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助けられる命なら


「街にって……」


俺は思わず街がある方向に目を向ける。

此処から見えることは無いが、ゾンビが徘徊する街のことを思い出した。


「ゾンビだらけの街にまだ残っているっていうのか!?」

「残っていると言うより、残されているんです」

「残されている?」

「……街の人達によって」


シュウは暗い顔をますます暗くして俯くと、


「熱が出始めた人や疫病の疑いがある人達を閉じ込めて……その人達はまだ街の中に……」

「なんだって!?」


思わず俺はシュウの両肩を掴み、


「それは本当なのか? 何人ぐらいが残されている? どういう事だ!」

「っ! い、痛い!」


シュウの悲鳴で我に返ると、


「す、すまん! つい……」


俺はシュウに回復魔法を掛ける。


「ふぁ……すぐに痛みがなくなりました!」

「す、すまん、つい熱くなって……それよりさっきの話だ」


シュウは頷くと、


「ベル達はゾンビになるからと、街の人達が自警団の地下にある牢屋に閉じ込めて……みんなが街から出る時に開放したかと思ったんですが、ベルの姿がどこにも無くて……」


シュウは俯いて肩を震わせる。


「た、助けに行こうとしたんだけど……ゾンビがあんなに……僕は足がすくんで、怖くて……っ!」


俯いたシュウの瞳から雫がこぼれ落ちる。

俺はシュウの肩に手を置くと、


「分かった、俺が行く」

「!?」


シュウは涙が浮かぶ目で俺を見上げると、


「ほ、ほんとうに!?」

「ああ、任せとけ! 街の自警団の地下だな? 俺が助けに行くぜ」

「お、お願いします!」


シュウはこれでもかと言うぐらい頭を下げる。

安心させるようにその頭に手を置くと、


「心配するな、お前はそのベルってやつが戻ってきたときの為に飯とか色々準備でもしておきな。 俺は戻って仲間達に話をするぜ」

「は、はい!! よろしくお願いします!」


俺の言葉にシュウは笑顔を見せると駆けて戻って行った。




よっし! 俺もさっさと戻って準備しねーとな!


メリルの元に駆け出し戻る。




……そんなルルとシュウが話をしていた近くにあるテント。

その影で動く姿があった。


シュウと別れてルルが駆け出していったのを見ると、その者がテントの影から現れる。


それは先程戻ったはずのワットだった。

深刻そうな顔をしたワットは、去っていたルルを見送ると急いで何処かに向かうのだった……。




「戻ったぜ!」


メリルのテントに戻ると、そこではメリルとライオン達が話をしていた所だった。


「おかえりなさいッス」

「すみません、ルルさん。 どうでしたか?」

「ああ、大丈夫。 疫病者は治してきたぜ」


俺はメリルに確認してみることにした。


「メリルさん、ちょっと聞きたいことがあるんだが」

「はい? 何でしょうか?」

「あんた達が街を出る前。 疫病者を牢に閉じ込めていたと聞いたんだが……それは本当か?」

「っ! ……どこでその話を?」

「どこでかはどうでも良いだろう? 聞きたいのは本当かどうかだ」


メリルは悲しそうに目を伏せ、


「……私達を責めますか? 非情と……悪魔と……」

「……いや、そんな事は思わねぇ。 みんなが死やゾンビに恐怖を抱くのは分かるからな。 今俺が知りたいのはそれが本当かどうかって事と、街を出るときにその人達をどうしたのかって事だ」

「……」


暫く無言だったメリルは……俺の視線を受け重い口を開く。


「……本当の事です。 街を出る時はそのままに……してきました」

「そうか……ちなみに街を出てどれくらい経つ?」

「えっと……五日……いえ、六日です」

「そうか……ぎりぎりだな」


牢に閉じ込められ、食事を出す者も居ないだろう。

食わない状態や疫病を考えると一刻一秒を争いそうだ。


「街の地図を持ってたりするか? 自警団の場所が知りたい」

「え? ええ!? ま、まさか助けに行くつもりですか!?」

「勿論だ! 俺が来た以上疫病は治せる。 牢の中で生きているなら助けないとだろ?」

「で、ですが街はゾンビだらけです! ルルさんが殺されちゃいますよ!」

「心配するな! 何も戦うのが目的じゃねぇ。 戦いを最小限に、なるべくバレないように侵入するからよ!」


必死に止めるメリルを制し、地図を出させる。


「……本当に行くんですか? 死にますよ?」

「大丈夫だ。 こう見えても修羅場くぐってきたしな! それより場所は?」

「はぁ……仕方ありませんね」


テーブルの上に広げられた地図を見てある場所を示す。


ちっ! よりによって街の中心かよ……


「自警団と言う街の治安を守る組織なので、どこにでもすぐに駆け付けられるように街の中心にあるんです」


俺の呟きが聞こえたようでメリルが答え、


「だから無理ですよ。 諦めて下さい」

「断る。 俺は見捨てる気はないぜ?」

「……」


俺の決心が変わらないと思ったのか諦め顔でメリルは口を閉ざした。


「みんな、今言った通りだ。 ウィル達と話をして作戦を練ろうぜ」


そうして俺達はメリルのテントを出る。


そして出た所で武器を構えた大勢の人達に囲まれてしまったのだった。


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