46話 獣人だけの国
ーー14層と15層の間の階段にて
「望んでいないだと……」
「ああそうさ、俺はお前の作る国などに興味はない」
そう話すレパルスの眼は俺を強く睨んでいた。
何故そこまで頑なに俺の作ろうとする国を否定するんだろう。
「なぁレパルス、なんでそこまで俺の作る国に否定的なんだ?」
「それはなシオン、お前が人族である事と真なる平和は外敵が消えてはじめて訪れると俺が考えているからだ」
「真なる平和?」
「ああそうさ、いくら理想郷をここに築こうが上の人間達にいずれはめちゃくちゃにされちまう、だったら先に上の人間を滅ぼすのが定石だ」
「なんでそうなるんだ!滅ぼすのではなく共存の道もあって良いはずだろ!」
「黙れ!お前は考えが甘いのだ、俺は獣人だけの国を作る!そこには人族も上の人間いない本当の理想国家になるはずだ!」
な、なんだよそれ。
こいつ人間を憎み過ぎだろ。
「なぜそこまで人間を憎むんだ!」
「奴らが俺の家族を殺したからだ!スキル発動【ライオン・ブレス】」
「なっ、なんだと……ってヤバい、スキル発動【電磁砲】」
『ズドォン』
レパルスの家族が殺されていた事に動揺した俺は、電磁砲を出すのが少し遅れてしまった。
「くっ、痛え」
『大丈夫か主人よ」
「ああ大丈夫だよ魔道王」
まさかレパルスの家族が人間に殺されていたなんて……それならあそこまで憎んでいるのもわかる。
でも、だからって地上の人達に復讐するのは間違ってるはずだ!
「レパルス!」
「なんだシオンよ」
「お前が人間を憎む理由はわかった、だけど地上の人間に復讐するのは間違ってるよ!」
「ほほう、それは何故だ?」
「だってその中にお前の両親を殺した人間がいるとは限らないじゃないか!」
「……シオンよ、俺は別に自分の家族を殺めた者を特定して仕留めたいわけじゃない、俺と同じ痛みを負う者を生まないために獣人だけの国を作りたいんだ」
「そ、そうなのか……」
『おいしっかりしろ主人よ、奴はミカを騙して酷い事をした奴で、ほっとけば地上の罪のない人に危害を及ぼす奴なんだろ!倒す理由はひとまずそれだけで十分なはずだ』
「た、確かに……」
俺はレパルスの熱い言葉に乗せられそうだったが、魔道王の言葉で目を覚ます。
確かに魔道王の言う通り、いかに人間が危険だとしても、罪のない人に危害を加えるのは間違ってる。
でも、レパルスの気持ちも無下にはできない……よし、どうにかしてこの場を収めて、もう一度レパルスと話をしよう。
「レパルス!俺はお前の考えを否定しない!でもやり方については賛同できない、だから絶対にお前を止めてみせる!」
「そうかシオン、お前が俺を止めたいのはよくわかった、だが俺も止まるわけにはいかないんだ!」
『ザワザワ』
そう話すレパルスの身体はどんどん膨らみ始める。
「おいおい、三王ってのはどいつもこいつもデカすぎだろ」
『ザワザワザワ』
「これが俺の本気だシオンよ」
そうしてレパルスは3メートルほどの大きな獅子に変化した。
「結構デカいな」
「大きいだけじゃないさ」
『ギュオッ』
「なっ!」
レパルスは巨大な身体にもかかわらず、とんでもない速さで、俺めがけ突進してきた。
「スキル発動【スパークシールド】」
『バチチチ』
俺は向かってくるレパルスをスパークシールドで受け止める。
「やるなぁシオン、ただこれはどうかな」
『キュオオオ』
「ちっ、ゼロ距離かよ」
「受けてみろシオン、スキル発動【ライオン・ブレス】」
『スキル発動【サファイア・バリア】』
『ゴオオオ』
ゼロ距離ブレスを受ける直前、魔道王が咄嗟にサファイア・バリアを展開した。
「あ、危ねぇ」
『気を抜くな主人!この獣は強い、2人で行くぞ』
「おうよ」
「防がれただと、その杖もしや自律しているのか!?」
「さぁどうだろうな、スキル発動【電磁砲】」
『バチィン』
俺は空いている左手で電磁砲を放つ。
「しまった!」
『バコォン』
そうして電磁砲が直撃したレパルスはそのまま、14層の大草原へと吹っ飛んでいく。
よし、なんとかレパルスと距離を取る事に成功したぞ。
さてと、この隙にミカさんを安全なところへ移さないと。
「スキル発動【ジャンボ・バブル】」
『ポワッ』
「え?」
俺は巨大なシャボン玉を作り、その中にミカさんを入れ空に浮かばせた。
「ちょちょ、これは一体なんなの!?」
「ごめんねミカさん、ここからは危ないからそこで見ててね」
ミカさんを空中4、5メートルほどに浮かして俺はレパルスの方へと向き直る。
「準備はいいか魔道王?」
『もちろんじゃ、どうする【サファイア・ボルト】を用意しておくか?』
「ああ頼む、その間俺がスキルで凌ぐよ」
『了解じゃ』
『ギュオオ』
そうして魔道王はサファイア・ボルトをチャージし始めるのだった。




