10話 タレミィの夢
ーーその日の夜、タレミィの家にて
「むにゃむにゃ、もう食えん」
「はは、ダイアのやつ寝言言ってるよ」
あの後、俺達は一先ずタレミィの家に行った。
そしてそのままタレミィの家で夜を明かして、明日の朝一番に出発する。
にしてもこの6層は面白い、昼は太陽のように照らしていた白色の石は夜になると光が消えて、6層全体が夜みたいになるとは。
ダンジョンにはまだま俺の知らない事が多い、他にもまだまだあるんだろうな。
「……しかしこの部屋、広過ぎるな」
俺はタレミィの家を見渡してそう呟く。
この家タレミィが1人で住むにしては少し広いよな、2LDKくらいある気がする。
元から一人暮らしってわけでは無いのかな。
『コトッ』
「シオンさんどうぞ」
居間でダイアの寝顔を見ながらくつろいでいると、タレミィがお茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
「今日はありがとうございます、家まで泊めてもらっちゃって」
「全然いいんです、シオンさん達はこの村の恩人ですし、それにこれから共に旅をする仲間でもありますから」
タレミィはそう言うとニコッと笑った。
「そう言ってもらえるとありがたいです」
「それはそうと、小太郎さんは外で平気なのですか?」
「ああ、あいつは外でも大丈夫です、そもそも家に入りませんしね」
小太郎はその巨体故に、大抵の家に入る事ができない。
さっきも大丈夫と言っていたけど、やっぱり皆んなと寝たいよな。
獣人化を使えば今よりは小さくなるかもだけど、小太郎にはなんか使いたくないんだなぁ。
「確かに入れませんね……シオンさん、私を旅の仲間に加えて頂きありがとうございました」
「いいんですよそれくらい、別に選抜とかして無いので」
俺は笑ってそう答える。
「それよりもタレミィさん、さっき言っていた夢とはなんですか?」
「あ、気になっちゃいました?まぁ理由もなく夢だと言われたら気になりますよね」
「まぁ、そうですね」
「私の父と母が元々探検家でして、その2人の夢だったんです」
タレミィはゆっくりとそう話し始めた。
「なるほど、なら2人は今最下層にいるのですか?」
「いえ最下層にはいません、お墓にいます」
「……そうなんですね」
タレミィは俺の問いに明るくそう答えてくれた。
まずいなもう死んでいたのか、気を悪くしてないといいんだが。
「あ!気にしないでください、もう5年も前の事なので全然平気です」
「そ、そうですか」
「はい!2人は最下層に向かう途中に20層付近で死んだと聞きました」
「20層……もしかしてそれって、【三王】の……」
「そうです20層にいる破壊王・ブリューナクに殺されたのかもしれません」
マジか……それがもし当たっているのなら、この先の旅はタレミィにとって親の仇がいるって事になるよな。
いいのか本当にそれで、このままタレミィが来れば彼女のトラウマを呼び起こす事になるんじゃないのだろうか。
「……タレミィさん、本当に俺たちと来るのですか?この先貴方にとって親の仇かもしれない奴と遭遇するのですよ」
「望むところです!」
「え?」
そう話すタレミィの瞳の奥には覚悟の炎が灯っていた。
「今はまだ迷宮ウルフにすら勝てない私ですが、必ず成長して【三王】にだって比肩する力を手に入れます、なのでシオンさん私を連れてってください」
『ギュッ』
そう言ってタレミィは俺の手を強く握る。
こんなに熱いこと言われて来るなとは言えないな……まったくタレミィの奴、意外と良い根性してるじゃん。
そういうの嫌いじゃないんだよなぁ。
「もちろんです一緒に行きましょう、ブリューナクの奴にウサギの獣人の底力を教えてやりましょう」
『ギュッ』
俺はそう話すとタレミィの手を強く握り返す。
「はい!よろしくお願いします」




