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『1章完結!!』光と闇の継承者~初代最高神が生まれる時~  作者: 加藤 すみれ
一章 失われた者、結ばれし縁

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2つの力1つの命

ある日、魔神族が襲撃してきた。

いつもなら東から攻めてくる魔神族が今日は西側から攻めてきたことに誰もが驚く。

強者たちは東側で会議をしており、不在だった。


スミレたち2人はいつものベンチにおり、逃げ遅れてしまった。

「おい!子供が2人いるぞ!!」

その声とともに魔神族の視線が一斉に集まる。


”逃げられない”そう悟ったクリスタは、素早くスミレの前に立つ。

「ダイヤモンド!」

クリスタの声と同時に、魔力が二人を覆う。

その魔力は、厚い壁のようだ。


一息ついたのもつかの間、一つの声が壁の向こうから聞こえた。

「シャドウバレット」

次の瞬間、影の弾が突き刺さり、ダイヤモンドは割れる。

まだ子供の魔力では、適わなかった。


破片が雨のように降り注ぎ、頬をかすめた。

「シャドウスピア」

影が槍の形を取った。魔力が一本の針みたいに伸び、スミレの胸元を射抜こうとした。


ー終わるー

そう思った、そのとき。


「スミレ!!」

クリスタの叫びと同時に、横から強い衝撃。

震える手が、スミレを突き飛ばした。

身体が浮き、車いすごと弾かれるように倒れた。

痛みの次に届いたのは、血の匂い。


そして、人が崩れ落ちる音。


スミレが元居た場所からは、かすれた声が届く。

「ごめん、ね......」

ヒューという荒い息遣いが聞こえる。

「クリ、スタ?なんで......」

声が震える。息がうまくできない。


「だって......親友だもん」

その一言が、深く、深くスミレの心に刺さる。

ー親友?たったそれだけのことで?

”自分よりも弱い私をかばった”?ー


その瞬間、スミレの内側で何かが崩れた。

悲しみでも、恐怖でもない。

奪ったものへの怒り。

そして、守れない自分への怒り。


魔神族が、もう一度魔力を凝縮し始める。

殺意は、今度はクリスタを狙う。

「ちっ、庇いやがったか。

なら、お望み通りお前から殺してやるよ!!」


「やめて......」

震える声は、誰の耳にも届かない。

「やめてぇぇ!!」

次の瞬間、一つの叫びが地を揺らす。

その叫びは何倍にも増幅された。

地面からは冷たい冷気が走り、地上へと飛び出す。

スミレの指先は驚くほど体温がない。


「ひっ......!」

「あ゛あっ!」


叫びが聞こえ、魔力が散っていく。

霧のように小さな魔力たちが、天へと舞い上がる。

スミレは、一気に魔力を放出した代償に大量の血を吐いた。

身体の輪郭が遠のき、暗闇がさらに深くなる。


その場には、魔神族はもう残っていなかった。

スミレは意識がなくなりそうな中、必死にクリスタの元へ這っていった。

「クリ、スタ......」

ようやくクリスタのもとにたどり着くと、その体は消え始めている。

あたりからは、風の音しかしない。

触れているはずの指先から、温度だけがほどけていく。

「ねぇ、スミレ」

振り絞るようなその声には、力がこもっている。

「私の、歌...あなたに、あげる」

額にある命石が優しく、暖かく包まれる。

「お願い......私の、一族の歌声を......生かして」

それが最期の言葉だった。


魔力の残滓が天へと昇ってゆく。

手にはもう、何の感覚もない。


残ったのは、冷たい風と胸の奥に灯った、暖かな何か。


しばらく何もせず、ただ天を眺めていた。

慌てたような足音が、いくつも聞こえた。

「これは、いったい......」

「......」

スミレは、何も答えなかった。

そして、意識が遠のき倒れた。

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