第21話 エーレントよ 地獄であわせる 顔が ない
修正ver.
「ク…クフフフ…」
全てが白日の下に晒されると、
私は笑いが止まらなくなった。
「ハッハッハッハッハッ!!!」
私は、女たちを覗き込んだ。
「…お前たち…
…他にも、何人も殺しているだろう…?」
女たちは固まっている。
「ハッハッハッハッ!!!
人殺しには分かるんだよ!!!
人殺しの顔が!!!」
白銀の光が私を取り巻く。
「ハッ!
耐えられんな!
こんなゴミが、大王の親族として、
大神殿で大きな面を晒していたとは…」
私は、女たちを傲然と見下ろした。
「この大王たる私が!
歴代の偉大な大王たちが!!
尊い犠牲の上に!!
創り上げた!!
栄えあるツヴェルフェト国の中心たる、
この大神殿に!!!!!」
轟々と渦巻く白銀の竜巻の中で、
私は、ゆっくりと手袋をはめる。
次の瞬間、
女どもの首根っこを掴み上げた。
「実際、リヒトは死にかけた。
今も歩けず、あのザマだ。」
私は、従者の膝に座り込んでいるリヒトにチラと目をやった。
女たちは呻き声を上げている。
「苦しいか?ハッ!ざまを見ろ!!
…聞けよ。
200年前は、血で血を洗い、
血には血で応える時代だった。
誰かが疑心に囚われると、血が流れる。
恨み、妬み、憎しみ…
誰かがこの感情を持つと、血が流れる。
その繰り返しだ。
犠牲を肥大化しながら、繰り返す。」
ここで私は、女二人をドサリと落とし、
穢れた手袋を脱ぐと、放り捨てた。
「これを止めるにはどうする?
…殲滅だ。
一度、全てを破壊し、大量の血を流し、無にする。
そして、再構築する。
火山の大爆発で壊滅した街に、
整備された都市が構築されるように…」
私は剣を抜くと、
ヘスティアとやらは足で踏みつけ、
ババアの方には剣を突き付けた。
「リヒトという猫族に会って、
そのリヒトに向き合うシリウスを見て、
我が国の文化や教育は、
ここまで進化したのかと、
なかなかいい気分になったんだがな…
まさか鼠族のソイリ家が、
200年前でも使用禁止になっていた劇薬ヴェノムを使って、
大王の結婚相手を殺そうとするとはな…
ハッ!!!」
私は剣を大きく振り上げると、猛然と壁に突き刺した。
「ハッ!ハッ!!ハッ!!!
お笑い種だな!
地獄でエーレントにあわせる顔がない!!」
(テレシウス…もういい…)
私は、女たちの周りの壁を、何度も突き刺す。
「200年経って、こんな後悔をすることになるとはナァ!!!
私が殲滅した猫族が、気高く、優しく、実直に生き!!!
私が守った鼠族が、暴力と、権力の、悪魔に成り下がったとは!!!
ナァ!?!?
エーレント!!!」
(テレシウス…テレシウス…もういい…)
「止めてよ!!!
馬鹿―――――――――――ッッッ!!!!!!」
急に、リヒトの絶叫が聞こえた。
振り向くと、私に向かって走ろうとして、
大きく転倒するリヒトが見えた。
「馬鹿とは何だ!!!」
私は、リヒトを抱き起した。
「そんな脅迫したら、シリウスに悪い噂が立つ!!!」
「ハッ、どうせ大王付きが人払いしておろう…」
私の言葉が終わる前に、
ふいにリヒトが、私の両頬を、か細い両手で挟んだ。
でも、彼女は何も言わなかった。
夕日色の瞳は、何度も瞬きをして、ひどく苦しそうに見える。
「…貴様は、シリウスのために、止めろと言うのか?」
「過去の出来事は変えられない…
どんなに後悔しても。
だから、未来のシリウスを守るのよ。
貴方が、後悔しているなら、なおさら…!!!」
魂の奥底から語り掛ける言葉と強い視線。
そのくせ、私の両頬を包む細い手は、優しい。
しかし、すぐに体力が尽きて、手が滑り落ち、
上体が大きく崩れる。
私は彼女を抱きとめ…
…自分でも驚いたことに、
モジャモジャの黒い髪がまとわりつく額に、
そっと口づけをした。
(やめろ、テレシウス!!!
勝手に口づけするな!!!
彼女は僕の…)
「ハッハッハッ!!!答えも聞いておらんくせに!!!」
(放っておいてくれ!…僕には…)
「僕の考えがある!!!」
青い光が全て収束し、
僕は、「僕」として気が付いた。
十二支と神鼠は猫に「こい」
第Ⅰ章(人生の 最後のページで 見えるもの):https://ncode.syosetu.com/n5418ls/
第Ⅱ章(猫に恋する神鼠 妹に恋する禁忌の竜):https://ncode.syosetu.com/n3802lt/
第Ⅲ章(神山ゴテスベルクと猫天神):https://ncode.syosetu.com/n9385lu/
第Ⅳ章(神鼠の中に 住まう者):https://ncode.syosetu.com/n2574lx/
カクヨムでも連載:https://kakuyomu.jp/works/2912051595951960067




