30話 ナディアの行方
ーーナディアの城、別館にて
『パシャッ』
「よしついたぞ、ここがナディアの別館か」
シオンと別れ1人、村長や小太郎がいると思われるナディアの別館へと来たリザ吉。
「さてと、村長と小太郎さんを探すか」
リザ吉は小さくそう呟くと長い廊下を歩き出した。
リザードマンには、エコロケーションと呼ばれる種族スキルがある。
種族スキルとは、その種族の者のみが使える特異なスキルの事である。
「まずはこの建物の構造を把握しないとな、種族スキル【エコロケーション】発動」
『ピィィィィ』
リザ吉は種族スキル【エコロケーション】を使い周囲の状況を探り始めた。
種族スキル【エコロケーション】、これは反響しやすい音を口から出して、周囲の建物の構造や遠くの獲物の位置を把握するスキルである。
「見つけた、ここから真っ直ぐ200メートルくらい歩いたところに牢屋がある、きっとそこに皆んないるはずだ」
村長達を見つけたリザ吉はそうして別館を歩き出す。
ーー別館近くの水中にて
『ギュオ』
『さっきの侵入者にはやられたが、こっちにはまだ地上から連れてきた人質がいる、おそらくあの侵入者はあの地上の奴らの仲間に違いない、人質を盾にして有利に進めてやる』
シオンにより撃退されたナディアは急ぎ別館へと向かっていた。
『しかしあの侵入者、まさかあの杖を使いこなすとは……侮れん奴よ』
ナディアの皮膚は本来、いかなるスキルも弾き傷つけられた事は今までに1度ほどしかない。
ちなみにその1回とは、【三王】の一角である破壊王・ブリューナクによるものである。
『お、別館が見えてきたな、待ってろ侵入者よこちらにもまだ切れるカードはあるのだからな』
『ギュオ』
そう言ってナディアは別館へと向かうのだった。
ーーシオンサイド
「お、おい本当に行けるんだろうな」
『当たり前だろ主人よ』
シオンは今、本館の水中と建物を隔てる膜のようなところにいた。
「し、信じるからな……」
『おうよ、では参るぞ主人様』
「おう、スキル発動【サファイア・バリア】」
『キューン』
そう言うとシオンの周りに碧いバリアのようなものができた。
『うむ、これで水中でも進むことができるぞ』
「……こ、怖え」
今までのスキルの色々な欠陥を見てきたシオンに緊張が走る。
『怖いだと?仕方ないだろ、霊魂達が水中の方向を指しておるのだから行かねばだろう』
魔道王の神杖の言う通り、スキル【マジシャンズ・サーチ】で、生み出した霊魂達が水中を指してる以上、ナディアはもうこの本館にはいない。
故に、その後を追うべくシオンも水中へ行かねばならないのだ。
「わかった、覚悟を決めるよ」
『うむ』
そうしてシオンは、隔てる膜の中へと片足を突っ込んだ。
「うし、行くぞ!」
『キュポンッ』




