40話 疑惑のレパルス
ーー水のダンジョン、25層真実の湖にて
「おいマイティ、テメェ早く話さねぇと痛い目みるぜ」
『シャッ』
マイティを取り押さえているレパルスの部下の獣人の一人はそう言って、腰にある剣を引き抜いた。
「よ、よしてくれ俺はただスクワットをやりたいだけなんだよ」
現在、シオンの洗脳によりスクワットを続けたい欲に駆られているマイティは、剣を向けるライオンの衛兵にそう話す。
「何言ってんだお前」
『ジャキ』
そう言ってレパルスの部下はマイティの喉元に剣を突き立てた。
「や、やめてくれえええ」
「まだ何も言ってねぇが、このまま死ぬかマイティ?」
取り押さえられたマイティにレパルスの部下はそう訊ねる。
「や、やめてくれてええ」
「答えになってないだろ……お前」
『ズザァァ』
「大丈夫かマイティ!」
その時、湖の方から神杖に乗ったシオンが現れる。
「なんだぁ?」
レパルスの部下がそう言ってシオンの方に視線を向ける。
「おいお前ら、そいつを傷つけるな!」
「……シオンか?」
滑ってくるシオンを見てレパルスはそう呟く。
「シオン!」
「シオンさん!」
「ダイア!それにタレミィ!」
シオンはレパルスの横にいるダイアとタレミィを見つけそう叫んだ。
『主人よあの2体の獣人は知り合いか?』
「ああ、俺の仲間だよ」
『仲間!?お前、仲間がいたのか!』
「いるよ!そのくらい」
『ズザァッ』
そうしてシオンはレパルスのいる岸に到着した。
「シオンよ約束通り助けに来たぞ」
「レパルス……ありがとな」
「うむ、しかしどういう事なのだ、マイティを傷つけるなとは」
レパルスはそうシオンに訊ねる。
「えっと、あいつには今洗脳をかけてて、それが解けるまでスクワットをし続けるんだよね」
「ほう、なかなかに酷いことをしたのだなシオンよ」
「うっ、ちょっと色々余裕がなくてさ」
「ふむ、してシオンよそのミカという少女は助け出せたのか?」
「そっちはリザ吉に任せてる」
「ほう」
シオンからそう聞いたレパルスは静かに微笑んだ。
レパルスは、ナディアがリザードマンやミカを捕らえていることをレナティ経由で知っている。
そしてその牢屋の番をレナティがしている事も。
故に今、レナティに勝てるシオンが地上にいる事にレパルスは安堵していた。
「な、なぁレパルス」
「なんだ?」
シオンは城でナディアから聞いた事を確かめるべく、恐る恐る口を開く。
「レパルスは誘拐犯なのか?」
「何のことだ?」
「いや、ナディアの奴がそう言うからさ」
「なるほどなシオンよ、だが安心して欲しい俺は断じて誘拐などはしない、それこそ誘拐はナディアの専門、つまりナディアは嘘をついてるのだ」
シオンのその言葉にレパルスは眉ひとつ動かすことなくそう答える。
「……そうか、そうだよなレパルスがそんな酷いことするわけ無いもんな」
「当たり前だ、俺に誘拐はできんさ」
「ごめんなレパルス、勝手に疑って」
「良い、気にするなシオンよ」
『ポンポン』
レパルスは笑顔でそう答え、シオンの頭を優しく撫でた。
「はは、ありがとうレパルス、じゃあ俺はもう一回ナディアの城へ行ってくるよ」
「おう行ってこい……って、ナディアの城にもう一回行くのか!?」
シオンの言葉を聞いたレパルスは驚いた様子でそう聞き返す。
「う、うん、ナディアに本当の事を伝えに行くんだ、レパルスはやってないと言ってるぞって」
「そ、そうか、気をつけていけよシオン」
「ありがとレパルス!スキル発動【サファイア・バリア】」
『ブオッ』
また水の中に潜るため、シオンは魔道王のスキルを使い自身をバリアで覆った。
「あ、そうだ今回はダイア達も連れて行かないとな、スキル発動【複製】」
『キュキュッ』
「な、なんだこれ!」
「何ですかこれー!」
そう言ってシオンはダイアとタレミィにもバリアを施した。
「じゃあ行くぞ2人とも!」
『ザパァン』
そう言ってシオンはもう一度、真実の湖の中に潜って行ってしまう。
「ダイアさん、これって私達も……」
「おう、行かなきゃって感じだな」
『ザパァン』
そうしてタレミィとダイアもシオンに続いて、湖の中へと入って行ってしまう。
「……おい、衛兵よ」
「はいレパルス様!」
シオン達がいなくなるとすぐにレパルスは近くにいた部下を呼びつけた。
「レナティに連絡だ、ミカを連れて早く脱出しろとな」
「かしこまりました!」




