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ピンチは続くよ何処までも


街の中を走り回る俺に後ろからイライラしたシエラの声が掛けられる。


「あんた馬鹿なの? この道さっきも通ったじゃない!?」

「そんなことは分かってんだよ!」

「じゃあグルグルとアホな犬みたいに回らないで、サッサとメロ君の所に連れていきなさいよ!」

「後ろ見ろ! 後ろ! アイツ等が見えねーのかよ?」

「何? みんなも連れて行って見てもらえば良いじゃない? あんたが人の彼氏を奪おうとする最低最悪な女だって」

「お前は何を言ってるんだ!? アイツ等よく見ろゾンビだぞ!」


俺は角を曲がる、どうやらここは道幅の狭い裏道の様だ。


「丁度いい! ここ通るぞ」

「薄汚れた泥棒猫のあんたにピッタリの場所ね!」

「だー! いちいちうっせー!」


細い路地は薄汚れており、色々な空き箱やゴミ箱、廃棄された物が乱雑に捨てられている。

俺とシエラはそれを軽快に避けて走り抜けていく。


そして俺達の背後からゴミ箱をひっくり返すような音やゾンビ達が倒れていく音が聞こえてきた。


(よっしゃ! 計算通りだぜ!)


後ろを振り返る俺の目には狭い路地を埋めるように折り重なっているゾンビ達の姿が写った。



「よし! 今のうちに町の外に出るぞ」

「いよいよメロ君含めて直に話す時がきたようね」


シエラがウキウキとした表情と共に俺を睨みつける。


笑いながら睨まれるとか……貴重な体験と言うか、不気味というか。

はぁ……こいつにも色々説明しねーと。

ああ、面倒くせぇ!





ゾンビ達をまいた俺達は街の出口付近の路地に潜んでいた。

俺は路地から少しだけ顔を覗かせて確認する。


(あそこの門から街の外に出れそうだな……)


出入り口は馬車の幅より少し大きめの木の扉があり、開閉式の門となっている様だ。

そして今その門は閉じられており、十数近いゾンビが街の外に行こうと扉をバンバン叩いている。


街の外にゾンビが出ない様門を閉めたのだろうが、それによって街の人達も出れなくなっているような気がする。



(どちらにしろ……どうやって外に出ようか?)


ゾンビを倒せるかは微妙だ。

数も多く、戦闘音を聞いて他のゾンビも来るかもしれない。



「まだなの? 一体いつまでこうしてるのよ? 早くメロ君に会わせなさいよ。 それとも……」


シエラは意地悪そうな笑みを浮かべ、


「私が行くと不都合でもある訳? 実はメロ君に捨てられるのが怖いとか?」

「んな訳あるか! そんな事よりアイツ等を何とかして外に出る方法とかないのか? お前この街の住民だろ?」

「あるわよ、あの門の横。 通用口が見える? あそこは簡単な閂だからすぐ開けられるはずよ」

「なるほどな。 じゃあ後の問題はゾンビ達か」

「それも簡単じゃない?」

「うん? なにか良い手があるのか?」

「貴方の腕を片方与えて、それを食べさせている間に外に出るのよ」


こいつサラッと恐ろしい事言うな……


「却下……と言いたい所だが一部採用だ」

「腕を切るのは任せて!」

「なんでだよ!? そっちじゃねーよ! 囮的って意味だ」


嬉しそうなシエラから目を離し門に群がるゾンビ達の様子を窺うと、俺は道端に落ちている丸い物にそっと手を伸ばした。





ガランガランガラン!!


門近くの家、その屋根から大きな音を立てつつ金属製の丸いバックラーが転がり落ちる。

そして地面に置かれたゴミ箱に辺り派手な音を立ててゴミ箱が倒れた!



門に群がるゾンビ達は一斉に音のした方に振り向くと、競い合う様に我先にと走り出した!



そして音のした方とは逆の方向から門に向かい静かに走る二つの影。

……もちろん俺達だ。


ものの見事にゾンビ達は音の仕掛けに引っ掛かった様だ。

知能がない故に反射的行動なのだろう。



通用口まで来て閂を外そうとして……


「くっそ! 閂が曲がってやがる!!」


ゾンビ達が散々殴った為か閂が曲がりすぐに外れない。

力を込めて外しにかかる。


「早くしなさいよこのクズ、いやグズ!」

「うるせぇ……ぐううう!」


徐々に外れ始めたが……、


「戻ってき始めたわ! 早く!」

「分かってる!! こんのぉ〜!!!」


ガコン!!



大きな音を立て閂が開く。

それと同時にゾンビ達の虚ろな目が俺達を捉えた!


「これで!」


扉を開けて飛び込む様に二人してくぐると叩きつけるように扉を閉める!!



閉めた直後、


バン!!  バンバンバンバンバン!!


扉を滅茶滅茶叩かれた!

俺は開けられないよう扉を掴み力を込める!


「おい! こっち側に閂とかねーのか?」

「あるわけ無いでしょ? 門って中に入れない為のものなのよ?」

「マジか! くっ!」


扉は内開きのタイプ、つまり街中側に開く。

物凄い強さで扉が引っ張られるものの、扉の取っ手しか握れない為かあちらも引く人数が制限され、俺一人でも何とか食い止められていた。


「仕方ねぇ! シエラ、お前はこのまま逃げろ! 俺がなるべく押さえておくから!」


俺がそう叫ぶも、シエラは腕を組みながら俺を見ると、


「嫌。 メロ君はどうなるのよ? 貴方とハッキリ決着をつけないと安心も出来ないわ」

「んなこと言ってる場合か!? これ見ろこれ!」


扉が開きそうになるのを俺は必死で引っ張る。


「やっぱり腕の一本上げれば何とか落ち着くんじゃない?」

「だぁぁぁ! 良いから腕の事はほっとけ! そんな事より……」


俺が更にシエラに叫ぼうとした時、



バサッ



大きな翼のはためき、そして黒い影が空から地面に降りてきた。

それは地上寸前で速度を落とし、ふわりと着地する。


「ぐぁ……んな馬鹿な」


俺……どれだけタイミング悪いんだよ!!

ここで来るか!? 普通!


黒い昆虫の様な姿の者……魔族。

以前見たカマキリの様な頭がこちらに向けられる。



「……これ何?」


シエラが不思議そうな目を向ける。


「シエラ逃げろ! そいつは魔族だ! ……おわっ!」


魔族に気を取られた瞬間、扉が開きそうになり慌てて力を入れて引っ張り直す。


くっそ〜〜!! どーすりゃいいんだ!


ライオンは居ない、シエラは逃げん、扉を引っ張っている中魔族まで来るなんて……試練多すぎじゃね!?

俺ってこんなに不幸だったか?


焦る俺に魔族がカマキリの様な頭を向けた。


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