45話 攻防戦
ーー15層、真実の湖にて
ダイアとタレミィ、それとマイティにレナティ達の相手を頼んだ俺は、レパルスを追うために14層へと向かう階段へと走っていた。
「本当にこっちであってるのか?」
『ああ、間違えない主人よ、レパルスは14層にいる』
『ビリッ』
その時、俺の両肩に乗っているスキル【マジシャンズ・サーチ】の霊魂の電気がビリッとした。
『うむ、霊魂達もレパルスが近いのを感じ取ってるな』
俺は今、スキル【マジシャンズ・サーチ】を使用して、レパルスの行方を追っている。
魔道王のスキルであるためこのスキルにも欠陥があり、案内役の霊魂を両肩に乗せないといけない制約と、時折ビリッとする制約など中々にうざい。
しかし探索能力は高いので、レパルスの行方がわからない以上これに頼るしかないのだ。
『ビリッ』
『近いぞ主人よ、14層にレパルスは確実にいるぞ!』
「ああわかった」
『ギュム』
魔道王からのその言葉を聞いて、俺は杖を握る両の手の更なる力を込める。
ーー14層と15層を繋ぐ階段にて
「離してよ!」
『ガシッ』
「ならん、お前は俺と一緒に来てもらう」
「出力10%【サファイア・ボルト】」
『バチィン』
「くっ、スキル発動【土壁】」
『ズシャ』
俺の放ったサファイアボルトは、レパルスの発動した土壁による防がれてしまう。
まさか本当に14層にレパルスがいるとは、なんで地上とダンジョンを行き来できるアイテムを使わないのだろうか。
まぁこの際、間に合ったしなんでもいいか。
「よぉレパルス、ミカさんを連れてどこへ行くつもりなんだ?」
「シオンか……私の邪魔をしにここへ来たのか?」
「いいや違うよレパルス、俺はそこのミカさんを救いに来たんだ、スキル【スパーク・バインド】」
『バチチチチ』
「ふっ、いきなり攻撃してくるとはな、スキル発動【泥人形】」
『ドポポポ』
レパルスは自身の前に泥人形を作り、【スパーク・バインド】の身代わりにした。
『バシュッ』
「くっ、防がれたか」
「距離が離れてるからな、防がせてもらったぞシオンよ」
「多彩な土属性のスキル……やっぱりあの時は実力を隠していたんだな」
「まぁな、あの時お前に怪しまれて俺の素性を調べられるのが1番困るんのでな、少々小芝居をさせてもらったよ」
「そうかよ、なら今回はお互い本気のバトルができそうだな」
「ふっ、勝てるかな?」
「勝たせてもらうよ」
『ギュオオ』
俺は右手に魔道王の神杖を持ち【サファイア・ボルト】のチャージを始める。
「おいおい、そんなわかりやすい大技なんぞ撃たせるかよ、スキル発動【ライオン・ブレス】」
『ブオオオ』
レパルスは大きな口を開けて火炎を噴き出した。
おいおい、土属性のスキルだけじゃないのかよ!
「スキル発動【スパークシールド】」
俺は左手でスキル【スパークシールド】を発動させ、炎のブレスを凌ぐ。
「やるなぁシオン」
「そっちもな」
多彩なスキルに的確な状況把握。
レパルスの奴、本当はこんなに強かったのか、正直ナディアより厄介かもだな。
「シオンよ、お前はどうして俺を止めようとするんだ?」
「そんなの決まってるだろ、地上にいる人達を守るためだ!」
「はは、ダンジョンに国を作りたいお前が地上の奴らまで気にかけてるとはな」
「いいだろ別に」
「ふふ、まぁ良いかもな……だがシオン俺はお前とは違う」
『グイッ』
そう言ってレパルスはミカさんの腕を強く引き、自身の口元へと近づけた。
「痛いって!」
「黙れ小娘、お前なんぞ俺の噛み攻撃一つで終わらせられるんだぞ!」
「やめろレパルス!出力30%【サファイア・ボルト】」
「チッ、邪魔をするなシオン!スキル発動【ライオン・ブレス】」
『ズドォン』
レパルスの【ライオン・ブレス】と俺の【サファイア・ボルト】の衝撃により辺りは爆風に包まれる。
「スキル発動【スパイダーネット】」
『シュルッ』
「え?」
俺は爆風で視界の悪くなった隙をつき、ミカさんをスパイダーネットで捕えることに成功する。
『グンッ』
「な、何この糸!」
そうして俺は蜘蛛の糸を自身の元へと引き寄せた。
「チッ、やりやがったなシオンよ」
「へへ、これでもう人質はいなくなったな」
「ふっ、元よりその小娘なんぞに期待はしてないさ、なんせその娘は捨てられた子なのだからな!」
「な、なんだと!?」
ミカさんが捨てられた子だと。
「……」
俯いて何も言わないミカさん。
どうやらこの感じ、本当の事っぽいな。
でも安心してミカさん、俺も捨てられてるから君は一人じゃない。
まぁ、そんな事言われても嬉しくないかもだけど。
「ミカさんしっかりしてください、例え親に捨てられた事が事実だとしても、俺が君を守るから」
「え、でも貴方、関係ないよね?」
「いいや関係大アリだよ、だって俺は将来ここに……このダンジョンに国を作るんだから、その国に住む民の痛みや辛さは俺の痛みでもあるんだ」
「……民の痛みって、私もその国に住んでいいの?」
「もちろんさ、来るもの拒まずが俺のモットーだからね」
そう言って俺はミカさんに微笑む。
「おいおい泣けるじゃねぇかよシオン、ならその国に俺の居場所もあるのか?」
「もちろんあるさ、ダンジョンに住む皆んなの国なのだからね」
「はは、おもしれぇ、でもなシオン俺はそんな国を望んでないんだよ」




