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現状打破


いや〜しかしここの奴らは全員間に合って良かったぜ。

まだ熱の出始めた段階だったから体力的にもそこまで落ち込んでなかったしな。



解呪を終えた俺は仕切りを捲り外に出る。


そこには深刻そうな顔をしたセレスとライオンが待っていた。


「ん? どうしたんだ二人共、そんな深刻そうな顔をして」

「ふむ? ルルの方は終わったのか?」

「ああ、バッチリだ。 症状の出始めだったから、皆すぐに良くなる筈だぜ?」

「どうもありがとうございます! ルル様」

「うげ! ちょっと待った! ルル様は止めてくれ、なんつーかこう体がむず痒くなっちまう」

「分かりました。 では感謝の言葉だけ……本当にありがとうございます!」


セレスは心底安心した様な表情を浮かべて俺に頭を下げてきた。


うぅ〜なんか落ち着かねーが、まぁこれぐらいならいいか。

俺が皆を助けたいのはお礼が欲しいわけじゃなくて、俺の村みたいな悲劇を見たくないからだし……まぁ、自分の為にしていることだからなぁ。


「ん〜、まぁ、いいや! それより、何でそんな暗い顔してたんだ?」

「いや、今セレス殿に話を伺っていたのだが……」

「ああ、良いのですよライオンさん。 ルルさんには私の方から話します」

「うん?」


そうしてセレスは俺の方に向くと、深刻そうな顔をしていた理由を話し始めた。


「ルルさんが来て頂き病気の者たちは治りました。 ですが依然として私達はここに避難している状況、それは変わりません」

「ああ、まぁそうだな」

「そしてお二人の言葉通りなら、冒険者ギルドは壊滅。 それ程の状況なら街も壊滅的と考えられます」

「その通りだったぜ。 街中にまだ無事な奴が隠れているかも知れねーが、少なくとも表に出ているやつで無事な奴はいないと思う」


俺は街の様子を思い出しながらセレスに伝える。

セレスは「やはりそうでしたか」と俺に頷く。


俺達から聞いた話である程度予想していただろうが、改めて街の様子を認識するとやはりショックだった様だ。


「だとすると、やはり問題があります」

「ん? 問題って?」

「食料品や水です」

「食料や水? ここに避難してるなら有るんじゃねーのか?」

「いいえ、それが……」


セレスは首を振り、


「本来この近くの避難指定場所は私の務める学園なのです」

「あ〜そう言えば校長とか言うのだったな?」

「ええ、ですので今ここに避難している人達は、元は学園に避難しておりました」

「ってーと、学園に逃げたけど、こちらに移動したって事か?」

「はい、逃げた学園でもゾンビの人達が現れて……冒険者ギルドが近かったので、冒険者の方達に守られながらこちらに避難したのです」

「なんでここに? 街の外に逃げればいいじゃねーか」

「いえ、その時には既に街の出入り口付近でゾンビが溢れておりまして……」

「う〜ん、じゃあ仕方ねーのか」


学園に避難した分、街の外に逃げるのが遅れたって訳か……。


「食料と水の確保と同時に、他の街もしくは王国軍にこの街の救援を頼む必要がある」

「ああ、確かにこの人数を助けるには流石に俺達だけって訳にもいかねーもんな」

「ああ、だから俺が行ってくる」


ライオンが自分を指した。


「じゃあ俺も付き合うぜ」

「いや、お前にはここに残ってもらいたい」

「は?」

「もしまた症状の出た人が出た場合に備えて欲しい。 それに万が一にもゾンビが来る可能性もなくはない」

「お前、俺一人でゾンビを相手しろって言うんじゃねーだろうな?」

「ああ、お前なら大丈夫だろう? それとも無理そうか?」


心配する素振りも見せないライオンに、


「上等! 襲ってくるゾンビは俺が蹴散らしてやるよ!」

俺は右手の握り拳を左手にパシッと叩きつける。


「ああ、ここは地下だし余程でなければ魔族もお前には気づかない筈。 その間に俺が救援を呼び、同時に食料などを持ってくる」

「まぁ、お前なら一人でも平気そうだしな」

「ああ、任せておけ!」


そんな話をしていると、セレスが申し訳無さそうに、


「すみません。 恩人であるお二人にこんな危険なことを頼んでしまい……」

「いや、気にするな。 ここにいる奴らには荷が重いだろうしな」


避難している人達を見るにどう見ても冒険者達と違い普通の街人だ。

それに子供や子供連れも多く、多くはその子供と親のセットに見える。

そんな人達が危険な街中を抜け出し、救援を呼びに行く。

しかも旅慣れていない人達だ。


それを考えると、確かに体力が無尽蔵で、ゾンビの中を容易に切り抜けていくライオンは適任だった。


「おっしゃ! じゃあライオン頼むぞ?」

「ああ、全速力で行って戻ってこよう。 それまでここを頼む」

「言われるまでもねーよ」


俺はライオンに不敵に笑う。

ライオンも俺に歯を見せて笑い、「早速行ってくる」と扉を開けて地上へ戻ろうとする。


俺はそんなライオンの背に、


「まぁ、お前は信じられない程すげぇ奴だけど、そ、それでも」


背後から話し掛けられライオンが振り返る。


「気をつけていけよ?」


ライオンは前を向きながら俺に親指を立てて見せると、


「ああ、俺を信じろ」


そう言って地下の鍛錬場から出て行った。


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