14話 獅子王との交渉
ーー水のダンジョン、10層にて
「どうもはじめまして、私の名はシオンと言います」
俺は軍勢を率いてきたレパルスにそう挨拶をした。
「シオン……お前が俺のリザードマン達をとっ捕まえている犯人なのか?」
レパルス怪訝そうな顔をしてそう訊ねてきた。
こいつが獅子王・レパルスか……大きいな。
2メートルくらいありそうな体躯に、俺なんて一口で食べてしまいそうなほど大きな口。
普通に怖いな。
「はい、私がその犯人です」
「ほう謀る事なく素直にそう答えるとは、中々やるな」
「いや、まぁ……」
謀るも何も俺はあんたを倒すつもりでここへ来てるわけだし、そんな意味のない事はしないだけなんだよなぁ。
でも戦わずして済むならそれに越した事はないわけだし、ここはまず話し合いから始めてみるか。
「してシオンよ、お前は俺の敵なのか?」
レパルスは単刀直入にそう訊いてきた。
"敵なのか?"か……味方になって欲しいとは思ってるけど、現状はこの人の敵かもだよな。
さぁてどう答えるか。
「私はリザードマンの解放者にして、その力を欲するものです」
「解放者?つまりお前は、リザードマン達を捕らえていたのは、故郷に帰すためなのか?」
「そうなります、もっと言えば私はリザードマンの力が欲しいと考えています」
「ほほう、ずいぶんと正直な奴だな、だがなシオンよここのリザードマン達は俺のものなのだ、すまんが諦めてくれんか?」
レパルスはニヤリと笑った後、すぐに真剣な目つきを取り戻し、俺にそう言ってきた。
「いや諦めません、なんなら貴方の力も欲しいです」
「ちょっ、お前何を言ってるんだ!」
俺がそう話すと、横にいたダイアがすぐさま反応した。
「なんだよダイア、俺は本当のことを言いたいんだ」
「嘘も使いどころだろ馬鹿野郎、どうすんだよ相手はあの獅子王だぞ、機嫌を悪くすれば即刻戦争にだってなりかねないんだぞ」
「おいシオン、さっきの言葉は本心か?」
レパルスは険しい顔をしてシオンにそう訊ねる。
「ほらみろ馬鹿野郎、獅子王めっちゃ怒ってるじゃねぇかよ」
「ああ本心だ」
「そうか……」
『ジャキンッ』
獅子王は短くそう言うと、両手の爪を立てた。
「や、やべぇよシオン、獅子王やる気じゃねぇかよ」
「慌てるなダイア、まだ交渉中だ」
慌てふためくダイアを横目にシオンはただ真っ直ぐに獅子王を見つめていた。
「覚悟はできているだろうなシオンよ」
「ああできてるよ」
「よかろう、ではその覚悟試させてもらうぞ!」
『グォ』
レパルスはそう言うと、爪を立てた右手でシオンの顔めがけ勢いよく腕を振り抜いた。
『バシュッ』
「シオン!」
その時、ダイアの叫び声が峠に響くのだった。




