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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園侵略しちゃいます~  作者: 428の968
第一章:関東圏統一戦争

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2話:捕食者たちのお茶会

配属式典が終わった。

「——はぁ」

遠征軍第一軍団長・不知火(しらぬい)舞花(まいか)が、盛大にため息をついた。椅子に深く沈み込んで、天井を仰ぐ。

「つかれたぁ」

「お疲れ様でした」

教育局長・日向(ひなた)(はる)が、にこにこしながら紅茶を注いだ。湯気が、ふわりと立ち上る。

生徒会の応接室は、さっきまでの会議室とは打って変わって、柔らかい空気が漂っていた。ソファに役員たちが思い思いに座って、テーブルの上には紅茶とケーキが並んでいる。

「今年も無事に終わりましたね」

第一副会長・西園寺(さいおんじ)椿(つばき)が、カップを手に取りながら言った。

「突撃隊の子たちも大喜びで。良かったです」

「あの子たち、毎年テンション高いよね」

舞花が笑う。

「新しい妹が増えるのが嬉しいんでしょう」

温が目を細めた。

「楽しみにしてたみたいで。昨日から落ち着かなかったって」

会長・神楽坂(かぐらざか)玲緒奈(れおな)は、ソファの端に脚を組んで座っていた。片手に紅茶、もう片手にケーキの皿。機嫌が良さそうだった。

「今年の新入生は、どんな子たちだった?」

「素質がある子が多かったですよ」

温が嬉しそうに答える。

「特に一人、目を引く子がいて。きっと良い子になると思います」

「楽しみね」

玲緒奈はケーキをひとつ口に入れた。

部屋の端では、戦略情報局(SID)長・如月(きさらぎ)(れい)が相変わらず端末を見ていた。お茶会の空気に一切馴染む気がないらしい。

「零、少しくらい休んだら?」

舞花が言うと、零は視線を上げることなく答えた。

「南の連合、武蔵野の動向が気になるので」

「仕事熱心だねえ」

「仕事ですから」

「ねえ」

舞花が身を乗り出した。ホログラムマップを指差す。

「武蔵野って、武蔵野庭園学園?めちゃくちゃきれいなカフェテリアがあるとこじゃん!せっかくだしここ行こうよ!」

「ちょうどいいですね」

椿が静かに頷いた。

「制圧したら使えますよね」

「使えるねぇ」

玲緒奈が紅茶を一口飲んだ。

労働局長・五十嵐(いがらし)結衣(ゆい)がケーキの皿を引き寄せながら言った。

「武蔵野といえば、そろそろ三ヶ月ですね。同盟結成から」

「あら」

宣伝局長・夢咲(ゆめさき)ららが目を輝かせた。

「それって、強制破棄ができる時期じゃないですか」

「あと二十日ほど」

結衣が答える。

「その直前に仕掛ければ——」

零が端末を操作する。

「武蔵野庭園学園の生徒会長は清川(きよかわ)撫子(なでしこ)。理想主義者です。我々の支配を非人道的と批判し、弱小な小学園を束ねている。同盟結成から二ヶ月と十日」

「素敵なタイミングですね」

内務局長・白鳥(しらとり)詩織(しおり)が、クスクスと笑った。

「同盟の強制破棄がシステム上可能になる三ヶ月目まで、あと二十日。その直前に宣戦布告を行い、即日盟主である武蔵野を潰せば——彼女たちは恐怖からすぐに結束力を失うでしょう。裏切りを誘発させるには最高のスパイスになります」

「コストが出ました」

結衣が電卓を叩く。

「敵の総生徒数は留学生も含めておよそ二万名。制圧時の推定損耗率を考慮しても、捕虜として約八千名の確保が見込めます。今年度の蘇生コスト枯渇分を補填して、あまりある黒字です。経済的観点から侵攻を推薦します」

「八千人かぁ」

ららが頬に手を当てた。

「収容が大変ですけど——でも『圧政に苦しむ小学園の生徒たちを悪の同盟から解放する聖戦』って宣伝すれば、うちの生徒たちの士気も上がりますね。アイドルライブも同時開催しちゃいましょうか!」

「——待ってください」

静かな声が、部屋に響いた。

司法局長・九条院(くじょういん)紗夜(さや)が、カップをソーサーに置いた。不快そうに眉をひそめている。

「武蔵野庭園学園は、中立を保とうとしている学園です。向こうからの挑発行為もないのに、一方的に宣戦布告を行うのは——学園陶冶競争法の理念から逸脱していませんか」

場がしらけた。

舞花が「あーあ」と露骨にため息をつく。零は無関心に紅茶を啜った。

防軍司令・桐生(きりゅう)(はがね)は何も言わなかった。ただ腕を組んで、目を閉じていた。

玲緒奈が、ゆっくりと紗夜の方を向いた。

「紗夜は真面目ね」

立ち上がって、ホログラムマップに近づく。武蔵野の光点を、指先でそっと触れた。

「優秀な教育とは、強さよ。弱者が徒党を組んで身を守ろうとするのは、教育の停滞——いいえ、腐敗だわ」

くるりと振り返る。蕩けるような笑みで、全員を見渡した。

「掃除してあげるのが慈悲というものじゃない?」

紗夜は唇を噛む。彼女がそういう考えなのならば、それ以上は何も言えない。

「決まりね」

玲緒奈が宣言する。

「ターゲットは武蔵野庭園学園およびその同盟傘下三十校。作戦名は——」

少し考えるような間があった。

「"サクラチル"で行きましょう」

「開戦は三週間後。舞花、ほむら、準備はいい?」

「もっちろん!」

舞花が飛び上がるように立ち上がった。

「最高に派手にやろう!ね、ほむら!」

第二副会長兼遠征軍第二軍団長・一ノ瀬(いちのせ)ほむらが静かに答えた。

「鋼に留守を頼んでおかないとな」

「零は突撃隊を先行させて。逃げ場を塞いで、内部から崩してちょうだい」

「了解です」

「結衣は魂抽出装置のメンテナンスを。今回は大量よ」

「了解しました。フル稼働させます」

結衣が眼鏡を押し上げながら言った。

「楽しみですね」

こうして、武蔵野庭園学園の生徒、1万8千人の少女たちの運命が、紅茶の香り漂う一室で決定された。

玲緒奈が飲み干した紅茶は、まるで流れる血のように赤い。

三週間後、武蔵野の空に、転移門(ワープゲート)が開く。

読みに来てくれてありがとう!!

次回、3話:嵐の前の静けさ です!5月20日 12時更新予定です!

しばらくは毎日投稿予定ですっ!

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

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