53話 通貨の価値
ーーリザードマンの村にて
新たな貿易になり得る物を探しに行く前に俺は、ダンジョン内で流通している通貨を見てみたくて、リザードマンの村にある市場を訪れていた。
待てよここは9層、誰の領地でもないから通貨は流通していないのでは!?
「おばちゃーん、そこにあるカエルの干物ちょうだい!」
「はーい、カエルの干物は1匹100ロンだよ」
「へーい、ほれ100ロン」
そんな事を考えながら歩いていると、早速買い物をしているリザードマンを発見した。
ロンとは、一体どこの通貨なのだろう?
試しに魔道王に訊いてみるか。
「なぁ魔道王よ、"ロン"とはなんだ?」
『うむ、あれはな主人よブリューナクの領地で造られている通貨だな』
「ブリューナクの領地って、ここは9層だぞ!」
『1~9層の誰の領地ともなっていない所では、ダンジョン内で1番価値の高い通貨が流通してしている事が多くてな、今はブリューナクのところの通貨が1番価値が高いのだろうな』
「通貨の価値ってなんだよそれ」
『端的にいえば、その通貨を発行している領地の強さで決まるな、このダンジョン内で一番信用できる物とは、その領地を治めている者の強さなのだ、つまりこのダンジョンで一番強い者の領地にある通貨が、この1~9層ではよく流通しているのだ』
なるほど。
地上にある人間の国では、その国のもつ国力なんかがそのままお金の信用度に関わってくるけど、このダンジョン内だとそれが領地を治める者の強さになるわけか。
「つまり、このダンジョン内で一番信用されているのはブリューナクの強さというわけか」
『うむ、現状ではそういう事なるな』
ブリューナクの領地の通貨か。
てことはつまり、1~9層で商売を本格的にすると、ブリューナクの通貨が集まりやすいという事か。
「なぁ換金とかってどうやるんだ?」
『三王の治める領地には換金所があるから、そこでやれば簡単にできるぞ』
「まぁそこは普通か」
『しかし気をつけなければいけない点もあってな、基本的にその通貨は1~9層を除いてその領内でしか使えない、故に換金は必須、そして換金する際にその通貨の主の強さの信用が落ちていない事が重要なのだ』
通貨の主、つまりブリューナクの通貨を換金する時にブリューナクの強さが落ちていてはまずいって事か。
ブリューナクの通貨を集めているときにうっかり倒さないようにしないとな。
「わかった、ていうかそもそもなんで1~9層の住民は、その価値の高い通貨を持っているんだ?」
『なぁに簡単な事さ、手に入りやすいのだよ強い通貨がな』
「なんでさ?」
『それはな、この1~9層がこのダンジョン内の食料の大半を補っているからなのだ』
「え、それってつまりこの1~9層に広い農地があるって事?」
『いかにも、そして強い者が支配する領地は戦いにより他の三王から領地を奪い取る、そうする事でそこに住んでいた者たちにブリューナクの通貨を使わせる、あとはわかるな主人よ』
「そうか!新しいブリューナクの領民となった人達がブリューナクの通貨を使って、1~9層の農地から食料を買えば、自然と1~9層でブリューナクの通貨が流通するって事か!」
『うむ、そういう事だ』
魔道王のお陰で、このダンジョンのお金の流れ方がだいぶわかってきたぞ。
つまりこの1~9層に信用度の高いお金が集まると言う事か。
ならやっぱり、ここで商売をするのが手っ取り早くお金を集める方法になりそうだけど、肝心の商売が思いつかない。
何か良いものがあればいいんだけど。
そのとき、俺の視界の端に冒険者のような格好をしたリザードマン達が見えた。
あれはなんだ?
「なぁ魔道王よ、あのリザードマン達はなんであんな格好をしているんだ?」
『ああ、あれはな主人よ石炭などの燃料を探しにいくのだよ』
「石炭?」
『ああそうだ、この水のダンジョンで石炭は3層と4層でしか採れないからな、だからああやって村の若い連中が定期的に採りに行っているのさ』
「へぇ石炭ね……待てよ!それめっちゃ良いんじゃないか!」
『ど、どうしたんじゃ主人よ急に大きな声を出して』
「魔道王、俺たちはこのダンジョンで石炭産業で財を成すぞ」




