8話 スキル【獣人化】
ーー獣人の村にて
「……ほ、本気なのか?」
「ああ本気さ、俺は本当に自分の王国をこのダンジョンの最下層に作る」
俺はダイアの目を見てそう話す。
「はぁ……いいかい未来の国王様、10層にある獅子王峠にはこのダンジョンの【三王】の1人、獅子王・レパルスがいて、15層真実の湖には2人目の激流王・ナディアがいる、そして20層には破壊王・ブリューナクがいるんだ、最下層になんて到底行けねぇよ」
「……すまん、その【三王】ってのはなんだ?」
「おいおいお前、そんな事も知らないで最下層に行こうとしてんのかよ」
ダイアは呆れ混じりにそう話す。
三王か……うん、やっぱり聞いた事ないな。
「すまんな無知で、事前に色々調べてきてるつもりではいたんだけどね」
「仕方ない奴だよまったく、まぁでもおもしれぇ、お前について行ってやるよ」
「え?本当か!」
「ああ、仲間にはならねぇがお前の結末が気になってな」
ダイアはそう話すとクシャッと笑った。
よ、よし国を作る前にオオカミの軍隊を手に入れたぞ。
これは大きい。
「わかった仲間には最悪ならなくていいよ、でも気が変わったりしたらいつでも歓迎だからな」
「ふっ、気が変わるか……そんな事が起きるといいな、あ、言い忘れていたが俺の仲間は来ないと思うぜ、アイツらそういうの興味ないからな」
「そ、そうなのか」
てことはつまり、一緒に来てくれるのはダイアのみか。
まぁそれでも十分な収穫だよな。
「あとなこの村の奴らだが、多分俺がいなくなれば襲われなくなると思うぜ」
「そうなのか!」
「ああそうさ、何故ならこの村の支配は俺が勝手にやってた事だからな」
……勝手にやってたって、何してんだよこいつ。
まぁでも、俺の陣営の戦力が増えるだけじゃなくタレミィの村も救えるなら良しとするか。
「その支配の話は、他の奴にはするなよ」
「わかったよ、これからはお前にある程度従うよ未来の王様」
そう言ってダイアはクスッと笑った。
まだ味方としては不安要素が大きいな、よしここはあのスキルを使ってみるか。
『ガシッ』
俺はスパークバインドで拘束したままのダイアの頭を掴んだ。
「お、おい何しやがる!」
「お前は味方に置いとくには少々邪悪すぎる、だから少しばかり改造させてもらうよ」
「やめろ、離せー!!」
「スキル発動【獣人化】」
『ギュオオ』
俺の右手から放たれた光はそのままダイアを優しく包み込んでいった。
スキル【獣人化】は、手に触れたモンスターや獣を美しい獣人に変え、そして凶暴性も少しばかり抑える事のできるスキル。
これを使えばダイアのような心の奴でも、パッと見は綺麗な獣人になるはずだろう。
『シュウウ』
そうしてダイアは狼の姿から、凛々しい青年のような姿へと変わっていく。
「こ、ここは一体」
「気がついたか、大丈夫かどこも怪我とかしてないか?」
獣人は見事に成功し、ダイアは青色の髪に水色の耳の生えた逞しい青年獣人へと生まれ変わった。
「ああ大丈夫、それよりもあんたは誰だ?」
まさか記憶まで生まれ変わったのか。
うーん、これは少々やり過ぎたかも。
「俺の名はシオン、さっき知り合ったばかりの友人さ」
「シオンか、どうぞよろしくな、俺の名はええっと……」
「お前の名はダイアだよ」
「ああダイアだ、俺の名はダイア以後よろしくな」
そう言って別人となったダイアは狼の頃を彷彿とさせるどこか捻くれた感じで、クスッと笑った。
だがしかしなんという綺麗な笑顔だろう。
外見が変わった事で一気に清潔感が出た気がするな。
色々ツッコミどころはあるけど、一先ず村にいる残りの狼達を追い出すとするか。




