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再びギルドへ


まぁライオンが変態とかそーいう話は置いておいてだ。


「そーいやライオン、援軍を呼びに行ったんじゃなかったのか?」

「隣2箇所の街には求めた。 だが準備して来る迄に時間が掛かるようだ」

「普通はそーだよなぁ……。 その袋は食料とか?」

「ああ、食料と水。 医薬品少々ってところだな」

「じゃあ、今からあそこに戻るのか?」

「そうなるな。 援軍が来るまで道程も考えて最短三日程度はいるだろう。 必要になるはずだ」

「三日か……」


俺は頭を捻る。


「……なぁライオン。 この街にいるゾンビ達、全滅させることは可能だと思うか?」

「ふむ……そうだな」

「は? 貴方一体何を……」


ライオンは少し考えこみ、シエラは突拍子のない言葉に戸惑いを見せる。


「この街の規模を考えると少し厳しいな。 恐らく未だ千以上いるだろう」

「だよなぁ~……」


ゾンビ達の動きが鈍いのならどうしようもあるだろうが、生きている者を見かけた時の動きはかなり早い。

疲れも痛みも知らないし、首を刎ねたり頭をつぶしたりしない限り平気で襲ってくる。



「ひとまず、ライオンが戻るなら俺も戻るぜ。 中の奴らが心配だしな」


俺はリリとシエラに、


「お前達はどうする? シエラには……出来れば他の街に逃げてほしいが」

「私も行く」

「もちろん行くッス」


二人揃って即答だった。


「ん~……シエラは言う事聞かなさそうだし、リリの力なら大丈夫だろう。 ただそうは言っても最短で戦闘は最小で行かないとやばいからな?」

「分かってるわ」

「あいッス!」


返事だけは良いけど……本当に分かってんのか?

まぁ行く以上は仕方ねぇが。


「ライオン、お前に先頭を頼む。 シエラは真ん中、ライオンと俺とリリで三角形を描くようにシエラを守るぞ」

「任せておけ」

「お任せッス!」


ざっくりと打ち合わせを終わらせると、俺達は再度街の中に足を踏み入れて行った。



通ってきた通用口。

魔族の攻撃でゾンビ三体が頭を吹き飛ばされて扉に寄りかかり押さえられている形となっていた。

その為他のゾンビも開けられなかったようだ。


それをいとも容易くライオンが開け放つと、扉の開く音に反応したゾンビ数体が走ってくる!!

こいつら耳良すぎだな。


前に出たライオンの剣が横一線されゾンビ三体の首が一気に断ち切られる!!

横から来ていたやつはリリの蹴りと俺の杖で沈黙した。


「シエラ、ギルド迄最短ルートを頼む」

「任せて! こっちよ」


シエラの案内でゾンビ達を警戒しつつ道を進む。


慎重に進んでいた為かゾンビ達の出現は散発的だった。

数体から十体程度の集団が走り寄って来ては俺達に迎撃される。


……しかし……この呪いは本当に厄介だな。


呪いで死ねば勿論だが、呪い中に他起因で死んでもそのままゾンビ化してしまうようだ。

その為ゾンビに殺された者も一部はゾンビ化しているようだ。

おかげで食われてグロい状態のゾンビにも何度か出くわす。

おかげで返り血以外にも血が飛び散ってしょうがない。


はぁ……考えたらライオンとかリリはマントのおかげでそこまで返り血を浴びてないけど、俺なんて全身赤く染まりつつあるわけだが?

この僧侶服が純白だったなんて誰も思わねぇよなぁ~。



順調に進み続けて遂にギルドのすぐ前まで来た時だった。


「ふむ、これは……」

先頭のライオンが前方を見て足を止めた。


「どうした……っ!」


俺もそちらを見た瞬間思わず息を呑む。


冒険者ギルドの前……ゾンビ達と戦って散っていった冒険者達が沢山いたのだが、その者達がゾンビ化している。

しかしそれは別段おかしくないのだが……。


(ぞ、ゾンビの癖に武器をもっているだと!?)


知能が無いはずのゾンビ達が手にするのは剣や槍、そして斧と言った武器だ。

冒険者姿のゾンビがそれらを手にウロウロしている。


ゾンビになったら武器なんて使わず襲い掛かってくるはずだぞ!

こりゃどうなってんだ!?


と……俺達の中にいたシエラが、


「メロ君!」


ギルドの前で他のゾンビ同様ウロウロしている冒険者のゾンビ。

シエラが膝枕していたメロ君とやらだ。


「チッ! シエラ!」


俺の鋭い声にシエラが慌てて口を押えるが……もう遅かった。



冒険者ギルド前にいたゾンビ達の視線が一斉にこちらを捉える。

そして……。


「あがぁぁぁぁ」「だぇぇぇぇ」「うばぁぁぁぁ」


口々に言葉にならない叫びをあげ走ってくる!!


「来るぞ! 構えろ!」


ライオンが鋭く叫び、その時にはゾンビ達に囲まれていた!



ライオンが一番大変だが前を支えてもらうしかない!

俺は俺の前にいる奴を相手にしなければ!


俺の前に斧を持ったゾンビと剣を持ったゾンビが迫る!


斧が俺に向かって振り下ろされる!

動きは速いが……ゾンビな為かフェイントみたいな小細工はなく力任せの様だ。


躱した斧が地面に突き刺ささる!

その柄を踏みつけ杖でそいつの顔面を打ち払った!


「ぐべっ!」


変な声を上げて斧持ちゾンビが仰向けに倒れる。

頭は潰せてないからまだ倒しきれていない。


その間に剣を持ったゾンビが斬りつけて来た!

杖でぎりぎり受け止め、そのまま身体ごとぶつかって転倒させる!


剣のゾンビも仰向けに倒れこんだ!


そして、どっちのゾンビも立ち上がろうとした所に杖を叩きこんで頭を潰した。


(やっぱり……別にとどめさせないとかじゃないんだよなぁ?)

昨夜の事を思い返していると、



「ルル! 危ない!!」


シエラに体を引っ張られて尻もちをついた俺の目の前に槍が突き出された!


「っぶねー!!」

「馬鹿! ぼーっとしてる場合じゃないでしょ!」

「すまん、助かった!」


俺は急いで立ち上がると槍を持つゾンビに向き直る。

そしてハッと気が付いた。


そのゾンビは……メロ君だ。


顔などは綺麗なままだが……腹が大きく引き裂かれて中身が垂れ下がっている。

無表情なまま俺に向かって槍を突き出して来る!


俺はその槍に杖をぶつけて逸らすと槍の懐に入った。

そして杖でその顔を……、


「メロ君……」


シエラの小さな声が聞こえつい手を止めてしまった!


「がぁぁぁ!!」


メロ君がそのまま俺に被さる様に襲い掛かってる!

俺はメロ君に押し倒されてしまった。


(やべぇ!)


押し倒したメロ君が俺の首筋に噛みつこうと顔を伸ばす。

俺も下から精一杯押し上げるが……メロ君の体重に加え銀色の鎧の重量もあって……お、重い!!


徐々にメロ君の顔が近づき……ガチン! 歯がかみ合って打ち鳴らされる!


(ぐぉぉぉぉ……! く、食われてなるものか!!)


ゴン!! という音共にメロ君が後ろにのけ反った!


(今だ!)


思いっきり力を込めて俺の上に乗るメロ君の体を跳ね飛ばす!!

そして差し出される手に掴んで立ち上がった。


「大丈夫?」

「ああ、助かったぜ、シエラ。 あいつ……お前のメロ君だってのに……」

「ううん、メロ君には……あんなことしてもらいたくないから」


そう告げるシエラの手にはどこで拾ったのかメイスが握られている。

先程はこれでメロ君の顔を殴り俺を助けてくれたのだ。


俺の目の前で起き上がろうとするメロ君を見ながら、


「ルル、お願い……メロ君を」

「ああ、分かってる」


俺はメロ君の頭に杖を振り下ろした。

杖が頭にめり込む寸前、


「さよなら、メロ君」


シエラの呟きが背後で聞こえたのだった。



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