56話 新たなビジネス
ーードワーフの地下帝国にて
「え、石炭の配達って、昔は24層まで行ってたの?」
「おうそうじゃよ、このダンジョンにおいて燃料は石炭くらいだからな、皆それを求めているのじゃ、だから若い頃はそこまで降りて配達しておったぞ」
ゲンさんにこのダンジョンのエネルギー事情をさらに詳しく聞いてはっきりしたが、石炭ビジネスは俺が思ってる以上に需要のある業界なのかもしれないな。
「なぁゲンさん、俺が配達するからまた石炭の配送を始めてみないか?」
「まぁ俺はこんなんだし、手伝ってくれるというなら再開してもいいかもな」
俺の提案に乗り気なゲンさん。
よしこの感じならいけそうだぞ。
「よし!なら契約成立だね!」
「うーん、だがなシオンよもう一つ問題があってな」
ゲンさんは苦笑いを浮かべてそう話す。
「問題?」
「うむ、実はそもそもの石炭掘りを引退しようとしていてな」
「え、引退!?」
「そうじゃ、腰の具合も悪いが俺も年齢が450ほどになってしまってな、身体が思うように動かなくなってきて石炭を掘る事自体が難しくなってきたのじゃよ」
ま、まずいぞゲンさんが引退してしまったら、俺の石炭ビジネスが破綻してしまう。
なんとかしないと!
「まぁでもいいんじゃないか、ゲンさんの持ってる炭鉱も売れば結構高く付くだろうし」
そう話すリザ三郎。
売るだって?いやいや何をそんな勿体無い事を言っているんだ、こいつは。
しかし今の俺にはゲンさんから炭鉱を買い取る資金はない。
何とかしてゲンさんを説得しないと。
「売るか、代々受け継いできた炭鉱を手放すのはのぉ」
「なぁゲンさん!良かったらその炭鉱俺に見せてくれないか?」
「え、炭鉱を?」
「うん!石炭掘りにも俺は興味があってさ、炭鉱を見てみたいんだよ」
「う、うーんそれなら構わないが……」
腕組みをしながらゲンさんはそう答える。
「シオン様、すみません一つ伺いたいことがあるのですが」
「どうしたリザ三郎?」
「ここではあれですし、外で話しませんか?」
「お、おう」
リザ三郎にそう言われて俺はゲンさんのお店の外へと出た。
「シオン様、一体どうしたのです急に炭鉱に行ってみたいなどと言って」
困惑した様子でそう訊ねるリザ三郎。
リザ三郎達は普通にゲンさんから石炭を買いに来ただけなのに、付き添いの俺がいきなりこんな事言い始めたらそりゃあ驚くよな。
仕方ないリザ三郎とリザ吉三郎には本当の事を話すか。
ーー5分後
「ーーという事なのだよ」
「ほぉ、つまりシオン様はこの水のダンジョンで三王に匹敵する財を成したいという事なのですね」
「ああ、そうなるな」
「……それならシオン様、レパルスの持つ資産をそのまま使えば良いじゃないですか?」
リザ吉三郎は、俺の話を聞いてそう提案した。
やっぱり出たかその話。
確かにレパルスの資産は俺が勝利した事により、おそらく所有権は俺にある。
でもそれはあんまり使いたくはない。
その理由は、俺が将来このダンジョンを統一した後にレパルスにもう一度領地を任せたいと思っているからだ。
あんな事をした奴を信用するのは、無理があるかもしれないが、レパルスの皆を纏め上げるセンスはおそらく俺よりある。
なので将来はこのダンジョンの将軍として、俺を支えて欲しいのだ。
「うーんそれは無しでいきたいんだ、すまんなリザ吉三郎
「……その顔何か理由があるのですね、まぁ深くは言及しませんが、財を成したいのであればまずは我らリザードマンを頼ってくださいシオン様!」
そう言ってムキっと力こぶを見せるリザ吉三郎。
おお、この感じはもしや俺も知らなかったリザードマンの隠れビジネスがあるのか!
「凄い自信だなリザ吉三郎、何か考えがあるのか?」
「いえありません!」
「は?」
「考えは無いですが、我らリザードマンはシオン様に全面協力しますよ!」
「本当か!」
「はい!なんせ将来のミカさんの旦那さんですからね!」
「お、おう……」
キラキラと期待に満ちた瞳を見せるリザ吉三郎。
そんな目をされると正直複雑な気持ちになるが、一先ず協力してくれるならそれでいいか。
頑張れよ未来の俺。




