37話 俺の名はシオン
ーーナディアの城、本館にて
『キュポン』
「着いた!」
俺はナディアと共に城の本館へと戻ってきていた。
『さて侵入者よ、ここへ戻ったらきたがこれからどうするつもりなんだ?』
「俺はレパルスに会いに地上へ戻るよ」
『そうか、別に侵入者であるお前の味方をするわけじゃないが、レパルスには気をつけろよ』
「うん、話してみて真意を探ってみるよ」
あれからナディアと色々話して、やっぱりレパルスは何か怪しいと俺は思った。
強さを隠している事や味方になった事など、ナディアにそれらを聞いてみたが、全部レパルスらしくないとの事だった。
本来のレパルスなら、まず人族の味方にはならないし、強さも隠したりしないらしい。
ナディアと話してみてなぜそんな奴が強さを隠して俺の味方をしているのか、ますます分からなくなった。
正直、レパルスに会うのが少し怖い。
でも、呼んだのは俺だし会わないとだよな。
『……主人よ、緊張しておるな』
「まぁな、味方だと思ってた奴が本当は敵かもしれないからね」
『そういう時は主人よ、気持ち強めで行くといいぞ』
「気持ち強め?」
『そうじゃ、舐められたら終わりだからな』
「なんだよ、やけに詳しいなもしかして過去に仲間に裏切られた経験とかあったりするのか?」
『まぁな、経験はあるさ』
「ま、マジかよ」
可哀想だな魔道王。
『私の時は王国の民全てに裏切られているから、今回の主人の方がまだマシかもな』
「何だよその慰め、全然嬉しくないな」
王国の民全員から裏切られるって、一体何したんだよ魔道王の奴。
『おい侵入者、その杖欲しいか?』
魔道王と話していると後ろからナディアにそう声を掛けられた。
そうだったこの杖は元々ナディアの物だったな。
どうしよう渡さないとか言われたら……。
「あ、ああ欲しい、でも今はあんまし手持ちが無くて……」
『金などいらん、その杖の扱いには困っていたところだしくれてやるよ』
「本当か!」
『ああ、特に見返りとかいらんから遠慮なく持っていけ』
「お、おう」
なんか話し始めて分かった事だが、ナディアって良いやつなのか。
ミカさんの事も誘拐してないってわかったし。
てかそもそも、ミカさんを誘拐したのはレパルスだったわけだが……。
「なんか色々ごめんなナディア」
『いいんだ侵入者よ、何か勘違いがあったようだしそういう事もあるさ』
「ありがとう、また来てもいいかな?」
『別に構わん、今度はちゃんと入り口から入ってくれよ』
「え、入り口があるの?」
『もちろんだ、それが無いとミカがここまで来れないだろう』
「た、確かに……」
そう言ってナディアは、宝物庫にある大きなレバーを尻尾で引いた。
『ガコンッ』
大きな音ともに宝物庫の奥から長い階段が現れる。
『さぁ侵入者よ、この階段で上に戻るが良い』
「ありがとう」
そう言って俺は階段を登り始める。
「ナディア!俺の名前なんだけどさ!」
俺は階段を少し上がったところで振り向き、そう叫ぶ。
『おう何だ』
「シオンって言うんだ、覚えておいてくれ」
『ああ分かった、それではなシオンよ』
「おう、またなナディア!」
そうして俺はダッシュで階段を駆け上がっていく。
ーー水のダンジョン15層、真実の湖の陸地にて
『スタッ』
「よし地上に着いたぞ」
『そこそこ長かったな主人よ』
「ああそうだな」
地上に出てきたけど、まだレパルス達はこちらへ来てないようだ……ん、あれはなんだ?
「やめてくれぇぇぇぇ、俺はただスクワットをやりたいだけなんだぁ!」
「黙れマイティ!さっきからスクワットがどうとかふざけたとこを言いやがって、ナディアを早く呼んで来い!」
声のする方へと目を向けると、対岸に複数のライオンの獣人に取り押さえられている魚人のマイティの姿があった。
あー、あっちにいる感じか。
まずいな、マイティにスクワットを強制させたの俺だし行かなくちゃ。




