41話 ミカの行方
ーー真実の湖、水中にて
『ゴポポポ』
「凄いな、水中で息できてんのか」
ダイアは自身を覆う青いバリアを見てそう呟く。
「ああそうだよ、この杖のスキルなんだ」
そう言ってシオンは魔道王の神杖をチラつかせる。
「おいおいシオン、いつの間にそんなレアアイテム手に入れたんだよ」
「ナディアの宝物庫で見つけたんだ、ちょっと癖があるけど強い武器だよ」
『癖があるだと?』
シオンの言葉に反応した魔道王は突然そう話し出す。
「おいシオン!この杖話せるのか?」
「ああ、そうなんだこの杖話すんだよね」
「す、凄いな……」
ダイアはそう言って神杖に不思議そうに見つめた。
「それよりもリザ吉の状況が知りたいな、スキル発動【遠隔念波通信】」
シオンは【遠隔念波通信】を使いリザ吉の頭の中へ話しかけた。
『ビビ!』
『いるかリザ吉!』
『し、シオン様……』
通信に応じたリザ吉の意識はだいぶ弱くなっていた。
『どうしたリザ吉、何があったんだ?』
『申し訳ございません、レナティという蛇女にミカ様を……』
『ミカさんがどうしたんだ?』
『攫われてしまいました……』
『何だって!?』
リザ吉は悲しそうにそう告げる。
『シオン様、それともう一つお伝えしたい事があります』
『なんだリザ吉?』
『敵はナディアではありません、レパルスです!アイツが全て裏で糸を引いていました』
『……そうか』
『あとミカさんは誘拐された王族の女でした』
「お、王族だと!?」
シオンはリザ吉からの報告に驚き、思わず念波ではなく声が出てしまう。
『はい、あとおそらくレナティはレパルスの元へと向かいました』
『わかった、一先ず俺もそっちへ行くから合流しよう』
『プツン』
遠隔念波通信を終えるとシオンは、速度を上げてナディアの城の別館へと向かった。
『ギュオ』
「お、おいシオン急に速度を上げてどうしたってんだよ!」
「すまんダイア、それにタレミィも!でもごめん急いでリザ吉の元へ向かわないといけない理由ができたんだ」
「り、理由とはなんですかシオンさん?」
「ミカさんが攫われた、しかも犯人はナディアではなくレパルスらしい」
「な、何を言ってんだシオン!そんなわけ無いだろ」
シオンがそう話すとダイアは動揺しながらそう言った。
「俺だってそう思いたいさ、でも色々とレパルスには怪しい点も多いんだ」
「そうなのか……」
「詳しい話は城の中でしようダイア」
「ああわかった」
そうしてシオンはナディアの城の本館へと向かうのだった。
ーーナディアの城、別館にて
「ほら、さっさと歩きな!」
『パシィ』
レナティはそう言ってミカの背中を尻尾で小突いた。
「痛い、痛いですレナティさん、どうしてこんな事するんですか?」
「どうしてか?それは私がお前ら人族が嫌いだからだよ!」
『バシィ』
「痛い!嘘ですよねレナティさん、私をあのトカゲから解放してくれるって言ってくれましたよね」
「ふふ、ああそうさ解放してやるよ、ただしお前はこれからレパルス様の奴隷として、一生働いてもらいけどなぁ」
『グイッ』
そう話すとレナティはミカに自身の尻尾を巻き付け持ち上げた。
「うわぁ、ていうか奴隷ってどういう事?地上に帰してくれるって約束したじゃない!」
「安心しろ地上にはこれから行くから、ただしそこに自由はない、あるのはレパルス様の支配だけさ!」
そう言ってレナティはミカを連れ、別館の奥へと歩き出す。
レパルスの計画とは、ミカを使い地上にいるスメイル国王に脅しをかけ動揺している隙に、王国を乗っ取ってしまう事。
つまりミカは、レパルス達に利用されていたのである。
「支配って……そんなの聞いてない、私は自由にしてくれるって言ってくれたから協力したのに」
「はは、残念だったなミカよ、トカゲ共の村から自由にはなれても本当の意味での自由はまだ先、つうか訪れないかもなぁ!」
レナティは楽しそうに笑いながらそう言い放つ。
「くっ、覚えてなさいよレナティ、私は絶対に自由を掴み取ってやるんだから」
「やってみな小娘!」
『パシィ』
そうしてレナティは、生意気なミカの頬を尻尾で殴りつけ、別館の裏口階段へと向かうのだった。




