アクア王国王女
「それで?あなたたちのやることって?」
メイドが持ってきた、ティーカップに紅茶を注ぎながらマリサが尋ねた。
「私たちは......」
それからスミレは、下界へ降りてきた目的をわかりやすく話す。
「そう......仲間を集めに来たのね......」
マリサは難しい顔をしながら、紅茶を一口飲む。
それと同時に、スミレも紅茶を飲んでみる。
「美味しい......」
スミレは、口に手を当てながらつぶやく。
「あっちには紅茶とかないものね」
優しく微笑みながらそう言うと、次の瞬間には真剣な顔をする。
「それでだけど、仲間集めはそう簡単じゃないわよ。
......特に妖精族はね」
「聞いています。彼らは、世界樹へと続く道を守っているのだとか。
なので、他種族とは一切のかかわりを持とうとしないと」
その言葉に一瞬、部屋が静まり返る。
「それともう一種族、問題があるのよ」
マリサはとても言いにくそうにしていた。
「問題とは?」
シュンがマリサに訊ねた。
「人間は、まだ女神族も魔人族も知らないのよ。
知れば、欲しがる。利用しようとする。
だから、争いを広げないために、知らせていない」
誰もが固まった。
少しでも多くの力を集めないといけないのに、人間の力は借りられないのだ。
ーどうしよう......
せめて、一人でもいれば......ー
その時、扉をノックする音が響いた。
コンコンコンッ
「お母様。入ってもよろしいでしょうか?」
「ごめんなさい。今、お客様が......」
途中で言葉を止めたマリサは、はっとした表情をしていた。
「そうだわ......この子がいたじゃない......」
マリサは、そうつぶやくとスミレたちを見回しながら言う。
「マイ、入りなさい」
扉を、一人の少女が開ける。
「お母様、少し相談が......
っ!?すみませんお客様が......」
そう言って扉を閉めようとするマイをマリサが止める。
「待って。
話があるからこちらにいらっしゃい」
マイは、不思議そうな顔をしながら部屋に入る。
「失礼します」
マリサは自分が座っているソファの隣をポンポンと叩き、マイを座らせる。
「マイ......今からあなたに、大事な話をします。
よく聞きなさい」
「は、はい」
それから、マリサは自分が女神族だということ、目の前にいるスミレ達のこと、世界の危機のこと話した。
「そんな......まさか、世界がそんなことになっていたなんて......」
マイは驚きを隠せずにいた。
「なぜ、そんな大事なことを私に?」
マリサは、マイの手を取り答える。
「あなたには、彼女たちについていって手を貸してあげてほしいの」
その言葉に、スミレは立ち上がる。
「そんな!危険な旅に、マイ様を連れて行くなんて!
最悪の場合、死んでしまうのですよ!?」
スミレの言葉に、マイの顔色は悪くなる。
「そ、そうですよ。
確かに私は、この国で、お母様の次に強いとは言われていますが......」
マイの顔には、恐怖しかなかった。
マリサは、マイの肩に手を置く。
「私は、女王という立場なのでこの子たちを助けることはできないのです。
あなたにしか、できないことなのよ?」
「マリサ様!!」
スミレが、二人の会話を遮る。
「マイ様は、あなたの子供なのでしょう?
死ぬかもしれない旅に、どうして......」
スミレの言葉にマイは頷く。
「そうね、本当なら行かせたくないわ。
でもね、私は女王です。
民を守るのが仕事なのです」
その言葉にスミレは、はっとし、何も言えなかった。
それは、マイも同じだった。
重い沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、スイレンだった。
「姉さんがそんなに心配なら、私とマイで戦わない?」
その言葉に、マリサがパンッと手をたたいた。
「いいアイデアね。
そうしましょう。
そしたら、この子があなたたちの旅についていけるのかわかるでしょう?」
「お母様!!」
「あなたも、この国の民が大事でしょう?」
マイは、うっと言いながら顔をゆがめる。
「わかり、ました」




