王都にて
二人に連れられ王都に入る。
っていうか、外から見ていても凄かったけど中に入るとすげぇ!!!
道は綺麗に石畳みで敷き詰められているし、家も木とかじゃなくてレンガ造りとかオシャレだし。
そして色とりどりの壁や屋根。 建物は二階建てや三階建てだらけだぜ。
(こんなものが村に合ったら間違いなく浮くわ……俺だったら突撃するね)
それに道行く人たちも色々な服装、恰好をしている人ばかりだな。
旅で見た冒険者風の奴らもいるが……それにしても色とりどりで何て言ううか……えと、ハイカラ?
そんな感じだ! うん!
キョロキョロ辺りを見回していると、
「ほら、ルル行きますよ?」
ロロが少し先から俺を呼んだ。
くっそ、もっと色々見てーが……仕方ねぇか。
それに本当だったらここには師匠と来るはずだったのに!
思い出したら少し胸が苦しくなった。
(いやいやいやいや! さっき前を向くって決めたはずだ。 師匠とは再会した時にまた来よう。 そん時は目いっぱい奢らせてやる!)
俺は先にいるララとロロの元に追いついて一緒に歩き出した。
そうして都市の中をあちこち見ながら歩いているとある事に気付く。
(なんだぁ? やけに燃えた建物が多いな?)
歩いているとチラホラ黒焦げの建物が見える。
火事が多いのか?
確かにこんだけ人がいりゃあ火の不始末も多そうだけどな。
俺の視線に気づいたのかロロが口を開いた。
「ただの火事じゃないのよ。 あれは魔族によるものなの」
「魔族!? こんな人が沢山いるところにも来やがんのかよ!」
「魔族はね~。 結構頭が良いんだよ~?」
ララも話に入ってくるが、のんびりした話し方の所為でそちらに気がとられそうだ。
えと、何だっけ? 頭が良い?
「頭が良いって?」
「この火事は魔族が、意図的かつ計算して起こされたんです」
ロロが説明を続ける。
説明はロロの方が助かるぜ、ララだと喋る内容を紐解くところから始まりそうだ。
「ってどういうことだ?」
「最初に火を付けられたのは、冒険者ギルド、兵舎、門兵詰め所、警備所……戦う者達がいたり、都市の治安を守るような人達がいる場所です」
「ふむふむ」
「そして、それを囮にしたんです。 いわゆる誘導ですね」
「誘い出されたって訳か?」
「そうです。 その火事の対応をしている間に襲われたのがあそこ」
足を止めたロロが指を差す。
その方向には大きく突き出た三角塔が見え、先端には十字架が見えた。
四階建てぐらいある大きな建物で上の方には綺麗なステンドグラスの窓が見えるが、扉を含めて建物の下の方は全て黒く焦げている。
それは黒い煤が残る教会だった。
「まさか魔族の奴ら!?」
「そうです。 狙いは神官や僧侶でした。 気づいた時には遅く、教会を囲む様に火を付けられていました」
「なんてこった……」
「何とか火を消して救助に向かいましたが、ご丁寧に中の人達を切り殺したうえで火を付けられていました。 そして誰一人……」
ロロは目を伏せ首を残念そうに振った。
「じゃあ、王都にいる神官や僧侶は……」
「誰もいません。 それもあり急遽神官達を保護しに派遣されたのです」
まさか王都の教会が狙われるなんて……師匠は王都が安全みたいな感じに言ってたけど、王都もあぶねーじゃん!
「行きましょう。 教会は封鎖中ですし、大事な僧侶であるルルさんは城で保護することになっています」
「……なぁ?」
「はい?」
歩き出そうとしたロロだが俺の声に足を止める。
「やっぱ城で保護なのか? でも僧侶がいねーと各地の呪いが解けねーんだろ?」
「それはそうですが、今はルルさんの安全が一番なんです」
「そりゃあ分かるけどよ……でも俺だけ安全で他の奴らが苦しんでゾンビになっていくのを見てらんねーよ!」
それこそ俺がいる意味がない。
俺はその苦しんでいる人達を救うために僧侶になったのだ。
「……分かりました。 ですがまずは王に報告しなければなりません。 どちらにしろその話は城に行ってからで……」
「分かったよ」
彼女らも確かに使命を帯びている。
報告しなければならない事もあるだろう。
引き続き都市内を歩き、王都中心にある城に向かっていると、
「あ、ララだ!!」
一人の男の子ががララを指差して叫ぶと、
「みんなー!! ララがいる~!」
他で遊んでいた子供仲間に大声で知らせた。
(なんだ、このガキども。 ララがどうかしたのか?)
俺が思う間もなく、子供達がどんどん数を増やしララを取り囲んだ。
「お、おい! 一体これは……」
「ああ、いいんですよ。 ルル」
ロロがゆったりとした口調で俺を窘める。
そして俺の目の前でガキどもがララに、
「遊んでララ~」
「抱っこして!」
「剣触って良い~?」
「技見せて技ー!!」
ララの体に抱き着いたりしがみついたり登ったりと凄いことになっている。
「ララは子供達に大人気なんですよ」
微笑ましく様子を見守るロロ。
その視線の先には子供達と一緒になって笑顔のララがいる。
「こらこら、剣は危ないから~。 ん~ちょっと待ってね」
そう言うと、
「『シャット』」
背負っていた大剣が淡い光に覆われる。
「はい、良いよ。 これなら安全だから」
ララはそう告げると大剣を持ち上げた。
大剣には子供達が数人ぶら下がって干物の様にプラプラしており大喜びではしゃぎたてる。
「す、すげぇ。 あれ片手で持ち上げんのかよ!」
片手で軽々と持っているが……あれ剣だけで相当重いだろ!?
子供達数人ぶら下げるってどんだけだよ!!
「ららぁ~」
一人の女の子が泣きそうな顔でララのコートを引っ張る。
「あら? どうしたのクロエ」
クロエと呼ばれた子は涙目で、
「イーサ君があたしのこと苛めるの」
「ばっ! お、お前!」
近くにいた男の子が慌てたように狼狽える。
「そうなのイーサ?」
「い、苛めてなんか……」
「嘘! あたしのスカート捲ったもん!!」
「そ、それは……」
しどろもどろになるイーサ。
「あらあら? 女の子にそう言う事しては駄目だよ~? イーサ」
「う……」
「もししたら、僕が高い高いしてあげるからね」
その言葉を聞いた瞬間、顔を青くしてガクガク震えだすイーサ。
「うわぁぁ!! ご、ごめんなさいー! クロエもごめん!!!」
イーサは大慌てでクロエに駆け寄ると頭を下げ始めた。
「なんで高い高いでああなるんだよ!? 高い高いってあれだろ? 両手で子供抱えて持ち上げるやつ」
子供だったら大喜びじゃねーか! 俺なんて親父に何十回もせがんだら親父が逃げ出したぐらいなのに。
「ララの高い高いは、高い高いどころじゃないのよ」
「あ? どーいう意味だ?」
「さっき教会のてっぺんに十字架があったでしょ? あの辺りまで放り投げられるの……」
「……は?」
十字架の辺りって……地上から二十メートルぐらいねーか?
あの辺りまで放り投げられるって……。
「あ~……まぁ確かにそれされたらトラウマもんだな」
「でしょ? ちなみにララは最初それ遊んであげるつもりでやったみたいだけどね」
「まじか! なんの罰ゲームだよ!」
「ええ、怖さで全員泣き出して……それからは罰になったけどね」
ずれているララもあれだけど、あいつの力どれだけだよ……あいつには勝てる気がしねぇ。
チッ! 村の中で大将って言われてたが……所詮猿山の大将って事か。
俺が変な所で闘争心を燃やすも、子供達と一緒にはしゃぐララには全く気付かれないのだった。




