58話 ゲンさんの炭鉱
ーー水のダンジョン、4層ドワーフの炭鉱にて
『ガコンッ』
「さぁ着いたぞ2人とも、ここがドワーフの地下炭鉱じゃ」
トロッコに乗る事10分、爆速で突き進んでいたのであっという間に俺たちは地下700メートルにある、ゲンさんの炭鉱に到着した。
みた感じテニスコート2面くらいの広さのある空間に5箇所からトンネルが伸びている。
なるほど、あのトンネルから持ってきた石炭をここに集めてあるのか。
そしてその広い空間では水色のスライム達が、わっせわっせと石炭を運んでいた。
え、スライム?
「つか痛え……」
身体のあちこちが痛い。
トロッコは速くていいけど、乗り心地が最悪すぎる。
もしもゲンさんからこの炭鉱を譲り受けた際には、このトロッコをまずどうにかしないとな。
『ポニョポニョ』
「あ、ゲンさんだ!」
炭鉱へ着くとすぐに複数体のスライムがゲンさんの方へと集まってきた。
「おお皆んな、今日もご苦労様じゃな」
「ゲンさん、そのスライム達って?」
「あ、説明がまだじゃったな、彼らはうちの炭鉱の従業員じゃよ」
「従業員!?」
「おうそうじゃ、これだけ広い炭鉱を管理するにはそれなりに労働力が必要なのでな、彼らには手伝ってもらっておるのじゃよ」
スライムが手伝っていたのか。
まぁ普通にこれだけ広い炭鉱を管理するのは大変だしな。
『ポニョポニョ』
「ゲンさん、この人たちは誰なんですか?」
「この人はシオンと言ってな、これから石炭をワシらと一緒に掘ったり運んだりしてくれる、仲間じゃよ」
「おお仲間!!」
そう言って喜び始めるスライム。
「よろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
1匹の黄色い鉢巻きを巻いたスライムがそう言うと、その後ろにいた20匹くらいのスライム達が一斉にこちらをキリッとした顔で見てきた。
「おお、なんだか凄いな」
「ほっほほ、彼らは真面目でな仲良くしてやってくれよ」
ゲンさんは笑顔でそう話した。
なんだがいいスライムそうだし、これから仲良くやっていきたいな。
『ドゴォン』
その時、伸びているトンネルの一つから大きな爆発が起こった。
『ポニョポニョ』
「た、大変だ!炭鉱ゴブリンが出たぞ!」
「な、なんじゃと!」
へぇ、炭鉱にもゴブリンって出るのかぁ。
「炭鉱ゴブリンか、なかなかヤバいな」
俺の隣に立つリザ三郎がそう呟く。
「なんだよリザ三郎、炭鉱ゴブリンってそんなにヤバい奴らなのか?」
「ええそうです炭鉱ゴブリンどもは気性が荒く攻撃的な連中でして、ドワーフの間では有名なのですよ」
「そうなのか」
待てよこれもしかしてチャンスなんじゃなかろうか。
ここで俺の力を示すことが出来れば、ゲンさんやスライム達の信頼を確かなものにできるはず。
『ガサガサ』
俺はリュックから持ってきた魔道王の神杖を取り出した。
『む、なんじゃ主人よ敵でもでたか?』
眠そうな声でそう訊ねる魔道王。
「ああそうだよ魔道王、敵が出たんだ」
『ほう、では私の出番というわけだな』
「おう、頼むぜ魔道王期待してるよ」
そう言って俺は魔道王の神杖に笑いかけた。
さぁてサクッと炭鉱ゴブリンどもを蹴散らして、ゲンさんとスライム達に俺になら炭鉱を任せられると認めてもらわないとな。
『なんだか楽しいそうだな主人よ』
「へへ、色々やりたい事が見つかって楽しいからかな」
『ほう、それは良かったな』
「……」
杖と話す俺を怪訝そうに見つめるリザ三郎。
まずい、杖と話してる変なやつと思われてるかもしかして。
ちなみに魔道王の声は俺にしか聞こえないので、リザ三郎ならしてみれば杖と話すヤバい奴と思われたかもしれないな。
「い、いやぁ、気合いを入れる前ってつい独り言出ちゃうよね~」
「……あ、独り言だったんですね、俺はてっきりシオン様が杖と話す異常者に見えましたよ」
い、異常者って、そんな酷い事言うなよなリザ三郎。
「杖と話すなんて、そんなわけないだろ!そんな事よりも早くあの炭鉱ゴブリンを倒しにいくぞ!」
「はい、シオン様!」
そうして俺はゲンさんとスライム達の信頼を勝ち取るため、ゴブリン退治を開始するのだった。




