7話 狼との交渉
ーー水のダンジョン6層、獣人族の村にて
「話だと?」
「ああそうさ、互いに利益のある話し合いだ」
「ふっ、そんなものに興味はない!」
『ギュオッ』
大狼はそう言うと大きな口を広げて俺に襲いかかった。
「スキル発動【スパークバインド】」
『バチィン』
「ぐはっ」
俺は向かってくる大狼にスパークバインドを放ち動きを止めた。
「戦いたいわけじゃない、俺は君たち迷宮ウルフと交渉がしたいんだ」
「こ、交渉だと、お前獣人どもの味方じゃないのか?」
「味方さ、でも別に獣人の味方だからって君達の敵ってわけではない」
「お前……何言ってんだ?」
大狼は怪訝そうにして訊いてきた。
「俺はさこのダンジョンに国を作りたいだけなんだ」
「はは、国だと笑わせんなよ」
夢を語る俺を大狼はそう言って嘲笑った。
むっ、人の夢を笑うとは失礼な奴だ。
そんな奴にはこうしてやる。
俺はスパークバインドの出力を最大にした。
『ビリビリ』
「痛てて、おいやめろ!わかったよ話を聞くから、やめてくれって」
「いいだろう、でも拘束は解かないからな」
「ああそれでいいよ」
大狼の言葉を聞いて俺はスパークバインドの出力を弱める。
「なぁ迷宮ウルフよ、このダンジョンに国を作れるほどの広大な土地はないかな?」
「あるにはあるぞ、でもそれはこのダンジョンの最下層だ」
「つまり最下層にはあるんだな」
「まぁそういう事にはなるな」
ダンジョンの最下層か。
水のダンジョンの最下層については、諸説あり10層までとする意見や20層まであるという意見などがある。
そして色んな書物を読んだ俺の分析だと、おそらくだが全25層、これが水のダンジョンの全階層。
つまり、その25層にいけば広大な土地があるというわけか。
「どれくらいかかるものなんだ?」
「おいおい、行くつもりかよ」
「そりゃあ行くさ、なんたって俺の夢だから」
「夢ねぇ……」
拘束して動けないからだろうけど、大狼の奴なんだかんだ言って話を聞いてくれるな。
……ダメ元で勧誘してみるか。
「なぁ、お前の名前を教えてくれないか?」
「俺の名前か、まぁ別にいいけどよぉ、俺は迷宮ウルフのダイアっていう名前だ」
「ダイア……なぁダイア、よかったら俺と一緒に来ないか?」
「あ?何言ってんだお前」
「もちろんタダで来いってわけじゃないさ、俺の国に来ればお前を迷宮ウルフ達の長にしてやるよ」
俺はダイアへそう提案する。
「迷宮ウルフの長ね、悪くはないがそんなの本当にできるのかよ?」
「ああできるさ、なんたって俺にはスキルが100個あるからな」
「100個だと!?おいおいお前、もうちょっとマシな嘘にした方がいいぞ、100個なんて誰も信じな……」
疑うダイアの瞳に自信に満ちた俺の顔が映る。
「本当さ、俺には生まれつき100個のスキルが備わってる、そしてそのスキル全てを使って俺は王になるんだ、そうダンジョンの王にね」
そう言って俺はダイアに笑いかけるのだった。




