57話 いざ炭鉱へ!
ーードワーフの地下帝国にて
「ではシオンよ、これから炭鉱へと向かうぞ」
「ああ、よろしく頼むよゲンさん」
リガ吉三郎との話し合いを終えた俺は、ゲンさんとともに炭鉱へと向かい始める。
「なぁゲンさん、炭鉱ってここから近いのか?」
「ああ近いぞ、ここから10分ほどだ」
「近いなそれは!てかどうやって行くんだ?」
「それはこのトロッコを使って行くに決まっているだろ」
そう言ってゲンさんは、店の奥のトンネルの手前においてあるトロッコを指さした。
錆の目立つボディに今に壊れそうな車輪、普通に乗りたくないな……。
「お、俺は待ってようかなぁ」
トロッコを見たリザ吉三郎はそう呟くと、2、3歩後ずさりをした。
こいつ、さっきは俺に協力するとか言ってたくせにゲンさんのボロボロトロッコを見てビビりやがったな。
まぁこのボロさなら仕方ないかとも思うけど。
「なぁゲンさん、炭鉱ってこの地下都市のさらに下にあるのか?」
ビビるリザ吉三郎とは違い、リザ三郎はゲンさんにそう訊ねる。
同じリザードマンでもリザ三郎は頼りになるな。
「ああそうじゃよリザ三郎、ただ地下都市の真下というわけではないぞ、正確には右斜め下じゃな」
「なるほど、真下だと地下都市の地盤に影響がでるからか」
「正解じゃシオン、お主の言った通りこの地下都市の真下を掘ることはドワーフ法による禁止されておる、そのため皆、地下都市の斜め下を掘り進めるようにしているのじゃ」
「まぁそりゃあそうだよな」
「うむ、それでは地下700メートル下の世界へいくとしようかのぉ」
そう言ってゲンさんは、トロッコに乗った。
地下700メートルか、そんだけ掘ったら下の層に行きそうだけど大丈夫なのだろうか。
ナディアの時の湖もそうだが、このダンジョンの各階層ごとの広さや作りには謎が多い。
階層移動の時に使う階段やゲートと呼ばれるトンネルはそれほど長くないのに、行った先の階層の深さは明らかにその階段よりも深い。
まるでこのダンジョン全体に空間拡張系のスキルが付与されているかのようにも感じるが、そんな規模のスキルは聞いたことがないので、あんまり深くは考えないほうがいいのかもな。
「ほら、シオン様も早く乗ってくださいよ!」
気が付くとリザ三郎もトロッコに乗っていた。
ちなみに、リザ吉三郎は店番ということでここに残るらしい。
「ああすまん」
『ドサッ』
俺は短くそう言うとトロッコに乗り込んだ。
「では、出発するでな」
『ガコンッ』
ゲンさんはそう言うと、トロッコについていたレバーを勢いよく引いた。
『ギィィィィ』
そしてゆっくりと動き出すトロッコ。
なんだよそんなに速くないじゃん。
『ギュオッ』
「え?」
そのとき、俺の視界に奈落が映る。
「しっかりつかまっておれよ、このまま一気に300メートルほど降下するでな!」
「降下って、さっきは斜め下って言ってたじゃないか!」
「安心せいシオンよ降下の角度は大体70度ほどじゃ」
「ほぼ真下じゃねかよぉぉぉぉぉ」
そうして俺は、ジェットコーターのファーストドッロップのような加速とともに、300メートルを一気に駆け抜け始める。
「あっはは、楽しいですねシオン様!」
「い、いやいや楽しいとか言ってる場合じゃないだろリザ三郎、これは死ぬってぇぇぇぇ!」
『ギュオオオオオオ』
真っ暗なトンネルの中だから余計に怖すぎる。
てか、300メートルのファーストドッロップとかジェットコースターでもそんなのありえないだろぉぉぉぉ。




