う俺を支援としてムスタンブルグに送る事となったらしい。



まぁ、この話は俺としても悪くない。

元々旅に出たかったからな……ただ一つ気がかりなのは……。


「ムスタンブルグの件、承知したぜ……ました。 ですがその前に師匠と分かれた場所を確認したいのですが……」

「ならん。 ムスタンブルグからは一刻も早く送ってほしいと矢の催促。 本来なら今すぐにでも旅立てと言いたいところだ」


(やっぱり頑固で融通気かねーな!)


しかし、そこへロロが一歩前に進み出た。


「フィリム国王。 聞いたところによるとルルの師匠はダンテ司祭長との事。 生死の確認は重要かと思われます」


(お、そーいえばそんなこと言ってたな。 司祭長とか何とか……)


その言葉にフィリム国王も眉をひそめる。


「何だと? ……それならば仕方あるまい。 我が国の重要人物である司祭長であれば生死の確認は必須。 ……ただし先程伝えたようにムスタンブルグからの支援も放っては置けない内容。 司祭長の確認後、そのままムスタンブルグ王国……まずは王都のテルッセンを目指すのだ」


(よっしゃあ! ナイスフォロー! ロロ!!)


ロロが密かに俺にウインクを飛ばす。

眼鏡もしているし俺にしか見えなかっただろう。


「では、早速準備を整え次第出発するのだ。 ララ騎士団長、護衛選別は任せる。 冒険者ギルドにも協力を求めるがいい」

「はい~」


ララが間延びした返事をする。

……あの口調は王様でも変わんねーのか。



王都の謁見を終えた俺は、以前あてがわれた部屋を再度あてがわれ準備することとなった。





「「「「「おかえりなさいませ!! ルル様!!」」」」」


部屋に戻るなり俺を出迎えたのはあの時のメイド達だった。


「お~、お前ら元気だったか?」


メイド達の中から一人……この中でリーダー的なミリアという名のメイドだ……が前に出ると、


「はい、ルル様もご健勝で何よりです」

「ああ、あの時はあんまり挨拶も出来ずすまねーな」

「いえいえ、何でも王都から脱走だったとか……なかなかスリリングでございます」


うん……このメイド、どっかずれている気がしてきた。

それはともかく……、


「聞いていると思うが今すぐにでも旅に……」

「駄目です」

「え?」


いきなりどうした?

なんか駄目って言われたけど……。


「見た所お召し物もお姿も酷い有様。 長旅でお疲れもあるでしょう。 せめて今日一日十分にお休みを取ってから旅立って下さい」

「だ、だけど……」

「旅の準備も私達が致しておきます。 ですから、ルル様はゆっくりと休まれることを推奨いたします」


推奨……と言いつつ断れない雰囲気だ。

しかし……確かに一理あるかもしれない。

早めに師匠と分かれた場所は見たいが、焦るとロクな目に合わなかったしな。


「ああ、分かったよ」

「ありがとうございます。 私共のお言葉を聞き入れて頂き……」


(いや、聞き入れるしかなかったというか……)


「では、まずは風呂場に参りましょう」

「あ、風呂か?」

「ええ、それもですが……ルル様、大分無茶をしましたね?」


すこ~し、ミリアの声に怒りが籠っているような??


「髪の毛……こんなにボロボロにされて。折角のお美しい髪が台無しです!」


(あ~……そーいや魔族に色々やられた様な……)


「毛先を揃えて……傷んでいる箇所をトリートメントしなくては……」


ミリアが俺の髪を手に取るとマジマジ見ながらブツブツ言っている。

なんか……面倒そうだなぁ。



そこからはメイド達の言いなりになった気分だった。

身だしなみを整えられ、旅の準備を行い、ゆっくり休んで……つーか、マッサージは最高だった!

やっぱり足とかがなぁ……歩き詰めだと結構疲労していたようだ。


マッサージされたまま寝てしまい……気付けば次の日の朝となっていた。


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