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そして旅立ちへ


ぐぅ……こ、ここは?


目を覚ました俺は起き上がろうとして……


ズキッ!!


鋭い痛みが後頭部から伝わり思わず頭を抱え込んだ。


つぅ……


痛みと共に何があったか思い出す。


ララのやつ! あいつを抜けなかったのはこれで二回目だ!


痛む頭を押さえつつ体を起こす。

服装などは変わりないが、腰に合った杖がなくなっている。


そして簡素なベッド、机と椅子、小さな窓、そして扉。

扉にはドアノブ等がなく、どうやらこちら側からは開けられない仕様の様だ。


つまりここは小さな監禁部屋って訳か……



ベッドに胡坐をかくと、


(さてと、どうやって逃げようか? クソ王様ジジイには喧嘩売ったし王都に留まる理由はない)


扉は木製だ……蹴り壊せるかもしれねぇ。

しかし見張りがいるかわかんねーから慎重にしねぇと。



いきなりガチャリと扉が開く。

顔を覗かせたのはララだった、後ろにはロロも見える。


「あ、起きてた? ごめんね。 痛かったよね?」

「ああ? 気にすんな。 仕掛けたのは俺の方だ」


申し訳なさそうな二人に、


「おいおい、そんな面見せに来るため来たのかよ? お前達は悪くねーんだ」

「でも力になれずごめんなさい」

「うん、ごめんなさい」


この二人は……変なとこで真面目なやつらだ。


「それなら城から逃がしてくれよ」

「それは……」


二人して困った顔を向ける。


「冗談だよ! まったくこんな冗談もつうじねーなんて、お前ら真面目過ぎんだろ」

「……はぁ、貴方はこんな状況でも変わらないのですね」


ロロがため息交じりに告げると、少し微笑を浮かべる。


「落ち込んでてもしょーがねぇしな!」


俺は苦笑して見せる。

まぁこの二人にしけた面は見せらんねーわ、もっと落ち込みそうだしな。



その時、

「ララ団長!! ロロ副団長!!」


部屋の外が騒がしくなる。


「なんだろ~?」

のんびりしたララが声のした方に視線を向ける。


俺はさり気なくララの方に歩いて行きドアの状態を確認する。


(なるほどな……だったら……)



息せき切って兵士の一人が通路の向こうから走って来ると、


「ゾ、ゾンビ達が! 沢山のゾンビ達が王都に押し寄せてきます!」

「なんだって~?」

「方角と数は?」


のんびりした口調のララと状況を把握しようとするロロ。


「南門、速報では三千から五千です」

「くっ! あそこは今手薄です。 直ちに王国第一騎士団を出します!」

「は!」

「跳ね橋を上げなさい、兵達は塀の上から弓にて攻撃。 騎士団は跳ね橋前にて待機せよ」

「はっ!」


ロロがてきぱき指示を出すと、兵士は再び戻って行く。

ララはやり取りが終わると、


「ごめんね、ルル。 僕達行かなきゃ」

「ああ、なんか大変そうだな? 気を付けろよ」

「ええ、ルルはここで待ってて下さい」


それだけ告げて扉を閉めると二人の足音が遠ざかって行った。



……二人には悪いが……行かせてもらう。


ドアはノブを回すことでラッチと呼ばれる部分が引っ込み開けることが可能になる。

つまりドアノブがないとラッチが引っ込まず、穴に引っかかって開かない。


だけどな?

ラッチが入る穴が何かで埋まっていれば話は別だ。

そうなればラッチは引っ込んだままになる。


俺がドアを開けると扉はすんなり開いた。

ラッチが入る穴には俺が付けていた髪留めの残骸が詰め込まれている。


二人が兵士の報告に耳を傾けている間に、髪留めを壊してそれを詰め込んだのだ。


部屋の外、通路の様子を伺うと誰もいない様だ。


まぁここは牢屋などではないし見張りとかもいないのであろう。

俺はそっと通路に出ると自分の部屋を目指して進み始めた。





「ロロ副団長、ゾンビの数二千を切りました」

「分かったわ。 それじゃあ跳ね橋を降ろして! 騎士団突撃するわよ!!」


ロロがララに合図を送ると、ララが片手を上げてそれに答える。


跳ね橋が大きな音を立てて降ろされていく……その向こうにはかつて人間だった者達が蠢いていた。



ララが両手にもった大剣を振り下ろす!!

ララはそのスキルにより剣に大地の力を込めることが出来る。


振り下ろされた剣は大きく大地を割り、ゾンビ達を吹き飛ばし、または地割れに落とし込んでいく!!


「いけぇ!! 団長に続けー!」


鼓舞される様に騎士団員達がゾンビに襲い掛かっていく。



塀の上では全体の指揮をしながらロロが魔法を飛ばす。


「紅蓮の炎よ、天まで駆け上れ! 『ファイヤーストーム』」


ゾンビ達の後方で炎の竜巻が起こりゾンビ達を巻き上げ燃やし尽くしていく。


騎士団達の活躍により襲い掛かってきたゾンビ達は次々と駆逐されていった。

しかしいくら活躍しても彼等の表情に喜びが浮かぶことはない。


ゾンビ達……それは自分達と同じ人間だったのだから……。





「あれ? ルル様?」

部屋に戻るとメイド達が部屋の掃除をしていた。


部屋に戻ってきた俺に不思議そうな目を向けている。


「暫く他の部屋を与えられたって聞いておりましたけど……」

話しかけるメイドに構わず、部屋の中に素早く目を走らせると、


あった! 俺の服と杖、それと荷物一式。


綺麗にたたまれて置かれている僧侶服と杖を手にしてすぐさま着替えていく。


ドレスを脱ぎ捨て、薄汚れた僧侶服を纏っていく。

洗ってくれた様だが……さすがに血の跡は落ちきれず白と言うより茶色の服になっている。


「え、え? ルル様、どちらに?」

俺のいきなりの行動に戸惑うメイド達、


「すまない! 急いでいる。 世話になったな、ありがとうよ!」


着替えて杖を腰帯に差し込み鞄を背負う。

騎士団……主にララとロロが戻って来る前に王都を出なくては。


正直……フィリム国王の言っている事は正しいのかもしれない。

最後にされた質問、あれに回答する答えを俺は未だに持ち合わせていない。


しかしやはり俺の中では誰であっても見捨てるなんて選択肢はなかった。

だって……それをするってことは、俺のいた村の様な事が増えるって事だから。



メイド達は慌ただしく準備をしていく俺をオロオロと見ていたが、俺の様子を見ると察したようで、

「ルル様、どうかお気を付けて。 私達はみんなルル様のご無事をお祈りいたします」

「……お前達……」


思わず準備する手を止めてメイド達をマジマジと見てしまう。

メイド達は揃って並ぶと俺に対してお辞儀をする。


「行ってらっしゃいませ。 どうかこの世界に希望を」

「ああ……ああ! 任せろ! 俺がこの世界に掛けられたくそったれの呪いを解いてやるぜ!!」


そう告げると部屋を飛び出した。

1回だけ後ろを振り返る……メイド達はずっと頭を下げ続けていた。


俺は再び前を向くと、城の出口に向かって走り出したのだった。


よぉ! 久しぶりだな!


ん~? そうでもないって?

まぁ話すネタはあるからなんやかんや毎日話してるしな。


まぁ、今日の話がある意味本当の旅立ちだぜ。


なかなか説明できないところもあるが、我慢してくれ。

喋り方ってなかなか直んねーものなんだよ。


怪我なら回復魔法で治せるんだけどなぁ……ん?


はぁ!? 頭の中身を治せってそりゃどーいう意味だよ!

くっ! こら逃げんな!! 待ちやがれぇ!!

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