64話 新たなスキル
ーー9層、夜シオンの屋敷近くの森にて
「スキル発動【レオフレイム】」
『ゴウッ』
「危ねぇ、スキル発動【ウルフ・クロウ】」
『ズシャッ』
俺の放ったレオフレイムをダイアは、スキルウルフ・クロウにより強化された赤い爪で切り裂いた。
「やるなダイア!」
「へへ、そっちもなシオン!」
今日は色々あったので、俺は人気のないこの森で気晴らしにダイアと模擬戦をやっていた。
ダイアの強さ的に、サファイア・ボルト50%くらいまでなら使えるだろうし、新スキルを試すにはちょうど良い相手かもな。
『キュオッ』
そう考えると俺は左手に青い雷の輪を形成した。
「いくぞダイア、スキル発動【ミニサファイア・ボルト】」
『バチィン』
そうして俺は左手から出力20%ほどのサファイア・ボルトを放った。
「スキル発動【ウルフ・シャウト】」
『ウォオオン』
ダイアは口から遠吠えの要領で衝撃波を放ち、俺のミニサファイア・ボルトを上手く相殺した。
『バシュウウ』
「そのスキル、その杖以外からも撃てたんだな」
「ああ練習中なんだ、威力はまだまだ低いけどね」
サファイア・ボルトは現状で俺の最大火力である。
それと同時に、魔道王の持つもう一つのスキルであるサファイア・バリアも俺の持つ最大の防御スキルだ。
その二つともを魔道王に任せているのは、さすがに良くないと考え、俺自身でもサファイア・ボルトを撃てるようにするため、このスキルを作った次第である。
「あ、すまねぇシオン、そういえばこの後タレミィとリザ村へ行く約束してたんだ」
「え、こんな時間に何するんだよ?」
「なんかリザ村には酒場もあるらしくてな、そこに行くんだ」
「へ、へぇ……」
「じゃあなシオン、ガキは早く寝ろよ」
そう言ってダイアは屋敷へと走っていってしまった。
酒場か、まぁ俺はまだ子供だから仕方ないとして。
まさかタレミィがそういうところに行くなんてな、ちょっと意外かも。
『主人よ、さっきのサファイアボルト、なかなか悪く無かったぞ』
ダイアが去るとすぐに右手に持つ魔道王が、俺にそう話しかけてきた。
「おう、ありがとな魔道王」
『ふふ、我々の強みは攻防の役割分担にある、故に主人が自らでサファイア・ボルトを撃てるようになれば、今よりもさらに戦術の幅は広がるであろう』
魔道王はなんだか嬉しそうにそう話す。
「なんか嬉しそうだな魔道王」
『当然だ主人よ、今まで我以外に使えなかったサファイア・ボルトが、他の者が覚えてくれて嬉しくないわけなかろう』
「え、でもそういうのって自分だけとかのほうが嬉しいんじゃないか?」
『いいや主人よ、己だけのものにしてしまっては、そのスキルの成長はそこまでなのだ、幾人もの使い手によりスキルは更なる高みへとゆけるもの、それ故に我以外の使い手が増えることはそのスキルにとって良きことなのだ』
「そ、そうなんだ」
たまに魔道王はよくわからない事を言うよな。
何だかスキルを極めた者みたいな感じもするし、もしかして魔道王ってこのダンジョンを作った人と関わりがあるんじゃ……んなわけないか。
『だが主人よ、まだまだそのサファイア・ボルトは半人前、更なる高みへゆくために今晩は徹夜で撃ち続ける事を勧めるぞ』
「え、何を言ってんの?」
『いいから撃つのじゃ主人よ!』
「は、はい、スキル発動【ミニサファイア・ボルト】」
『バチィン』
俺は近くの大木に向けミニサファイア・ボルトを放った。
『甘い!まだまだそんなんじゃ出力25%ほどだ、せめて40%さ出せるようにするのだ!』
「そ、そんなぁ……」




