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明日への糧


援軍達の活躍によりその日のうちにオーリファスはゾンビ達の悪夢から解放される事となった。

ちなみに援軍達の士気はいつもより高かったと聞いた……まぁ……サービスしちまったからな。


いやいやいや、忘れよう! 何もなかった!! 何にもなかった!




援軍達がキャンプをしている街の外、そこで休んでいる俺の元に冒険者達が次々声を掛けてくる。


「よぉ! 純白の僧侶」

「凄かったらしいな? 純白の僧侶」

「後で俺と飲まねーか? 純白の僧侶」


「だーーうっせーよ! 純白純白言ってるんじゃねー!!」


くっそ~こちとら忘れたいのに、こいつらは~~!!


俺の下着が白だったからって純白純白言いやがって!

じゃあ、アレか? 黒だったら暗黒とか漆黒って言ってんのかお前ら!



「あ、これはこれはルル様」

「だから俺は純白じゃ……っと、す、すまん」


むくれる俺に話しかけて来たの援軍を率いる小隊長だった。

確か名前をバーンズと言ったかな?


「バーンズ小隊長、様付けはやめてくれ」

「ハハハ、ではルルも私の事を呼び捨てで。 お互いにそう言う関係でもないし」


むぅ~このひげ面のおっさん、微妙に苦手だぜ。


「それで? 何の用だよ?」


ムスッとしたまま声を掛けると、


「ああ、用事があるのは俺じゃないんだ。 ほれ」


バーンズが体を動かしその後ろに視線を向けさせる。

そこにいたのは……。


「ルル!」

「ルル~!」

「ルルおねぇちゃん!!」


「お前達!」


それは冒険者ギルドの地下に避難していたセレスやシエラ、そして子供達だった!



俺は椅子代わりにしていた切り株から腰を上げるとそちらに向かって歩き出す。

セレスとシエラは溢れんばかりの笑顔を浮かべ、子供達がだーっと俺の方に走ってきて……ダイブする!


「ぐぅあ! こ、こら飛ぶ込むな」

「ルル~無事で良かった!!」

「おねぇちゃん!!」

「大丈夫だった? 怪我してない?」


子供達が喜びつつも心配そうに尋ねてくる。


「ああ、大丈夫だぜ! ふふん! 言ったろ? 俺は強いって!!」

「うん! ルルつよ~い!」

「おねぇちゃんすごい!!」


クイクイとスカートの裾が引かれる。

見ると、俺と小指を交わしたミミだ。


「るるおねぇちゃん、助けてくれてありがとう」

「ああ、これでようやくお日様の下で遊べるな」

「うん、約束守ってくれてありがとう」


パァーと顔を明るくするミミ。


他の子供達もみな嬉しそうに笑顔を見せている。

そんな中、セレスが俺の方に歩み出ると、


「ルルさん。 貴方には本当にお世話になりました。 こうして子供達も無事に助け出されたのも、全てはルルさんのおかげです」

「いや、俺はそんな大したことしてねーよ。 元々みんな避難していた場所に俺がお邪魔しただけさ」

「そんなことはありませんよ」


セレスは首を振り、


「避難して子供達の気が滅入っていたのを貴方が救って下さいました。 それに病気も治してもらい、私の大切な教え子であるシエラも助けて頂き……そして遂には街を援軍の方により解放して下さいました」


いつの間にか……セレスの周りには避難所にいた人達が集まって俺の方を見ている。

セレスは周りの人達を見て頷くと、


「ルルさん。 貴方達は私達の救世主です。 本当にありがとうございました」


その言葉の後セレスが……そして周りにいる避難所の人達が頭を下げる。

そして気が付けば周りにいた全ての兵士や冒険者達、全員が俺に向かって頭を下げていた。


「あ、や、やめてくれよ。 俺はそんな大した人間じゃ……」


照れて俺は慌ててみんなに声を掛けるが……何故か目から涙が溢れ出た。


くそっ! なんだこれ!? なんで勝手に涙が!?


慌てて拭うも次々と溢れてくる。


「あ、ルル泣いてる!」

「ほんとだ、ルルねーちゃん泣いてるぞ」

「強いのに泣き虫だ!」


俺の涙に気付いた子供達が口々に言いだし、顔を上げた大人たちがそれを微笑ましく見ている。


「う、うるせー! これは目にゴミが入ったんだよ!」

「え~?」

「嘘だ~!」

「絶対そーじゃないよ」


慌ててごまかそうとする俺に悪戯っぽく見つめてくる子供達。


くぅ~何で……こんなに涙が……わけわかんねー!



子供達が急に抱き着いて来た。

こいつらを……こいつらの笑顔を守れて……本当に良かった。

それだけは……間違いなく思うぜ!





避難者達との再開を果した日の夕方。


俺は目の前にあるでかい鍋の中身をかき混ぜていた。

火にかけられた鍋からは美味しそうな匂いが立ち込めている。


「ルル、後は俺達だけで大丈夫だ。 向こうにテントを用意してあるからゆっくり休め」


バーンズが現れるなり声を掛けてきた。

俺は避難していた人達への夕飯の準備を手伝っていたのだが……。


「だけど、みんな働いているのに……」

「いや、お前達は最初から動いていただろ? ライオンから聞いたぞ? 門を開ける為に多くのゾンビ達と戦ったと」


まぁ、そうなんだけどさ。


「お前達ばかりに色々させていたら俺が怒られちまうよ」


冗談交じりに肩をすくめて見せると、


「リリとか言う小娘もテントで待っている。 二人して今日はゆっくり休んでくれ」

「う~ん、まぁそこまで言われたら仕方ねぇか」

「ああ、まぁゆっくり休んでくれ。 ……あ、そうだ」


歩き出そうとした俺に、


「テントの側に体を拭く為のタオルとお湯も準備してある。 一応布で覆って場所も作ってあるからそこで汚れを落とすと良い。 その僧侶服の代わりにローブも準備しておいた」

「おお~なかなか気が利くじゃねーか! そいつは助かるぜ」


流石に血まみれ汗まみれの姿だっただけに気にはなっていた。

風呂までとはいかないが、それでも十分嬉しかった。


「一応、リリって小娘に見張りを頼めよ?  お前の下着の所為で一部興奮している兵もいる様だからな」

「ぶっ! く、くそ! せっかく忘れてたのに」

「あのなぁ? 兵士ってのは溜まってるものだからな? お前さんみたいに可愛い嬢ちゃんがパンツ姿晒せばそうなるってもんさ」

「あ、あう。 か、可愛いとか言ってんじゃねーよ!」


む~~やっぱりこいつは苦手だ。


「……まぁ、忠告感謝な。 リリに頼むことにするよ」

「ああ、ぜひそうしてくれ。 うちの兵隊から性犯罪者が出ないようにな」

「そっちがちゃんと指導しろってんだ!」


俺は嫌味を吐き捨てるとリリの待つテントに歩いて行ったのだった。


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