4話
「事件のほとんどが人間関係のもつれや金銭なんですよ。例外も例外とは言えないほど数多く存在しますが」
「どういう理由で瑠璃を調べているんですか?」
「失礼ながら、あなたとの関係は最初から分かっていましてね」
拓哉は空になった二つの湯呑みにほうじ茶を注ぐ。話しは思った以上に長くなりそうだ──。
「最初から?」
「そうですね。あくまでも刑事の勘ですがね」
「そうなんですね。瑠璃とこの写真の男はどういう関係だと推測されているんですか?」
「実は瑠璃さんの行動を事件後から数週間追っていたんですよ」
「それは最初から瑠璃に何かあると思ったからですよね?」
「もちろん。ただ、今時の若い娘にしては至って真面目と言いますか、健全と言いますか」
田渕の話しによると、尾行続けていても仕事の行き帰りか、たまに拓哉と会っている事ぐらいしか掴めなかったが、つい2、3日前に瑠璃が珍しく都心の方へと出掛けた。当然、尾行するとある街のラブホテル街に着いたと話す。
「……桐敷さんからすれば少しショックな話しかもしれません」
田渕の言うようにショックだった──気持ちはユリにあるが、ショックだった。
「それで?」
「彼女は小一時間ほど寒い中、そのラボホテル街にいました。誰かを待っているのか或いは……」
「或いは?」
「所謂、パパ活等の類いかなと思いましてね」
「……」
「実際、そういった活動が多く補導等は後を経たないので」
「昔からありますよね」
「昔と違うのは、SNS等で簡単に繋がれますから。その分痕跡はつきやすいですが」
瑠璃はお金に執着がそんなにない。物欲も人並み程度だ。長く瑠璃を見ている訳ではないから、知らない一面等も当然あるだろう。だが、お金の為にそういった行為をするとは到底思えなかった。
「他にも沢山いましてね。パパ待ちというか、声を掛けてくるのを待っている女の子が」
「……」
「実際、瑠璃さんも声を掛けられていました」
「そうでしょうね。そういった場所にいる訳ですから」
「でも、蝿をはらうようにあしらってましたね」
拓哉は少しほっとしたが、逆に不自然な瑠璃の行動が怖くなった。




