54話 ドワーフの炭鉱都市
ーー水のダンジョン4層にて
「いやぁ、シオン様がまさか俺たち一緒に来てくれるなんて」
「ああ嬉しいなリザ三郎」
「まったくだリザ吉三郎」
俺は若いリザードマン2体と4層にある、石炭炭鉱へと訪れていた。
『ジュワァァ』
近くに溶岩があるため、そこら中で硫黄の匂いがする。
あんまし吸わない方が良さそうだけど、マスクとか無いしなぁ。
「あ、シオン様、早めにこれ渡しておきますね」
『スッ』
そう言ってリザ吉三郎から、俺は綺麗な一枚の布を渡された。
「これはなんだい、リザ吉三郎?」
「それで口元を覆っておいてください、ここら辺には吸ったら身体に毒な空気で満ちてますので」
「ありがとう」
なるほどこれはマスクのような物か。
正直、頼りないけどしないよりはマシだよな。
『ススッ』
俺は受け取ったマスクを口元に当てて、後頭部で片結びをした。
「なぁリザ吉三郎よ、この溶岩地帯に石炭は本当にあるのかい?」
「はいあります、ただ石炭はとある種族により管理されており、今から向かうのはその種族の施設です」
「なるほどね、それでその種族ってのは?」
「ドワーフです、小賢しい奴等ですが悪い奴らではありません」
「ドワーフか」
ドワーフとは、鉱山やダンジョンの下層付近に住む、小人族の総称である。
頑丈な身体に人よりも遥かに強い腕力などがあり、寿命も4、500年ほどあると本に載っていた。
まさかこのダンジョンにもいたとはな。
正直、1~4層は連れて来られた時箱に入っていた関係上、あまりよく見れてなかったから、ドワーフに会えるのは少し嬉しい。
『主人よ、用心しろよドワーフは三王ほど強くは無いが、リザードマンよりは遥かに強い、戦闘になればこちらが圧倒的に不利となるぞ』
「わかった気をつけるよ」
そんな心配しなくとも話し合いに来ただけなんだし、そう簡単に戦闘にはならないでしょ。
まぁでもドワーフってイメージ的に結構好戦的な気もしなくは無いか。
気をつけておかないとかもだな。
「シオン様、着きましたよドワーフの炭鉱です」
「へぇ、ここがそうなのか」
4層を歩くこと約20分ほどで、俺たちはドワーフの炭鉱へと到着した。
パッと見は洞穴のようだけど、本当にこんなところにドワーフは住んでいるだろうか。
「ささ、シオン様お先にどうぞ!」
「え、俺が先頭なの!?」
「最初に入った方が感動が強いと思うので、是非是非!」
「感動って、ただの洞穴だろ」
『スッ』
リザ吉三郎にそう言われて俺は渋々その洞穴へと入っていった。
ドワーフの作った洞穴なんて、イメージ的に泥臭いおっさんの穴って感じだよな。
それなのに感動って、まったくリザ吉三郎な何を言ってるんだか。
「こ、これは……」
洞穴を潜るとそこには、大きな炭鉱都市が広がっていた。
あんな小さい穴から入ったのにこんなに広い空間があったなんて、一体どうなってるんだ?
「ね、凄いでしょ?」
「ああ凄い、凄すぎるよリザ吉三郎」
「へへ、だから先頭に行ってもらったんですよ」
「確かにこれは初めに入ったほうが感動は強いかもな」
にしてもドワーフの炭鉱都市か。
このダンジョンにはまだまだ俺の知らないことが多いな。
まぁ先ずはドワーフとの石炭産業の話し合いが上手くいくと良いんだけどね。




