28話 魔道王の神杖
魔道杖とは、その杖自体に固有スキルという強力なスキルが付与されているアイテムである。
魔道杖に付与されている固有のスキルとはとても強力で、ある国ではその杖があれば王になれると言われている代物もあるほどだ。
「……ど、どうしよう」
『フハハハ侵入者よ立場が逆転したな、さてどうする?大人しく捕まれば生かしておくぞ』
「嫌だね、お前を俺の配下にしたいんだ降伏なんてするか!」
『魔道杖も使えないくせに何を言ってるんだか』
『ガパッ』
そう言ってナディアは水神弾を放つために大きく口を開いた。
どうする、ここは先ほどと同様に水神弾を防ぐのが正解か。
いやナディアは油断してる。
ここで俺がこの魔道杖の固有スキルを上手く扱えればアイツに大ダメージを与える事も可能。
……賭けに出てみるか。
『シュバッ』
そう考えた俺は魔道杖をナディアへと向ける。
さっき飛ばした【サファイア・ボルト】の軌道は、ナディアの左側に大きく逸れていた。
次もその軌道通りなら……。
『ススッ』
俺は魔道杖の先端を気持ち右側方向に構える。
これなら当たるはず。
『ふふ、何やら企んでいるようだがそんな杖のスキルなんぞ当たらなければ無いのと同じ、食らえ水神弾!』
『バシュッ』
きた!
このタイミングなら、水神弾ごとナディアの身体を貫ける。
「固有スキル発動【サファイア・ボルト】」
『バチィン』
『ククッ』
俺の放ったサファイア・ボルトは、思った通り放つと同時に軌道が左側に逸れていく。
『なっ、まずいこっちへ来るなぁ!』
『ズドォン』
そうしてサファイア・ボルトは、水神弾を掻き消しナディアに命中した。
「よし、予想通りだな」
『シュウウウ』
『ドサッ』
サファイア・ボルトを受け黒焦げとなったナディアはそのまま地面に倒れ込んでしまう。
「なんとか勝てたな」
『やるなぁお主』
その時、右手に持っている魔道杖からおっさんの声がした。
「え、誰?」
『我が名は魔道王』
「は、はぁ」
『この杖は我が神杖にして、我そのものである』
「う、うん」
どうしよう杖からおっさんの声が聞こえて、急に魔道王とか杖そのものとか不可解な事を言い始めた。
疲れてるのかな俺。
『我の癖を把握して即座に適応するその柔軟性!評価に値する、よってお主を我が主人おして認め事にした』
「ど、どうも」
『なんだ主人よその気のない返事は』
「いやだってさ、お前の声って俺の幻聴だろ?」
『……』
俺がそう言うと魔道杖は静かになってしまった。
「ほらなやっぱり幻聴だ」
『現実だ……現実に決まっておろうがぁ!』
『バチィン』
魔道杖はそう言って、宝物庫の天井めがけてサファイア・ボルトを放った。
「あ、危ねぇ、てか現実なのかこれ?」




